180 / 335
お披露目1
しおりを挟む
ララシャのことは関係ないとしているが、事前に決まっていたとはいえ、国としても慶事で流れを変えようとも思わなかったわけではない。
そして、当日。結婚を控えるエクルとカイルス、ミフルとケイトを同じ正装にした。似た顔を同じ色味にしちゃえばいいじゃないというソアリスの案であった。
エクルとカイルスは顔は似ているが、髪色が違うので、二人に合うようにシルバー、ミフルとケイトはピンクゴールドにして、輝かしいばかりの姿となった。
ケイトもいつもは床を高速で這っているいるとは思えないほど、ふんわりとしたドレスに身を包み、見た目だけは王女らしい姿であった。だが、ポーズが両手を腰に当てて、どうだと言わんばかりの顔である。
「何か偉そうね…」
ソアリスが手を何度戻しても、ふんと言いながら、腰に戻してしまう。
「ケイト、大人しくしているのよ?」
「う~」
「お母様、私も見ているから大丈夫よ?」
ケイトを言い聞かせているソアリスに、カイルスが声を掛けた。
「そうかしら?危なっかしいのよね」
「大丈夫だと思うよ、ケイトは大物だから」
「ええ…全然、安心出来ないのだけど」
「大丈夫よ」
「そうね、何とかなるはずよ。カイルスも素敵ね」
「ふふ、そうかな?」
「よく似合っているわ、エクルもカイルスと同じで喜んでいたわ」
「私も嬉しい」
カイルスは心優しい子に育っており、ソアリスは一体誰に似たのだろうかとすら思っている。
「ケイト~!何て可愛いんだ、天使のようだね」
やって来たのは祖父ではなく、父親であるアンセムの言葉である。
「ば~」
「喜んでいるのかな?」
ケイトは笑ってはいないので、喜んでいるか分からない。だが手招きをするので、アンセムがケイトの背丈にしゃがむと、ガシっと鼻を掴まれた。
「イタタタタタ」
「ふへへ」
「良い技を持っているわね、でも今日は駄目よ」
ソアリスは鼻を摘まむケイトを抱き上げて、椅子に座らせた。
「今の衝撃で鼻毛が出たかもしれないわ、うん、うん、大丈夫ね」
本日もソアリスの鼻毛チェックは、滞りなく行われている。
「あ、ありがとう」
ソアリスの案を聞いたルルエとエクシアーヌは、ミオスはユリウスと、エマリーはエクシアーヌに色味を合わせた正装にした。
アンセムとソアリスはというと、ソアリスは想像通り、ドレスに興味もないので、聞いても汚れても目立たない色くらいしか意見がない。侍女たちが熱心に相談の上で決めている。
ソアリスが決まってから、アンセムを決めることがお決まりとなっていった。
本日はケイトのお披露目でもあるので、ピンクゴールドを差し色にしたグレーのドレスである。シルバーにも近いので、エクルとカイルスにも合う。
侍女たちも大満足の仕上がりである。
国民が皆が見えるように、バルコニーでお披露目となり、エクルとミフルとカイルス、マイノスとエクシアーヌとエマリー、ユリウスとルルエとミオスという順に登場したが、その度に熱狂に包まれた。
そしてアンセムとソアリスとケイトが現れると、最高潮となった。
ミオスは大人しくしていたが、エマリーは驚いたのか愚図り出してしまい、その様子にスッと手を伸ばして、頭をポンポンしたのはケイトであった。その姿に国民はなんて可愛いのかと、さらに熱狂した。
しかも心配を吹き飛ばすように、ソアリスに抱かれたまま、ケイトは笑顔で手を振り出した。
それに驚いたのは、王家の人々であった。
カイルスの言った大物という言葉がぴったりであった。エマリーよりも、ミオスよりも、その場を圧倒的に支配したのはケイトであった。
午後からは貴族向けにもお披露目を行った。そこでもケイトは抱かれた姿ではなく、しっかりと一人で立って可愛らしい姿で、皆を魅了した。
そして、当日。結婚を控えるエクルとカイルス、ミフルとケイトを同じ正装にした。似た顔を同じ色味にしちゃえばいいじゃないというソアリスの案であった。
エクルとカイルスは顔は似ているが、髪色が違うので、二人に合うようにシルバー、ミフルとケイトはピンクゴールドにして、輝かしいばかりの姿となった。
ケイトもいつもは床を高速で這っているいるとは思えないほど、ふんわりとしたドレスに身を包み、見た目だけは王女らしい姿であった。だが、ポーズが両手を腰に当てて、どうだと言わんばかりの顔である。
「何か偉そうね…」
