私のバラ色ではない人生

野村にれ

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吉報2

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「あら、アリル」
「あら、アリルじゃありませんよ」

 ソアリスはミオトを右に、ケイトを左にガッシリと抱えており、ケイトがさらによじ登ろうとしており、ミオスが心配そうに見ている。

「ソアリス様、力持ちですね!」
「まあ、ルーファったら」

 ソアリスはほぼ見ることのない満面の笑みで、ほんのり頬を赤らめている。その姿に侍女と護衛はああ!渾身の誉め言葉を使うタイミングだったと、崩れ落ちた。

「どうしたのですか?」
「い、いえ」「お気になさらず」

 ズーンと落ち込んでしまった侍女と護衛達。

「何をしているの?」
「どちらが重いかと思って、抱えてみたのよ。ちょっと、ケイト、登らないで」

 よいしょと二人を下ろすと、今度はミオスにケイトが登ろうとしている。

「こら、ケイト、ミオスに登らないでって言っているでしょう」
「ぶ~」
「ぶ~じゃありません!ミオスが折角来てくれたのに」
「何があったのです?何か怒っていたでしょう?」
「ミオスのおやつを強請って、食べたのよ」
「ああ…強請って?」
「指差すの、いいでしょう?みたいな、叔母のくせに暴君よ!」

 ソアリスはミオスに対しては、ケイトを叔母扱いしている。

「で、二人揃ってどうしたの?ケイトがミオスを締め上げないように見てて頂戴ね」

 ソアリスは乳母に指示を出して、アリルとルーファと共にソファに座った。

「締め上げるの?」
「抱きしめて、締め上げるのよ」
「うわ」
「で、二人で来るなんて珍しいじゃない!ルーファは今日もリズに似ているわね」

 ルーファはリズにそっくりである、おかげでソアリス好みのミオト・バーセム公爵にはなれなかった。

「そうよ!そのために来たのに。子どもが出来たの」
「まあ!おめでとう!」
「ありがとう」「ありがとうございます」

 侍女と護衛もおめでとうございますと、頭を下げた。

「私もすっかり、プロばあさまよ?」
「プロって…まだ1年くらいじゃない」
「リズばあさん、ミオトじいさん、誕生ね!ほほほほほ。公爵がお祖父様なんて羨ましいわ!肩車も、本物の高い高いもやって貰いたい放題ね」
「ふふ、さすがお母様ね。お父様の想像よりも上回っているわ。ねえ、ルーファ」
「はい、ミオトじいさん…ふふふっ。呼んでみようかな」
「私も今度会ったら、呼んでみようかしら?」

 ウキウキと楽しそうにしており、アリルは呆れてしまった。

「心配とかしてくれないの?」
「あ!体調はどう?」
「あ!じゃないわよ」

 嫁とは違って、娘には雑さがあからさまである。

「でも、リズの方が頼りになるでしょう?」
「それはそうだけど…」
「私では何の役にも立たないもの。元気な子が生まれれば、何でもいいわよ」
「出た、丸投げ…」

 アリルは特技は悪い口と丸投げと、書くべきではないかとすら思っている。

「待って、アリルは私に似ているじゃない?ルーファはリズ、私たちついに混じり合ってしまうの?」
「何を言い出すのよ」
「素朴な疑問よ!出来れば、ミオトじいさんに似て欲しいの」
「そうでしょうね」

 アリルも義父を母が気に入っていることを知っている、友人の夫なのにいいのかと思うが、義母に言わせるとファンみたいなものだからと、あっさりしていた。

 確かに母が友人の夫に恋慕することは絶対にないと、言い切れる自信がある。

「あくまで希望よ?母親になる準備として、ケイト預かってくれてもいいわよ?」
「いやいやいや」
「でも危ないかもしれないわね、止めておきましょう」
「酷いわね」

 その間もケイトはミオスの周りを這い回ったり、腕をぶんぶん振ったりしている。ミオスは成すがままになっている。

「揚げ芋、トマト、レモンのマドレーヌはどう?」
「まだ分からないわ、お義母様も食べたくなったら言ってねって」
「さすがリズばあさん!リズに似てもいいわね、美人だもの。無理はしないのよ、あなたは頑張る子だから、私を見習いなさい」
「おサボり王妃…」
「認められた、おサボりは最高よ?」
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