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吉報1
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アンセムの元へ、アリルとルーファ夫妻がやって来た。
「お父様、私、妊娠しましたの」
「そうか、おめでとう」
「「ありがとうございます」」
アンセムはそんな話ではないかと思っていた。
嫁いだ以上、来るべく日である。息子の妻の妊娠はあったが、娘の妊娠は初めてのこととなる。やはり気持ちが全く違う。
立派な夫人になったが、まだ子どものように感じてしまう。
可愛いアリルが母親かと思うと、父親としては複雑でもあるが、貴族家に嫁いだ以上、後継者のことで気を揉まずに済むなら、早く出来た方がいいに決まっている。
「体は大丈夫なのか?」
「今のところは平気よ」
「そうか、大事にするんだぞ?ルーファも頼むな」
「はい、任せてください」
ルーファは優しい笑顔で、深く頷いた。
「リズ夫人もいるから、心配はしていないがな」
「はい、母もこれで私も立派なばあさんだと言っておりました」
「ああ…ソアリスのせいだな、すまない」
「いえ、喜んでいますから」
ソアリスもリズ夫人も、ばあさんという風貌ではない。だが、ソアリスの友人である以上、ばあさん発言を譲るつもりはないだろう。
「あ、そうよ!お披露目のケイト、立派だったわね。練習したの?」
嫁いだのでアリルだけ、貴族として出席していた。
「それが、ケイトの意思で行ったんだ」
「手を振ったのも?」
「そうなんだ…笑顔も、恐ろしい子だろう?」
「ええ、お母様がカイルスの様に操ったのかと思ったけど、ケイトが言うことを聞くわけないわよね」
あの活きのいい妹は、母の制止すら聞きやしない。
「ああ、私も最初はそう思っていたが、ソアリスは何も言っていなかった。言うことも聞いているのか、聞いていないのか?でもこちらの言っていることは、分かっている気がするんだよな」
「あり得ないわよと言えないところが、現実よね。お父様、祖父と父をどうやって使い分けてるの?」
ずっと聞きたかった疑問を、ふいに聞いてみることにした。
「分けてはいないが、やっぱり孫は親に任せるべきだろうと思って、可愛がっているだけだよ。ケイトは可愛いんだが、お父様一人ではままならないだろうね」
「それは、そうね…」
どう想像しても、お父様が振り回されている姿しか見えない。
「どうやら、ソアリスも言葉が遅かったそうなんだが、急に一気に喋り出すようで、今は言葉を集めていると、ロアンスラー公爵に聞いてな。何を言い出すか、今から怖いんだよ」
「そうなの?お母様っぽいわね」
ソアリスのファンであるルーファは話を、興味深く聞いていた。
「もごもごは言っているけど、何て言うのかしら…食べ物じゃない?」
「ああ、あり得るな。おやつの時間には必ず起きて来るらしい…」
「ああ…」
「だが、起きない時におやつだと言えば起きるそうだ。ソアリスが便利でいいと言っていた」
言いそうだなと、アリルとルーファはこくこくと頷いた。
「ソアリスにも早く知らせてやったらどうだ?」
「なんて言うのかしら」
「喜ぶさ。それこそリズ夫人をリズばあさんと呼び出すんじゃないか?」
「絶対に言い出すわね、さすが夫婦ね」
アンセムと別れて、ソアリスの執務室に向かっていると、ソアリスの何やら怒っているというよりは、注意しているような声が聞こえ始めた。
「多分、ケイトね…」
「よく怒られてらっしゃるのか?あんなに堂々とされていたのに」
ルーファもお披露目の姿に感動すらした。
「元気が良すぎてね…大変らしいのよ」
「でもソアリス様に似ているんだろう?」
「ふふっ、ルーファにとっては母に似ていることは嬉しいのよね」
「ああ、こればっかりはね」
「何を見ても驚かないでね、とんでもないことになっているかもしれないわ」
アリルはドアを叩き、侍女が開くと、部屋の中には祖母とは思えない姿のソアリスが立っていた。
「お母様!?」
「お父様、私、妊娠しましたの」
「そうか、おめでとう」
「「ありがとうございます」」
アンセムはそんな話ではないかと思っていた。
嫁いだ以上、来るべく日である。息子の妻の妊娠はあったが、娘の妊娠は初めてのこととなる。やはり気持ちが全く違う。
立派な夫人になったが、まだ子どものように感じてしまう。
可愛いアリルが母親かと思うと、父親としては複雑でもあるが、貴族家に嫁いだ以上、後継者のことで気を揉まずに済むなら、早く出来た方がいいに決まっている。
「体は大丈夫なのか?」
「今のところは平気よ」
「そうか、大事にするんだぞ?ルーファも頼むな」
「はい、任せてください」
ルーファは優しい笑顔で、深く頷いた。
「リズ夫人もいるから、心配はしていないがな」
「はい、母もこれで私も立派なばあさんだと言っておりました」
「ああ…ソアリスのせいだな、すまない」
「いえ、喜んでいますから」
ソアリスもリズ夫人も、ばあさんという風貌ではない。だが、ソアリスの友人である以上、ばあさん発言を譲るつもりはないだろう。
「あ、そうよ!お披露目のケイト、立派だったわね。練習したの?」
嫁いだのでアリルだけ、貴族として出席していた。
「それが、ケイトの意思で行ったんだ」
「手を振ったのも?」
「そうなんだ…笑顔も、恐ろしい子だろう?」
「ええ、お母様がカイルスの様に操ったのかと思ったけど、ケイトが言うことを聞くわけないわよね」
あの活きのいい妹は、母の制止すら聞きやしない。
「ああ、私も最初はそう思っていたが、ソアリスは何も言っていなかった。言うことも聞いているのか、聞いていないのか?でもこちらの言っていることは、分かっている気がするんだよな」
「あり得ないわよと言えないところが、現実よね。お父様、祖父と父をどうやって使い分けてるの?」
ずっと聞きたかった疑問を、ふいに聞いてみることにした。
「分けてはいないが、やっぱり孫は親に任せるべきだろうと思って、可愛がっているだけだよ。ケイトは可愛いんだが、お父様一人ではままならないだろうね」
「それは、そうね…」
どう想像しても、お父様が振り回されている姿しか見えない。
「どうやら、ソアリスも言葉が遅かったそうなんだが、急に一気に喋り出すようで、今は言葉を集めていると、ロアンスラー公爵に聞いてな。何を言い出すか、今から怖いんだよ」
「そうなの?お母様っぽいわね」
ソアリスのファンであるルーファは話を、興味深く聞いていた。
「もごもごは言っているけど、何て言うのかしら…食べ物じゃない?」
「ああ、あり得るな。おやつの時間には必ず起きて来るらしい…」
「ああ…」
「だが、起きない時におやつだと言えば起きるそうだ。ソアリスが便利でいいと言っていた」
言いそうだなと、アリルとルーファはこくこくと頷いた。
「ソアリスにも早く知らせてやったらどうだ?」
「なんて言うのかしら」
「喜ぶさ。それこそリズ夫人をリズばあさんと呼び出すんじゃないか?」
「絶対に言い出すわね、さすが夫婦ね」
アンセムと別れて、ソアリスの執務室に向かっていると、ソアリスの何やら怒っているというよりは、注意しているような声が聞こえ始めた。
「多分、ケイトね…」
「よく怒られてらっしゃるのか?あんなに堂々とされていたのに」
ルーファもお披露目の姿に感動すらした。
「元気が良すぎてね…大変らしいのよ」
「でもソアリス様に似ているんだろう?」
「ふふっ、ルーファにとっては母に似ていることは嬉しいのよね」
「ああ、こればっかりはね」
「何を見ても驚かないでね、とんでもないことになっているかもしれないわ」
アリルはドアを叩き、侍女が開くと、部屋の中には祖母とは思えない姿のソアリスが立っていた。
「お母様!?」
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