ソアリスが手を何度戻しても、ふんと言いながら、腰に戻してしまう。
「ケイト、大人しくしているのよ?」
「う~」
「お母様、私も見ているから大丈夫よ?」
ケイトを言い聞かせているソアリスに、カイルスが声を掛けた。
「そうかしら?危なっかしいのよね」
「大丈夫だと思うよ、ケイトは大物だから」
「ええ…全然、安心出来ないのだけど」
「大丈夫よ」
「そうね、何とかなるはずよ。カイルスも素敵ね」
「ふふ、そうかな?」
「よく似合っているわ、エクルもカイルスと同じで喜んでいたわ」
「私も嬉しい」
カイルスは心優しい子に育っており、ソアリスは一体誰に似たのだろうかとすら思っている。
「ケイト~!何て可愛いんだ、天使のようだね」
やって来たのは祖父ではなく、父親であるアンセムの言葉である。
「ば~」
「喜んでいるのかな?」
ケイトは笑ってはいないので、喜んでいるか分からない。だが手招きをするので、アンセムがケイトの背丈にしゃがむと、ガシっと鼻を掴まれた。
「イタタタタタ」
「ふへへ」
「良い技を持っているわね、でも今日は駄目よ」
ソアリスは鼻を摘まむケイトを抱き上げて、椅子に座らせた。
「今の衝撃で鼻毛が出たかもしれないわ、うん、うん、大丈夫ね」
本日もソアリスの鼻毛チェックは、滞りなく行われている。
「あ、ありがとう」
ソアリスの案を聞いたルルエとエクシアーヌは、ミオスはユリウスと、エマリーはエクシアーヌに色味を合わせた正装にした。
アンセムとソアリスはというと、ソアリスは想像通り、ドレスに興味もないので、聞いても汚れても目立たない色くらいしか意見がない。侍女たちが熱心に相談の上で決めている。
ソアリスが決まってから、アンセムを決めることがお決まりとなっていった。
本日はケイトのお披露目でもあるので、ピンクゴールドを差し色にしたグレーのドレスである。シルバーにも近いので、エクルとカイルスにも合う。
侍女たちも大満足の仕上がりである。
国民が皆が見えるように、バルコニーでお披露目となり、エクルとミフルとカイルス、マイノスとエクシアーヌとエマリー、ユリウスとルルエとミオスという順に登場したが、その度に熱狂に包まれた。
そしてアンセムとソアリスとケイトが現れると、最高潮となった。
ミオスは大人しくしていたが、エマリーは驚いたのか愚図り出してしまい、その様子にスッと手を伸ばして、頭をポンポンしたのはケイトであった。その姿に国民はなんて可愛いのかと、さらに熱狂した。
しかも心配を吹き飛ばすように、ソアリスに抱かれたまま、ケイトは笑顔で手を振り出した。
それに驚いたのは、王家の人々であった。
カイルスの言った大物という言葉がぴったりであった。エマリーよりも、ミオスよりも、その場を圧倒的に支配したのはケイトであった。
午後からは貴族向けにもお披露目を行った。そこでもケイトは抱かれた姿ではなく、しっかりと一人で立って可愛らしい姿で、皆を魅了した。
4,224
お気に入りに追加
7,542
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた
クロユキ
恋愛
子爵令嬢フォスティヌは三歳年上になるフランシス子爵を慕っていた。
両親同士が同じ学友だった事でフォスティヌとフランシスの出会いでもあった。
そして二人は晴れて婚約者となった。
騎士への道を決めたフランシスと会う日が減ってしまったフォスティヌは、フランシスから屋敷へ来て欲しいと連絡があった…
誤字脱字があると思いますが読んでもらえたら嬉しいです。不定期ですがよろしくお願いします。
【本編完結済】この想いに終止符を…
春野オカリナ
恋愛
長年の婚約を解消されたシェリーネは、新しい婚約者の家に移った。
それは苦い恋愛を経験した後の糖度の高い甘い政略的なもの。
新しい婚約者ジュリアスはシェリーネを甘やかすのに慣れていた。
シェリーネの元婚約者セザールは、異母妹ロゼリナと婚約する。
シェリーネは政略、ロゼリアは恋愛…。
極端な二人の婚約は予想外な結果を生み出す事になる。
壊れた心はそのままで ~騙したのは貴方?それとも私?~
志波 連
恋愛
バージル王国の公爵令嬢として、優しい両親と兄に慈しまれ美しい淑女に育ったリリア・サザーランドは、貴族女子学園を卒業してすぐに、ジェラルド・パーシモン侯爵令息と結婚した。
