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災いの元1
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「これは一体どういうことだ?」
「申し訳ございません、まさか王妃陛下の元へ行くとは」
抗議の手紙が届くと、リベルはすぐさまカリルに呼び出された。父である国王陛下宛てではないというのが、まだ忠告だと言わんばかりである。
「何のために行ったんだ?」
「もしかしたら、ですが…」
冷めきった雰囲気のままのリベルとララシャだったが、気分を変えるためにとエスザール王国の視察に同行させたのが間違いだった。
エミアンローズをグレイ殿下の婚約者にしたいなど、あまりに愚かなことを言うので、実家に帰って満足するならいいと思って帰らせたが、こんなことになるとは思っていなかった。
正直、あまり考えていなかったという方が正しい。
「エミアンローズが、エスザール王国のグレイ殿下を格好いいと言ったことで、ララシャがその気になって、王妃陛下に代われ、もしくは降りろと言いに行ったのかもしれません」
「何だと!」
「勿論、グレイ殿下の婚約者はミフル王女殿下で、代われるわけないと言ったのですが、納得していなかったのでしょう…」
「エミアンローズが王太子妃になれるわけがないだろう!」
「分かっています。ですがララシャは分かっていないのです」
父親としても、王族としても、エミアンローズが王太子妃になれるとは思えない。これがまだ幼い頃であったならば違ったかもしれないが、今となっては婚約者がいなくとも、絶対に無理だと言える。
エミアンローズも素敵、格好いいとは言っていたが、どこまで本気だったのか、分からなかった。ちょうど出掛けるところを見ただけで、話もしていなければ、互いを認識してもいない。
きっとララシャは娘が王太子妃になるということに、自分の価値が上がるような気でもしたのだろう。
「はあ…もし本当なら、内々の話ではなくなるぞ?離縁、幽閉、修道院…それ以上のことも覚悟しておくように。父上にも話をして置かなければならない」
「はい…」
「責任を取るべき時が来たのではないか」
「はい、そう思っています」
これまで通り、分からないと、大人しくしていてくれれば良かった。婚約者がミフル王女殿下でなければ、行動を起こすことはなかっただろう。
「折角、国王夫妻とはいい関係を築けているというのに…」
「申し訳ありません。迎えに行って、話をして来ます」
おそらくララシャは妹に会いに行ったくらいにしか考えていないだろうが、もしグレイ殿下のことを話したとしたら、もう庇える段階ではない上に、さすがにソアリス王妃陛下がなかったことにするとも思えない。
あとは第四王女をエミアンローズの妹にと言いに行った可能性だが、おそらくタイミングからして、可能性は低いだろうと思って言わなかった。
ソアリス王妃陛下がどう考えるか分からないが、まだ第四王女のことなら内々でどうにか出来るかもしれないが、同じことをした身として、言う資格はないが、もう許されなくてもいいと思っている。
だが、エミアンローズだけは、助けなくてはならない。
リベルはアンセム陛下に謝罪と、ロアンスラー公爵に先触れを出し、クロンデール王国に行き、カリルも謝罪の手紙を送り、返事もしくは抗議を待つしかなかった。
「わざわざ迎えに来たの?待っていればいいのに」
ロアンスラー公爵邸に着き、義兄であるサイラス・ロアンスラー公爵と応接室で待っていると、入って来たララシャの放った言葉だった。
会いたくて、迎えに来たと思っているのだろう。
リベルが甘やかしたことが原因であることは分かっているが、出会った頃がピークだった二人の関係は下がり続けており、気付いていないのはララシャだけだった。
「申し訳ございません、まさか王妃陛下の元へ行くとは」
抗議の手紙が届くと、リベルはすぐさまカリルに呼び出された。父である国王陛下宛てではないというのが、まだ忠告だと言わんばかりである。
「何のために行ったんだ?」
「もしかしたら、ですが…」
冷めきった雰囲気のままのリベルとララシャだったが、気分を変えるためにとエスザール王国の視察に同行させたのが間違いだった。
エミアンローズをグレイ殿下の婚約者にしたいなど、あまりに愚かなことを言うので、実家に帰って満足するならいいと思って帰らせたが、こんなことになるとは思っていなかった。
正直、あまり考えていなかったという方が正しい。
「エミアンローズが、エスザール王国のグレイ殿下を格好いいと言ったことで、ララシャがその気になって、王妃陛下に代われ、もしくは降りろと言いに行ったのかもしれません」
「何だと!」
「勿論、グレイ殿下の婚約者はミフル王女殿下で、代われるわけないと言ったのですが、納得していなかったのでしょう…」
「エミアンローズが王太子妃になれるわけがないだろう!」
「分かっています。ですがララシャは分かっていないのです」
父親としても、王族としても、エミアンローズが王太子妃になれるとは思えない。これがまだ幼い頃であったならば違ったかもしれないが、今となっては婚約者がいなくとも、絶対に無理だと言える。
エミアンローズも素敵、格好いいとは言っていたが、どこまで本気だったのか、分からなかった。ちょうど出掛けるところを見ただけで、話もしていなければ、互いを認識してもいない。
きっとララシャは娘が王太子妃になるということに、自分の価値が上がるような気でもしたのだろう。
「はあ…もし本当なら、内々の話ではなくなるぞ?離縁、幽閉、修道院…それ以上のことも覚悟しておくように。父上にも話をして置かなければならない」
「はい…」
「責任を取るべき時が来たのではないか」
「はい、そう思っています」
これまで通り、分からないと、大人しくしていてくれれば良かった。婚約者がミフル王女殿下でなければ、行動を起こすことはなかっただろう。
「折角、国王夫妻とはいい関係を築けているというのに…」
「申し訳ありません。迎えに行って、話をして来ます」
おそらくララシャは妹に会いに行ったくらいにしか考えていないだろうが、もしグレイ殿下のことを話したとしたら、もう庇える段階ではない上に、さすがにソアリス王妃陛下がなかったことにするとも思えない。
あとは第四王女をエミアンローズの妹にと言いに行った可能性だが、おそらくタイミングからして、可能性は低いだろうと思って言わなかった。
ソアリス王妃陛下がどう考えるか分からないが、まだ第四王女のことなら内々でどうにか出来るかもしれないが、同じことをした身として、言う資格はないが、もう許されなくてもいいと思っている。
だが、エミアンローズだけは、助けなくてはならない。
リベルはアンセム陛下に謝罪と、ロアンスラー公爵に先触れを出し、クロンデール王国に行き、カリルも謝罪の手紙を送り、返事もしくは抗議を待つしかなかった。
「わざわざ迎えに来たの?待っていればいいのに」
ロアンスラー公爵邸に着き、義兄であるサイラス・ロアンスラー公爵と応接室で待っていると、入って来たララシャの放った言葉だった。
会いたくて、迎えに来たと思っているのだろう。
リベルが甘やかしたことが原因であることは分かっているが、出会った頃がピークだった二人の関係は下がり続けており、気付いていないのはララシャだけだった。
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