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悲喜
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そして、学園を卒業し、結婚を控えていた、ユリウス王太子殿下と、ルルエ・トアソン侯爵令嬢の結婚式が行われた。
二人は教育も滞りなく進み、新たな王太子夫妻の誕生となった。
ユリウスはソアリスの本性を知らないことだけが、気がかりではあったが、ルルエのおおらかさで乗り越えてもらうしかない。
「王太子殿下~!」
「王太子妃殿下様~!」
「おめでとうございます」
国民にも祝福され、アンセムもソアリスも、きょうだいたちも、そして祖父母であるロランとテラーも、皆で花を添えた。
もう一方の祖父母であるはずのロアンスラー公爵夫妻は、他の貴族と共に貴族席で、祝福を贈った。誕生日にはお祝いを贈って貰ったり、関わりがないわけではなかったが、邸に遊びに行ったりという私的なことは一切ない。
「大きくなったな」
「ええ、孫が結婚なんて…」
「あまり実感はないがな」
「ええ…」
王族であるがために姿を見ることも、時折話をすることも出来るが、私的なことがないため、実感もない。
「私たちは間違えてしまったんだろうか」
「ええ…」
ララシャは子どもが出来て、最初の頃は待望の子どもで、見せびらかすために連れて来ていたが、移動をするとエミアンローズの機嫌が悪くなるからと、パタリと来なくなり、疎遠になっていた。
兄・サイラスにも子どもをララシャに養子に出すことを、勝手に考えていたことから距離が出来てしまっていた。
そして、ソアリスも酷いことをした手前、脅されてもおり、今さらどうしていいか分からなくなり、二人はすっかり静かになっていた。
サイラスもソアリスのことを見下していたので、今さらすり寄ることも出来ず、王家とロアンスラー公爵家との関係性は希薄であった。
ミランも執念と言うべきか、結婚式の日はとても体が軽いとまで言っており、二人の門出を祝福した。だが、その二週間後に、急変した。
「お母様」
「お祖母様」
「おお祖母様」
「ミラン様…」
「おおばあちゃま」
ミランは子どもに孫に曾孫に、使用人に、本当にいい人生だったと毎日言っており、悲しみながらも、皆で夫・アロークの元へと送り出した。
美しく、温かいミラン・グレンバレンは長い生涯を終えた―――。
いつも健康が取り柄のソアリスですら、毎日会っていたミランがいないことで、どこか気力を失い、そこへ追い打ちを掛けるように、厄介ごとが忍び寄っていた。
実はユリウスの結婚式に、ピデム王国の王太子の代わりとして、リベル殿下とルイス王子殿下が参列していた。本来は王太子夫妻が参列予定だったが、王太子が骨折をしてしまい、リベルとルイスが代理となった。
他にも貴賓が多く、その際はお決まりの挨拶程度であったが、リベル殿下から、久し振りに話があるのでお時間を貰いたいと連絡があった。
別の国のパーティーなどでも顔を合わせることはあったが、外交であるためか、ララシャを伴っていることはなく、その時も挨拶と世間話程度であった。
ゆえにしっかりとリベルに会うのは、実は約13年前のエクルに会いに来た、ソアリスに言わせれば雑巾だった、あの日以来となる。
対応をしたのは、ソアリスに面倒なことが起きそうだから、嫌だと断られたので、アンセムのみである。
「結婚式にご参列くださり、ありがとうございました」
「とても良い式だった」
「ありがとうございます。ご家族もお元気ですか?」
「ああ、ララシャもエミアンローズも、元気にしている」
「それならば良かったです。それで、お話とは?」
リベルは胸を張り、自信ありげに、おほんと咳払いをした。
「ああ、ルイスがアリル王女を妃に見初めたゆえ、報告に来たのだ」
「はい?」
二人は教育も滞りなく進み、新たな王太子夫妻の誕生となった。
ユリウスはソアリスの本性を知らないことだけが、気がかりではあったが、ルルエのおおらかさで乗り越えてもらうしかない。
「王太子殿下~!」
「王太子妃殿下様~!」
「おめでとうございます」
国民にも祝福され、アンセムもソアリスも、きょうだいたちも、そして祖父母であるロランとテラーも、皆で花を添えた。
もう一方の祖父母であるはずのロアンスラー公爵夫妻は、他の貴族と共に貴族席で、祝福を贈った。誕生日にはお祝いを贈って貰ったり、関わりがないわけではなかったが、邸に遊びに行ったりという私的なことは一切ない。
「大きくなったな」
「ええ、孫が結婚なんて…」
「あまり実感はないがな」
「ええ…」
王族であるがために姿を見ることも、時折話をすることも出来るが、私的なことがないため、実感もない。
「私たちは間違えてしまったんだろうか」
「ええ…」
ララシャは子どもが出来て、最初の頃は待望の子どもで、見せびらかすために連れて来ていたが、移動をするとエミアンローズの機嫌が悪くなるからと、パタリと来なくなり、疎遠になっていた。
兄・サイラスにも子どもをララシャに養子に出すことを、勝手に考えていたことから距離が出来てしまっていた。
そして、ソアリスも酷いことをした手前、脅されてもおり、今さらどうしていいか分からなくなり、二人はすっかり静かになっていた。
サイラスもソアリスのことを見下していたので、今さらすり寄ることも出来ず、王家とロアンスラー公爵家との関係性は希薄であった。
ミランも執念と言うべきか、結婚式の日はとても体が軽いとまで言っており、二人の門出を祝福した。だが、その二週間後に、急変した。
「お母様」
「お祖母様」
「おお祖母様」
「ミラン様…」
「おおばあちゃま」
ミランは子どもに孫に曾孫に、使用人に、本当にいい人生だったと毎日言っており、悲しみながらも、皆で夫・アロークの元へと送り出した。
美しく、温かいミラン・グレンバレンは長い生涯を終えた―――。
いつも健康が取り柄のソアリスですら、毎日会っていたミランがいないことで、どこか気力を失い、そこへ追い打ちを掛けるように、厄介ごとが忍び寄っていた。
実はユリウスの結婚式に、ピデム王国の王太子の代わりとして、リベル殿下とルイス王子殿下が参列していた。本来は王太子夫妻が参列予定だったが、王太子が骨折をしてしまい、リベルとルイスが代理となった。
他にも貴賓が多く、その際はお決まりの挨拶程度であったが、リベル殿下から、久し振りに話があるのでお時間を貰いたいと連絡があった。
別の国のパーティーなどでも顔を合わせることはあったが、外交であるためか、ララシャを伴っていることはなく、その時も挨拶と世間話程度であった。
ゆえにしっかりとリベルに会うのは、実は約13年前のエクルに会いに来た、ソアリスに言わせれば雑巾だった、あの日以来となる。
対応をしたのは、ソアリスに面倒なことが起きそうだから、嫌だと断られたので、アンセムのみである。
「結婚式にご参列くださり、ありがとうございました」
「とても良い式だった」
「ありがとうございます。ご家族もお元気ですか?」
「ああ、ララシャもエミアンローズも、元気にしている」
「それならば良かったです。それで、お話とは?」
リベルは胸を張り、自信ありげに、おほんと咳払いをした。
「ああ、ルイスがアリル王女を妃に見初めたゆえ、報告に来たのだ」
「はい?」
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