私のバラ色ではない人生

野村にれ

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策略

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「はあ…役に立たなかったわね」

 ミリンティーは自室で溜息を付いた。

 ソアリス達が思った様に、ベリーナのせいで婚約が解消になることを狙い、注意されて止められては困るから、庇うような真似をしていた。

 特に自分より上の立場であるアリル王女がいることで、今までミリンティー様と持ち上げていた者たちが減ってしまった。

 さらにミコロン・ノージュリー公爵令嬢もおり、二人が親しいことによって、ミリンティーは格下扱いなのが不満だったが、母は優しいが、父は厳しいので、王家や公爵家に楯突くようなことをすれば、どうなるか分からない。

 ルーファが特別好きなわけではなかったが、アリル王女への態度を見て、夫にするにはいいと思っていた。アリル相手だからの態度なのだが、ミリンティーは自分も同じように接してくれると疑わなかった。

 だからこそ特に二人の婚約が、駄目になればいいのにと願っていた。

 公爵令息と釣り合いの取れる相手は限られるため、きっと自分に回って来るだろうという確信をなぜか持っていた。

 だが、不満が上がっているということで試験が行われ、礼儀とマナーの授業が行われ出してからは、雲行きが怪しくはなっていた。態度を改められても、処罰を受けることになっても、思惑が通らなくなってしまう。

 二人は転校、二人は残ることになったはずだが、姿も見えなかった。ゆえに令息に近付くことはない。

 ミリンティーは一度も婚約者がいない。

 学園に入る前までにと両親は探してくれてはいたが、年が離れていたり、容姿が気に入らなかったり、爵位が低かったりと、決まることはなかった。

 学園に入って見初められるかもしれないと思っていたが、高位貴族はほぼ全員婚約者がいたのだ。皆、親が決めた相手だったり、知り合って結ばれた相手だったり、いないのは何らかの理由がある令息だけだった。

 そこへ現れたのがベリーナだった。下品だと思っていたが、高位貴族ばかりを狙っていることで、誰かの婚約がなくなるかもと思うようになった。しかもベリーナでは不十分で、身を引かせればいい、男爵家なら脅せばいいと思った。

 しかもベリーナを庇うことで、令息に寛容な姿を見せ付けることが出来る。寛容な女性の方が男性に好かれると聞いていたので、実行した。

 ミリンティーは自らベリーナのように、奪い取るのではなく、侯爵令嬢なのだから、いずれいい相手が転がって来ると信じて、待っていた。

 婚約者を探す際に、お母様が言っていた。

「王妃はララシャ様だったのよぉ、ララシャ様とはとても仲良しだったのぉ。でもピデム王国の第二王子に見初められて、嫁いで行ってしまったからぁ」
「今の王太子妃殿下とは仲良くないのですか?姉妹なのでしょう?」
「話したことはあるけど、年齢も違うからぁ。ソアリス妃ではなくララシャ妃だったら、ミリンティーを王子殿下の婚約者に出来たのにぃ」
「そんな…」

 ユリウスの婚約者を決める際にも、一応名前だけはあったが、顔合わせすらなく、年齢差があるという理由で断られており、マイノスの際は選ばれるようなこともなく、王女に決まった。

「ララシャ様に息子さんがいたらぁ…あなたと婚約を打診するのだけどぉ」
「でも王太子殿下には王子がいますよね?」
「っえ、ええ、でも知り合いではないですしぃ、他国のことになりますからねぇ」
「そうなのですか…」

 ピデム王国の王太子の息子が二人いて、婚約者がいないと聞いていた。ユリウス王太子殿下の結婚式の際に来ていたそうだが、姿は確認できなかった。

 ルイス殿下が気に入っていれば、二人は出会いを果たしていたかもしれないが、いくら胸が好きでも、パツパツは好みではなかったのだろう。
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