私のバラ色ではない人生

野村にれ

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成長1

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 ララシャのことを気にもしていない、ソアリスには沢山の祝いが届き、産後のリハビリを終えて、一ヶ月後には無理はしないようにと怒られながらも、ようやく自由に動けるようになった。

 運動も少しずつ始め、ようやくストレスが解放され始めた。何も知らなければ、44歳で子どもを産んだのが嘘のようである。

 そして現在、王家には月齢のあまり変わらない3人の赤ちゃんがいることになり、至るところで泣き声がする。

 父と祖父を兼任しているアンセムは、孫に優しく、子に厳しくとはいかず、幼い娘にもメロメロである。

「お父様ですよ」
「っば」
「ケイト~」
「っぐ」

 喜んでいるのか、嫌がっているの分からない擬音を発するだけでも可愛い。

「可愛いね」

 アンセムはもちもちの頬をツンツンと指で触れた。

「ぺっぺっ」

 最近、このぺっぺっと言われるようになり、さすがに嫌がられるのではないかと不安になっており、ソアリスに相談すると、口の中に何かあるのではないかと言われたが、問題はない上に、ソアリスにはしないのだ。

 まさか匂いではないかと念入りに体を洗い、加齢臭チェックもして貰った。

「嫌なのか?」
「ぺっぺっ」
「何なのだろうか?やっぱり嫌なのだろうか?」
「ぺっぺっ」
「喜んでいるのかもしれませんよ?」

 乳母は居たたまれず、フォローをしたが、本心ではない。

「でも鼻に皺が寄っているんだよな…」

 そうなのである、鼻に皺をよせ、どうも喜んでいる表情ではなさそう。それでも可愛いので、嫌われていないことを願うしかない。

 母と祖母を兼任するソアリスは、相変わらず皆、平等である。

 皆、無事すくすく育ち、少しずつ性格も分かって来た。

 ユリウスとルルエの息子・ミオスはおっとりしているが、嫌がり始めると、手を付けられなくなるところがある。そして、眠る時間が短いので、すぐに起きてしまう。

 マイノスとエクシアーヌの娘・エマリーはケイトとは違った可愛らしい顔立ちで、愛嬌のある子だったが、夜泣きが酷かった。日中と夜の落差が激しい。

 そして、ケイトは肝が据わっているという言葉がぴったりだった。驚いても泣かないが、訴えることがある際は高らかに泣き出す。

 生後半年になり、離乳食が始まると、驚くほどよく食べ、よく眠る子であった。皆、口々にソアリスに似ていると言い出すのも早かった。

 ある日、マイノスとエクシアーヌは、ケイトとエマリーを並べた。二人とも赤子らしくむっちりはしているが、明らかにケイトが縦も横も大きい。

 同い年になるので、不安になったのはエクシアーヌ。マイノスは娘と妹を見比べ、エマリーはご機嫌だが、ケイトは目を逸らさずに、マイノスをじっと見ている。

「エマリーが小さいのではないのよね?」

 エクシアーヌは兄の子どもである甥は見ていたのだが、初めての子どもなので、自身の子が小さいのか、ケイトが大きいのか自信をなくしていた。

 マイノスも妹たちは自身も幼かったが、カイルスが子どもの頃より、ケイトが大きいと感じるのは錯覚ではないと実感している。

「いや、あれだけ食べるんだよ?」
「そうよね…」

 エマリーは嫌がる食べ物もあるが、ケイトは口元にスプーンを近付ければ、雛鳥のように口を開く。忙しい時は乳母に任せるが、『皆で育てよう』をスローガンに食事もアンセム、ソアリス、エクル、ミフル、カイルスが交代で与えていた。

「ケイトは本当によく食べるな」
「~ま」
「美味しいかい?」
「~む」

 面白いほどよく食べる妹は、みるみる大きくなっていったのであった。

 久し振りにやって来たアリルとリズは、ケイトの姿に驚いた。書類仕事の際は、ソアリスの執務室にベビーベットを置いて、ケイトの世話をしている。

 カイルスも大きくなるまでは同じようにしていた。

「大きくなり過ぎていない?」
「ベビーベットが小さくなったわけではないのよね?」

 腕を上に挙げて、どーんと眠るケイトを見ながら、疑問を口にした。
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