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処罪2
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リベルはリサム国王陛下に、告げられた罰に深く頷いた。
「私も全てが決まり次第、王族を抜けたいと思います」
「リベル!」
「私にも責任があります」
「確かにそうだが、名指ししているのはララシャとエミアンローズだ。そこまでの罰を望んでいるとは思えない」
「ですが」
「最終手段としなさい」
「…はい」
リベルもララシャを選んだことで起こった事実、エミアンローズを怒鳴りつけてでも、教育を受けさせなかったことに、責任を取る覚悟であった。
クロンデール王国で口にしなかったのは、全ての責任を取った後でなければ、逃げたとされたくなかったからだ。
「ララシャはどうなりますか」
「修道院か、クロンデール王国に従うかだな」
「ロアンスラー公爵も、もし離縁になった場合は、持参金を慰謝料に使って欲しい、返金は要らないと。ララシャをこちらで引き取ることになれば、クロンデール王家には一切貶めるようなことをしないこと、関わらないこと。破った場合は修道院に入れるとしてくださいと言っておりました」
サイラスも両親も引き取らなければならないことは想定しており、ただソアリスに迷惑を掛けないことだけは譲れなかった。
「そうか、分かった」
「はい、ララシャには離縁が一番の罰になるだろうと…」
ララシャは離縁されるなどと思っていない、リベルがソアリスが両親がどうにかしてくれると思っている。
クロンデール王国に戻ると言い出すだろうが、エミアンローズと一緒にいることは出来ない。誰も温かく迎え入れてくれるような人はいないだろう。
「エミアンローズは猶予が貰えるなら、留学させたいと思っています」
「それはいいかもしれぬな。それでも猶予は長くは取れない」
18歳で成人とされるピデム王国で、王族として残すかどうか、長々と猶予を伸ばすことは出来ない。
「はい、最初からそうすべきでした」
「まずはエスザール王国にお伺いをして、カリルとリベルで謝罪をして来なさい。私は手紙を書くから持って行ってくれ」
「「承知しました」」
リベルとカリルはエスザール王国に到着し、クート国王陛下、レオン王太子殿下、グレイ王子殿下と対峙した。
エスザール王国はピデム王国やクロンデール王国よりも、歴史も古く、国土も広いことから、格上の大国と言って差し支えない。
「お時間を取っていただき、ありがとうございます。この度は義妹と姪が、大変申し訳ありませんでした」
「妻と娘が大変申し訳ありませんでした」
二人は深く頭を下げたが、クートに座ってくださいと言われ、リベルとカリルは一礼して、座った。
「そちらの対応を聞きましょうか」
クートは穏やかな表情で問い掛けた。
「こちらがリサム国王陛下からの手紙でございます」
カリルがクートに渡すと、クートは表情を変えないまま読み進めて、静かに頷き、レオンに渡した。
「折角来ていただいたのですから、言葉でも聞いておきましょうか」
「はい、リベルとララシャは離縁させ、ララシャはクロンデール王国の意向もありますが、ピデム王国に残る場合は修道院へ、クロンデール王国に戻る場合は取り決めに従いたいと思います」
「戻って来ても、ソアリス王妃は嫌がるだろうな」
クートの言葉に、レオンとグレイも頷いた。
「はい、王家を貶めないこと、関わらないことを約束させ、破った場合は修道院に入れると、ご実家のロアンスラー公爵家は申しております」
「そうか」
「はい、エミアンローズは16歳で言いわけにもなりませんが、幼いままで、ララシャに言われるがまま乗せられたような状況で、お許しいただけるのであれば、猶予をいただければと思っております」
「貰ってどうする?」
「留学させたいと思っております。猶予後も改善しない場合は、王族から抜きます」
「そうか、妥当なところかな」
リベルとカリルは深く頭を下げた。
「随分、穏やかな話し合いだと思っているだろう?」
「私も全てが決まり次第、王族を抜けたいと思います」
「リベル!」
「私にも責任があります」
「確かにそうだが、名指ししているのはララシャとエミアンローズだ。そこまでの罰を望んでいるとは思えない」
「ですが」
「最終手段としなさい」
「…はい」
リベルもララシャを選んだことで起こった事実、エミアンローズを怒鳴りつけてでも、教育を受けさせなかったことに、責任を取る覚悟であった。
クロンデール王国で口にしなかったのは、全ての責任を取った後でなければ、逃げたとされたくなかったからだ。
「ララシャはどうなりますか」
「修道院か、クロンデール王国に従うかだな」
「ロアンスラー公爵も、もし離縁になった場合は、持参金を慰謝料に使って欲しい、返金は要らないと。ララシャをこちらで引き取ることになれば、クロンデール王家には一切貶めるようなことをしないこと、関わらないこと。破った場合は修道院に入れるとしてくださいと言っておりました」
サイラスも両親も引き取らなければならないことは想定しており、ただソアリスに迷惑を掛けないことだけは譲れなかった。
「そうか、分かった」
「はい、ララシャには離縁が一番の罰になるだろうと…」
ララシャは離縁されるなどと思っていない、リベルがソアリスが両親がどうにかしてくれると思っている。
クロンデール王国に戻ると言い出すだろうが、エミアンローズと一緒にいることは出来ない。誰も温かく迎え入れてくれるような人はいないだろう。
「エミアンローズは猶予が貰えるなら、留学させたいと思っています」
「それはいいかもしれぬな。それでも猶予は長くは取れない」
18歳で成人とされるピデム王国で、王族として残すかどうか、長々と猶予を伸ばすことは出来ない。
「はい、最初からそうすべきでした」
「まずはエスザール王国にお伺いをして、カリルとリベルで謝罪をして来なさい。私は手紙を書くから持って行ってくれ」
「「承知しました」」
リベルとカリルはエスザール王国に到着し、クート国王陛下、レオン王太子殿下、グレイ王子殿下と対峙した。
エスザール王国はピデム王国やクロンデール王国よりも、歴史も古く、国土も広いことから、格上の大国と言って差し支えない。
「お時間を取っていただき、ありがとうございます。この度は義妹と姪が、大変申し訳ありませんでした」
「妻と娘が大変申し訳ありませんでした」
二人は深く頭を下げたが、クートに座ってくださいと言われ、リベルとカリルは一礼して、座った。
「そちらの対応を聞きましょうか」
クートは穏やかな表情で問い掛けた。
「こちらがリサム国王陛下からの手紙でございます」
カリルがクートに渡すと、クートは表情を変えないまま読み進めて、静かに頷き、レオンに渡した。
「折角来ていただいたのですから、言葉でも聞いておきましょうか」
「はい、リベルとララシャは離縁させ、ララシャはクロンデール王国の意向もありますが、ピデム王国に残る場合は修道院へ、クロンデール王国に戻る場合は取り決めに従いたいと思います」
「戻って来ても、ソアリス王妃は嫌がるだろうな」
クートの言葉に、レオンとグレイも頷いた。
「はい、王家を貶めないこと、関わらないことを約束させ、破った場合は修道院に入れると、ご実家のロアンスラー公爵家は申しております」
「そうか」
「はい、エミアンローズは16歳で言いわけにもなりませんが、幼いままで、ララシャに言われるがまま乗せられたような状況で、お許しいただけるのであれば、猶予をいただければと思っております」
「貰ってどうする?」
「留学させたいと思っております。猶予後も改善しない場合は、王族から抜きます」
「そうか、妥当なところかな」
リベルとカリルは深く頭を下げた。
「随分、穏やかな話し合いだと思っているだろう?」
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