政略結婚ではあったものの、二人はお互いを信頼し愛を深めていった。
社交界でも仲睦まじい夫婦として有名だった二人は、マーガレットという娘も授かり、順風満帆な生活を送っていた。
ある日、学生時代の友人と旅行に行った先でリリアは夫が自分でない女性と、夫にそっくりな男の子、そして娘のマーガレットと仲よく食事をしている場面に遭遇する。
ショックを受けて立ち去るリリアと、追いすがるジェラルド。
一緒にいた子供は確かにジェラルドの子供だったが、これには深い事情があるようで……。
リリアの心をなんとか取り戻そうと友人に相談していた時、リリアがバルコニーから転落したという知らせが飛び込んだ。
ジェラルドとマーガレットは、リリアの心を取り戻す決心をする。
そして関係者が頭を寄せ合って、ある破天荒な計画を遂行するのだった。
王家までも巻き込んだその作戦とは……。
他サイトでも掲載中です。
コメントありがとうございます。
タグのコメディに反対意見が多かったので修正しました。
必ず完結させますので、よろしくお願いします。
心の鍵は開かない〜さようなら、殿下。〈第一章完・第二章開始〉
詩海猫
恋愛
侯爵令嬢フィオナ・ナスタチアムは五歳の時に初めて出会った皇弟フェアルドに見初められ、婚約を結ぶ。
侯爵家でもフェアルドからも溺愛され、幸せな子供時代を経たフィオナはやがて誰もが見惚れる美少女に成長した。
フェアルドとの婚姻も、そのまま恙無く行われるだろうと誰もが信じていた。
だが違った。
ーーー自分は、愛されてなどいなかった。
☆エールくださった方ありがとうございます!
*後宮生活 5 より閲覧注意報発令中
*前世話「心の鍵は壊せない」完結済み、R18にあたる為こちらとは別の作品ページとなっています。
*感想大歓迎ですが、先の予測書き込みは出来るだけ避けてくださると有り難いです。
*ハッピーエンドを目指していますが人によって受け止めかたは違うかもしれません。
*作者の適当な世界観で書いています、史実は関係ありません*
婚約解消は君の方から
みなせ
恋愛
私、リオンは“真実の愛”を見つけてしまった。
しかし、私には産まれた時からの婚約者・ミアがいる。
私が愛するカレンに嫌がらせをするミアに、
嫌がらせをやめるよう呼び出したのに……
どうしてこうなったんだろう?
2020.2.17より、カレンの話を始めました。
小説家になろうさんにも掲載しています。
嘘を囁いた唇にキスをした。それが最後の会話だった。
わたあめ
恋愛
ジェレマイア公爵家のヒルトンとアールマイト伯爵家のキャメルはお互い17の頃に婚約を誓た。しかし、それは3年後にヒルトンの威勢の良い声と共に破棄されることとなる。
「お前が私のお父様を殺したんだろう!」
身に覚えがない罪に問われ、キャメルは何が何だか分からぬまま、隣国のエセルター領へと亡命することとなった。しかし、そこは異様な国で...?
※拙文です。ご容赦ください。
※この物語はフィクションです。
※作者のご都合主義アリ
※三章からは恋愛色強めで書いていきます。
その悲劇、大嘘ですよね?元婚約者の私に慰めてもらえるとでも?
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令嬢シンシアの婚約者パトリックは悲劇のヒロインぶる令嬢リリアナに心を奪われ、リリアナを救う為にシンシアとの婚約を破棄してしまう。そして非難轟々の中リリアナと結婚してしまった。
2年後、シンシアは宮廷に仕え異国から迎えた妃殿下の侍女として特殊な宝飾品を管理する充実した日々を送っていた。
しかし元婚約者パトリックはその頃、被害妄想の強い幼稚な妻リリアナの我儘と奇行に辟易する毎日を送っていたようで……
「彼女が家族に虐げられているなんて大嘘だよ。騙された」
知ったことではないと接触を拒むシンシアにパトリックは復縁まで持ちかけてくる。
「いえ、お断りですが?」
なぜならシンシアは既に異国の王子と……
【誤字報告お礼】
複数の読者様から誤字報告をいただきました。ありがとうございます!
御厚意に与りコメントは非表示とさせていただきましたが、この場を借りて御礼申し上げます。
これからもお楽しみ頂けましたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる