私のバラ色ではない人生

野村にれ

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お披露目1

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 ララシャのことは関係ないとしているが、事前に決まっていたとはいえ、国としても慶事で流れを変えようとも思わなかったわけではない。

 そして、当日。結婚を控えるエクルとカイルス、ミフルとケイトを同じ正装にした。似た顔を同じ色味にしちゃえばいいじゃないというソアリスの案であった。

 エクルとカイルスは顔は似ているが、髪色が違うので、二人に合うようにシルバー、ミフルとケイトはピンクゴールドにして、輝かしいばかりの姿となった。

 ケイトもいつもは床を高速で這っているいるとは思えないほど、ふんわりとしたドレスに身を包み、見た目だけは王女らしい姿であった。だが、ポーズが両手を腰に当てて、どうだと言わんばかりの顔である。

「何か偉そうね…」

 ソアリスが手を何度戻しても、ふんと言いながら、腰に戻してしまう。

「ケイト、大人しくしているのよ?」
「う~」
「お母様、私も見ているから大丈夫よ?」

 ケイトを言い聞かせているソアリスに、カイルスが声を掛けた。

「そうかしら?危なっかしいのよね」
「大丈夫だと思うよ、ケイトは大物だから」
「ええ…全然、安心出来ないのだけど」
「大丈夫よ」
「そうね、何とかなるはずよ。カイルスも素敵ね」
「ふふ、そうかな?」
「よく似合っているわ、エクルもカイルスと同じで喜んでいたわ」
「私も嬉しい」

 カイルスは心優しい子に育っており、ソアリスは一体誰に似たのだろうかとすら思っている。

「ケイト~!何て可愛いんだ、天使のようだね」

 やって来たのは祖父ではなく、父親であるアンセムの言葉である。

「ば~」
「喜んでいるのかな?」

 ケイトは笑ってはいないので、喜んでいるか分からない。だが手招きをするので、アンセムがケイトの背丈にしゃがむと、ガシっと鼻を掴まれた。

「イタタタタタ」
「ふへへ」
「良い技を持っているわね、でも今日は駄目よ」

 ソアリスは鼻を摘まむケイトを抱き上げて、椅子に座らせた。

「今の衝撃で鼻毛が出たかもしれないわ、うん、うん、大丈夫ね」

 本日もソアリスの鼻毛チェックは、滞りなく行われている。

「あ、ありがとう」

 ソアリスの案を聞いたルルエとエクシアーヌは、ミオスはユリウスと、エマリーはエクシアーヌに色味を合わせた正装にした。

 アンセムとソアリスはというと、ソアリスは想像通り、ドレスに興味もないので、聞いても汚れても目立たない色くらいしか意見がない。侍女たちが熱心に相談の上で決めている。

 ソアリスが決まってから、アンセムを決めることがお決まりとなっていった。

 本日はケイトのお披露目でもあるので、ピンクゴールドを差し色にしたグレーのドレスである。シルバーにも近いので、エクルとカイルスにも合う。

 侍女たちも大満足の仕上がりである。

 国民が皆が見えるように、バルコニーでお披露目となり、エクルとミフルとカイルス、マイノスとエクシアーヌとエマリー、ユリウスとルルエとミオスという順に登場したが、その度に熱狂に包まれた。

 そしてアンセムとソアリスとケイトが現れると、最高潮となった。

 ミオスは大人しくしていたが、エマリーは驚いたのか愚図り出してしまい、その様子にスッと手を伸ばして、頭をポンポンしたのはケイトであった。その姿に国民はなんて可愛いのかと、さらに熱狂した。

 しかも心配を吹き飛ばすように、ソアリスに抱かれたまま、ケイトは笑顔で手を振り出した。

 それに驚いたのは、王家の人々であった。

 カイルスの言った大物という言葉がぴったりであった。エマリーよりも、ミオスよりも、その場を圧倒的に支配したのはケイトであった。

 午後からは貴族向けにもお披露目を行った。そこでもケイトは抱かれた姿ではなく、しっかりと一人で立って可愛らしい姿で、皆を魅了した。
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