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オイエン侯爵は、友人のエルムート伯爵に会うことにした。
エルムート伯爵と言えば、ソアリスの鞭の出所である。特殊な趣味は持っているが、表向きはまともである。
「実は、ミリンティーの婚約がなかなか決まらなくてな」
「うーん、国内は厳しいかもな」
「なぜなのか知っているのか?」
「知らないのか?」
エルムート伯爵は分かっていて、愚痴を聞いているつもりだった。
「知っているのか?」
オイエン侯爵はまさか知っているとは思わずに、オウム返しのような会話になってしまっている。
「娘さんから学園でのことは、聞いてはいないのか?」
「妻に任せていたのもあるが、何も聞いていない。教えてくれないか…」
エルムート伯爵も娘が学年は違うが、同じ時期に学園に通っており、事情は聞いており、娘はアリル王女の考え側であった。
娘はミリンティーについて『どう自分を見せたいのか知らないけど、あり得ないわよ』と吐き捨てており、オイエン侯爵は友人であったが、家族ぐるみの付き合いをしていたわけではないので、大変だなと思っていた。
当然、オイエン侯爵の耳にも入っていると思っていた。
「四人の下位貴族令嬢が、礼儀作法の授業を行ったのにもかかわらず、学校の秩序を乱し、学生の本分に反していると判断されて、転校した」
「まさかミリンティーが関わっているのか?何があったんだ?」
「そう判断していいだろうな…その四人というか、その中の一人を別にいいじゃないか、そんなに怒らなくてもと言っていたそうだ」
「は?」
オイエン侯爵はなぜそのようなことを言ったのかが、理解が出来ない。
「特にその令嬢は公爵家、侯爵家、伯爵家の婚約者のいる令息に近付いて、親しいような口振りに話したり、触れようとしたり、礼儀を知らない女だったそうだ。あとの3人もそれを真似た、それを娘さんは良しとしていたわけだ」
「学園からは何も聞いていない」
妻は良くも悪くも素直で、ありのままであるため、知っていたら言うはずだが、何も言って来たことはなかった。
「誘導したわけではなく、処罰するまでは至らなかったから、通達はされなかったのだろう」
「そうか…良かったのか、悪かったのか」
「良かったと言えるのではないか、罰を与えられていたら、さらに厳しいものになるだろう」
「だが、君が知っていたように、問題とされていたということだろう?」
「うちは娘がいたからね」
学園に子どもがいなくても、知り合いから聞いたと言う者もいただろう。
「縁談を恐れ多いと言われるのは、嫌味だったんだな…」
ようやくオイエン侯爵は、高位貴族に断られる理由が分かった。高位貴族らしからぬ考えを持つお嬢様は、恐れ多いという意味だったんだろう。
「なぜ、娘はそんなことを…」
「それは娘さんに聞くべきだろうな」
オイエン侯爵はその通りだと、項垂れるしかなかった。
その後に、オイエン侯爵は学園でのことを調べ、エルムート伯爵の言ったことは事実であった裏付けを取り、妻と息子・マイオンも一緒に説明するからと、ミリンティーと話をすることにした。
マイオンは18歳で、ミリンティーが在学時には在籍していなかった。
婚約者は伯爵令嬢で2つ年下。幼い頃からの婚約者で、世代が違うので、学園でのミリンティーのことは良く知らなかった。伯爵家は耳にしていたが、マイオンに問題があるわけではなく、侯爵家に言うことは出来なかった。
マイオンは婚約者が学園を卒業したら結婚することになっているために、姉には早く嫁いで欲しいと思っていた。
「ミリンティー、学園でのことをなぜ言わなかったんだ?」
「何のこと?」
「分かっていて、黙っていたんだろう?」
「知らないわ、何だって言うのよ…私は何も悪くないわ」
エルムート伯爵と言えば、ソアリスの鞭の出所である。特殊な趣味は持っているが、表向きはまともである。
「実は、ミリンティーの婚約がなかなか決まらなくてな」
「うーん、国内は厳しいかもな」
「なぜなのか知っているのか?」
「知らないのか?」
エルムート伯爵は分かっていて、愚痴を聞いているつもりだった。
「知っているのか?」
オイエン侯爵はまさか知っているとは思わずに、オウム返しのような会話になってしまっている。
「娘さんから学園でのことは、聞いてはいないのか?」
「妻に任せていたのもあるが、何も聞いていない。教えてくれないか…」
エルムート伯爵も娘が学年は違うが、同じ時期に学園に通っており、事情は聞いており、娘はアリル王女の考え側であった。
娘はミリンティーについて『どう自分を見せたいのか知らないけど、あり得ないわよ』と吐き捨てており、オイエン侯爵は友人であったが、家族ぐるみの付き合いをしていたわけではないので、大変だなと思っていた。
当然、オイエン侯爵の耳にも入っていると思っていた。
「四人の下位貴族令嬢が、礼儀作法の授業を行ったのにもかかわらず、学校の秩序を乱し、学生の本分に反していると判断されて、転校した」
「まさかミリンティーが関わっているのか?何があったんだ?」
「そう判断していいだろうな…その四人というか、その中の一人を別にいいじゃないか、そんなに怒らなくてもと言っていたそうだ」
「は?」
オイエン侯爵はなぜそのようなことを言ったのかが、理解が出来ない。
「特にその令嬢は公爵家、侯爵家、伯爵家の婚約者のいる令息に近付いて、親しいような口振りに話したり、触れようとしたり、礼儀を知らない女だったそうだ。あとの3人もそれを真似た、それを娘さんは良しとしていたわけだ」
「学園からは何も聞いていない」
妻は良くも悪くも素直で、ありのままであるため、知っていたら言うはずだが、何も言って来たことはなかった。
「誘導したわけではなく、処罰するまでは至らなかったから、通達はされなかったのだろう」
「そうか…良かったのか、悪かったのか」
「良かったと言えるのではないか、罰を与えられていたら、さらに厳しいものになるだろう」
「だが、君が知っていたように、問題とされていたということだろう?」
「うちは娘がいたからね」
学園に子どもがいなくても、知り合いから聞いたと言う者もいただろう。
「縁談を恐れ多いと言われるのは、嫌味だったんだな…」
ようやくオイエン侯爵は、高位貴族に断られる理由が分かった。高位貴族らしからぬ考えを持つお嬢様は、恐れ多いという意味だったんだろう。
「なぜ、娘はそんなことを…」
「それは娘さんに聞くべきだろうな」
オイエン侯爵はその通りだと、項垂れるしかなかった。
その後に、オイエン侯爵は学園でのことを調べ、エルムート伯爵の言ったことは事実であった裏付けを取り、妻と息子・マイオンも一緒に説明するからと、ミリンティーと話をすることにした。
マイオンは18歳で、ミリンティーが在学時には在籍していなかった。
婚約者は伯爵令嬢で2つ年下。幼い頃からの婚約者で、世代が違うので、学園でのミリンティーのことは良く知らなかった。伯爵家は耳にしていたが、マイオンに問題があるわけではなく、侯爵家に言うことは出来なかった。
マイオンは婚約者が学園を卒業したら結婚することになっているために、姉には早く嫁いで欲しいと思っていた。
「ミリンティー、学園でのことをなぜ言わなかったんだ?」
「何のこと?」
「分かっていて、黙っていたんだろう?」
「知らないわ、何だって言うのよ…私は何も悪くないわ」
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