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決定4
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「そういうことだ、国の問題にしてまで、譲るという選択肢はない。しかも、エミアンローズと想い合っているいるなどと、デタラメまで言って」
「でも、エミアンローズに会えば」
「まあ、人の好みはそれぞれだ。それを否定する気はない」
エミアンローズはまだ16歳で、好む人がこの世にいないとまでは言わない。だが、カリルは正直、エミアンローズに思い入れはない。
「そうでしょう!」
ララシャはその言葉に希望を見出した。
「だが、グレイ殿下は確かミフル殿下の最初は見た目に目を奪われ、その後に中身も好きになったと聞いている。あのような整った顔に、惹かれた人間がエミアンローズを選ぶと思うか?」
「いくらお義兄様でも、ひ、酷いわ!」
「せめて、エミアンローズがミフル殿下に似ていたら、説得力があっただろうがな。それもないか。離縁は決定だ、そしてクロンデール王国王家には二度と迷惑を掛けたり、関わることは許さない。関わった時点で良くて修道院。誓約書と、離縁状に読んでサインしなさい。破ったりすれば、どうなるか分かるな?」
カリルはソアリスから預かった誓約書と、離縁状をララシャの前に置き、サイラスがその横に万年筆を置いた。
「い、嫌です」
「サインしないのなら、クロンデール王国とピデム王国の王家から詳細を発表をするだけだ。それでいいんだな?」
「っえ、待って、待ってください」
「何だ?」
「考える時間をください」
ララシャはカリルが苦手であった。でもここで負けて、書いてしまったら本当になってしまう、話せばわかるのだからと時間を稼ごうと考えた。
「アンセム陛下も、私も父も君と違って暇ではない。サインしないということで、いいんだな?」
「よ、読みます」
ララシャは事細かく書かれた誓約書と、離縁状を読んでいった。
「エミアンはどうなるのですか?」
「猶予が貰えたから、王族として残り、留学して、相応しくなれれば、王族には残れるだろう」
「もう会えないってことですか?」
「休暇などに会える状態なら、会えるのではないか?」
ララシャは外交で国外に出ることもなかったので、エミアンローズと離れたことがなかった。
「そんな…エミアンには私と離れるなんて無理よ。リベル、そうでしょう?」
「決まったことだ」
「お兄様、私が引き取って育てるわ。いいでしょう?学園もクロンデール王国で通えばいいじゃない」
「どうやって暮らすんだ?ロアンスラー公爵家は、お前に泥を塗られたんだ。生きていくの最低限のお金しか出さない。お前が働くのか?父上と母上を頼っても無駄だぞ?同じ意見だ」
ララシャは既に両親に泣きついてどうにかして貰おうとしたが、父・キリス自業自得だ、母・マルシャには恥晒しだと罵られて、取り付く島もなかった。
サイラスは離縁となったために、ララシャをお前に戻ってしまっている。
「働く…?」
「学費だって掛かるだろう?お前が引き取るなら、お前が払うべきだろう?」
リベルが払わないということはないのだろうが、サイラスは引き取る気なら、そこまで責任を持つべきだと思わせるために言い切った。
そもそもクロンデール王国で学園に通わせたら、ミフル殿下が在学中であるため、迷惑を掛ける可能性がある。サイラスとはしては避けたいことであった。
「それは…」
「何をするにもお金は掛かるんだ、誰も払ってはくれない。自分で払うしかない。公爵令嬢ではないお前に、払う金などない」
「公爵令嬢では、ない?」
ララシャは離縁すれば、またロアンスラー公爵令嬢に戻れると思っていた。
「当たり前だろう?娘は嫁いだから、公爵令嬢は今はいない」
「だから私が」
「なぜ私と年も変わらない中年が、公爵令嬢になるんだ?冗談もいい加減にしろ」
その言葉にリベルは、サイラスはソアリスの兄なのだなと思った。
「でも、エミアンローズに会えば」
「まあ、人の好みはそれぞれだ。それを否定する気はない」
エミアンローズはまだ16歳で、好む人がこの世にいないとまでは言わない。だが、カリルは正直、エミアンローズに思い入れはない。
「そうでしょう!」
ララシャはその言葉に希望を見出した。
「だが、グレイ殿下は確かミフル殿下の最初は見た目に目を奪われ、その後に中身も好きになったと聞いている。あのような整った顔に、惹かれた人間がエミアンローズを選ぶと思うか?」
「いくらお義兄様でも、ひ、酷いわ!」
「せめて、エミアンローズがミフル殿下に似ていたら、説得力があっただろうがな。それもないか。離縁は決定だ、そしてクロンデール王国王家には二度と迷惑を掛けたり、関わることは許さない。関わった時点で良くて修道院。誓約書と、離縁状に読んでサインしなさい。破ったりすれば、どうなるか分かるな?」
カリルはソアリスから預かった誓約書と、離縁状をララシャの前に置き、サイラスがその横に万年筆を置いた。
「い、嫌です」
「サインしないのなら、クロンデール王国とピデム王国の王家から詳細を発表をするだけだ。それでいいんだな?」
「っえ、待って、待ってください」
「何だ?」
「考える時間をください」
ララシャはカリルが苦手であった。でもここで負けて、書いてしまったら本当になってしまう、話せばわかるのだからと時間を稼ごうと考えた。
「アンセム陛下も、私も父も君と違って暇ではない。サインしないということで、いいんだな?」
「よ、読みます」
ララシャは事細かく書かれた誓約書と、離縁状を読んでいった。
「エミアンはどうなるのですか?」
「猶予が貰えたから、王族として残り、留学して、相応しくなれれば、王族には残れるだろう」
「もう会えないってことですか?」
「休暇などに会える状態なら、会えるのではないか?」
ララシャは外交で国外に出ることもなかったので、エミアンローズと離れたことがなかった。
「そんな…エミアンには私と離れるなんて無理よ。リベル、そうでしょう?」
「決まったことだ」
「お兄様、私が引き取って育てるわ。いいでしょう?学園もクロンデール王国で通えばいいじゃない」
「どうやって暮らすんだ?ロアンスラー公爵家は、お前に泥を塗られたんだ。生きていくの最低限のお金しか出さない。お前が働くのか?父上と母上を頼っても無駄だぞ?同じ意見だ」
ララシャは既に両親に泣きついてどうにかして貰おうとしたが、父・キリス自業自得だ、母・マルシャには恥晒しだと罵られて、取り付く島もなかった。
サイラスは離縁となったために、ララシャをお前に戻ってしまっている。
「働く…?」
「学費だって掛かるだろう?お前が引き取るなら、お前が払うべきだろう?」
リベルが払わないということはないのだろうが、サイラスは引き取る気なら、そこまで責任を持つべきだと思わせるために言い切った。
そもそもクロンデール王国で学園に通わせたら、ミフル殿下が在学中であるため、迷惑を掛ける可能性がある。サイラスとはしては避けたいことであった。
「それは…」
「何をするにもお金は掛かるんだ、誰も払ってはくれない。自分で払うしかない。公爵令嬢ではないお前に、払う金などない」
「公爵令嬢では、ない?」
ララシャは離縁すれば、またロアンスラー公爵令嬢に戻れると思っていた。
「当たり前だろう?娘は嫁いだから、公爵令嬢は今はいない」
「だから私が」
「なぜ私と年も変わらない中年が、公爵令嬢になるんだ?冗談もいい加減にしろ」
その言葉にリベルは、サイラスはソアリスの兄なのだなと思った。
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