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溜息
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ソアリスは何もなかったかのように、会場に戻り、パーティーは無事に終了した。ルルエはすぐさまソアリスに駆け寄った。
「お義母様、今日はありがとうございました。戦おうと思ったのですが、お義母様の声を聞いたら、ホッとしてしまいまして、不甲斐ないですわ」
「まあ、私の声でホッとするなんて珍しいこともあるものね。皆、私が声を掛けると嫌な顔をするのよ」
ソアリスが周りにいたユリウス、マイノス、アリル、エクルを見ると、あからさまに目を逸らしている。
「心強かったです。妖精だと思おうとはしたのですが」
「あの場で言えたではないですか」
「はい、お義母様がいると思うと、言えました」
皆もそれは分かる気がすると感じていた。ソアリスがいると、いつもなら言えないことが言えるのだ。
この人は守ってくれるという気持ちも勿論あるが、この人の口の悪さよりはマシだろうと思っていることが大きい。
「義母様は妖精さんを捕獲しただけですよ。妖精さんですから、駆除するのは忍びないですから、とりあえず解放をしました、あとはオードエル公爵がどうするかですわね。でも当分、あの妖精は現れないでしょう」
「ありがとうございました」
そのサリエスト・オードエル公爵は、ミーチュアは反省しろと部屋で謹慎させたが、頭を抱えていた。
元々、悩みの種であったミーチュア。婚約も決まらないまま、23歳になってしまう年となっていた。
ミーチュアがまさか側妃ではなく、正妃を狙っていたとは思わなかった。さすがにサリエストも、考えたこともないことだった。ルルエ王太子妃殿下を蔑むことで、成り代われると思っていたのか。
愚か過ぎて、怒りより、もはや溜息しか出ない。
「母上に頼もう」
「な、お義母様に頼んだりしたら、また何を言われるか分からないわ」
「それほどのことをしたんだ」
婚約解消の際に母に預かると言われたが、ファーリンが次の縁談のためにも出会いを求めるべきだと、王都に留まっていた。
「私が酷いことを言われてもいいって言うの!酷い」
「いい加減にしなさい、酷いと言って許される年齢を超えているんだから」
「っな、あなたまでそんなことを」
ミーチュアの婚約解消の原因は、自身に婚約者がいるにもかかわらず、姉・ミソラの当時は婚約者であるフレイク侯爵家のリークスに懸想したからである。
リークスは婚約者の妹であるだけで、女性として相手にしなかったが、ミソラは素直になってなどと言い、婚約をしていたピデム王国の侯爵家の令息に、解消をされたのである。
他国だったことからミーチュアは見られていない、駄目だった場合の保険として婚約はそのままにしていた。
ピデム王国と言えば、ララシャのいる国であるが、ララシャは関係なく、オードエル公爵の伝手で決まった縁談であった。
破棄ではなく解消としたが、多額の慰謝料を支払った。
さすがにファーリンもミーチュアをミソラの婚約者であったことから、擁護することはなかったが、気持ちに嘘が付けなかったのよと慰めていた。
ミソラとリークスは予定通り結婚したが、ミーチュアは接近禁止となっている。ファーリンとの関係も冷ややかになっていることは仕方ないだろう。
結婚したことによって、さすがにミーチュアもリークスは諦めたが、懸想する姿を見ていた者も多かったことで、公爵家ともなると下位貴族に嫁がせることも出来ず、婚約してもいいという者も見付からなかった。
そして、現在である。
サリエストもルルエが懐妊しないことで、側妃となれば、未婚のミーチュアに白羽の矢が立つと願っていたが、母親である王妃陛下に嫌われ、当のユリウス王太子殿下にも嫌悪されたとなれば、可能性はなくなった。
ミソラとミーチュアの弟で、嫡男であるルカンは19歳。
結婚したばかりで、結婚する前までにミーチュアをどうにかしたかったが、相手が見付からず、側妃は最後の希望であった。
「お義母様、今日はありがとうございました。戦おうと思ったのですが、お義母様の声を聞いたら、ホッとしてしまいまして、不甲斐ないですわ」
「まあ、私の声でホッとするなんて珍しいこともあるものね。皆、私が声を掛けると嫌な顔をするのよ」
ソアリスが周りにいたユリウス、マイノス、アリル、エクルを見ると、あからさまに目を逸らしている。
「心強かったです。妖精だと思おうとはしたのですが」
「あの場で言えたではないですか」
「はい、お義母様がいると思うと、言えました」
皆もそれは分かる気がすると感じていた。ソアリスがいると、いつもなら言えないことが言えるのだ。
この人は守ってくれるという気持ちも勿論あるが、この人の口の悪さよりはマシだろうと思っていることが大きい。
「義母様は妖精さんを捕獲しただけですよ。妖精さんですから、駆除するのは忍びないですから、とりあえず解放をしました、あとはオードエル公爵がどうするかですわね。でも当分、あの妖精は現れないでしょう」
「ありがとうございました」
そのサリエスト・オードエル公爵は、ミーチュアは反省しろと部屋で謹慎させたが、頭を抱えていた。
元々、悩みの種であったミーチュア。婚約も決まらないまま、23歳になってしまう年となっていた。
ミーチュアがまさか側妃ではなく、正妃を狙っていたとは思わなかった。さすがにサリエストも、考えたこともないことだった。ルルエ王太子妃殿下を蔑むことで、成り代われると思っていたのか。
愚か過ぎて、怒りより、もはや溜息しか出ない。
「母上に頼もう」
「な、お義母様に頼んだりしたら、また何を言われるか分からないわ」
「それほどのことをしたんだ」
婚約解消の際に母に預かると言われたが、ファーリンが次の縁談のためにも出会いを求めるべきだと、王都に留まっていた。
「私が酷いことを言われてもいいって言うの!酷い」
「いい加減にしなさい、酷いと言って許される年齢を超えているんだから」
「っな、あなたまでそんなことを」
ミーチュアの婚約解消の原因は、自身に婚約者がいるにもかかわらず、姉・ミソラの当時は婚約者であるフレイク侯爵家のリークスに懸想したからである。
リークスは婚約者の妹であるだけで、女性として相手にしなかったが、ミソラは素直になってなどと言い、婚約をしていたピデム王国の侯爵家の令息に、解消をされたのである。
他国だったことからミーチュアは見られていない、駄目だった場合の保険として婚約はそのままにしていた。
ピデム王国と言えば、ララシャのいる国であるが、ララシャは関係なく、オードエル公爵の伝手で決まった縁談であった。
破棄ではなく解消としたが、多額の慰謝料を支払った。
さすがにファーリンもミーチュアをミソラの婚約者であったことから、擁護することはなかったが、気持ちに嘘が付けなかったのよと慰めていた。
ミソラとリークスは予定通り結婚したが、ミーチュアは接近禁止となっている。ファーリンとの関係も冷ややかになっていることは仕方ないだろう。
結婚したことによって、さすがにミーチュアもリークスは諦めたが、懸想する姿を見ていた者も多かったことで、公爵家ともなると下位貴族に嫁がせることも出来ず、婚約してもいいという者も見付からなかった。
そして、現在である。
サリエストもルルエが懐妊しないことで、側妃となれば、未婚のミーチュアに白羽の矢が立つと願っていたが、母親である王妃陛下に嫌われ、当のユリウス王太子殿下にも嫌悪されたとなれば、可能性はなくなった。
ミソラとミーチュアの弟で、嫡男であるルカンは19歳。
結婚したばかりで、結婚する前までにミーチュアをどうにかしたかったが、相手が見付からず、側妃は最後の希望であった。
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