66 / 335
人気者王女の末路2
しおりを挟む
「それは婚約者だったのよ!当たり前じゃない!私が一番なのよ!」
「だったらエクシアーヌが、その姿を見ていたら、どう思うか分からないの?姉なんでしょう?」
「そ、それは…エクシアーヌと親しそうにもしていなかったし、私の方が良いと思ったのよ!」
エクシアーヌは割り切った考えを持っている、だからこそ正妃は第一王女に譲るべきでしょう。私だったら王太子にだって後押し出来るのに、分かっていないようだった。だからこそ、話をしに行ったのに、追い返された。
「マイノス王子とエクシアーヌのことを、あなたが何が分かるというのです」
「楽しくお話したのよ」
「だから何ですか?それで好かれていると思ったのですか?恥ずかしい真似をしてくれたものだわ。はっきり言うわ、国内での結婚相手がいません」
「どうせ側妃なんでしょう!」
「側妃、ではないが、正妃でもない。妃という立場だが、既に二人の妃がいる」
リガルタが唯一快く了承を貰えたのは小国の王子だったが、既に妃がいる。
「後宮ってこと?そんなところ嫌よ!絶対に嫌」
「それに近いが、皆立場は同じだそうだ。あとは既に正妃や嫡男がおり、お前の言う側妃という扱いになる」
住まいは同じ区画にはなるが、愛し合う場ではない。皆で寵愛を奪い合うわけでもなく、与えられた役割をこなすのが妃となるそうだ。寵愛が欲しいというような相手は、王子は遠ざける。役割をこなせないと、立場はなくなる。シシリーヌには耐えられない、いい罰になると思った。
他に打診した先は既に正妃や嫡男がいるため、扱いが正妃よりは良いとは言えないが、それでもいいならばという王家であった。
「どうしてよ、探してくれてもいいじゃない」
「王女ということで、力関係が面倒だと受け入れ先がない」
他国の貴族も年下より年上の方が良いと思い、後妻も探したが、考えてみるという答えすらなく、断られてしまった。
「そんなはずないわ!だったら、パトリックともう一度どうにかしてよ!」
「ダソール公爵令息だ!何度も言わせるな!はあ…婚約は二度と出来ないと言っただろう。もう婚約は白紙になっている」
「まさか、婚約したとでも言うんじゃないでしょうね」
「いや、シシリーヌとは違って、打診はあったそうだが」
リガルタは嫌味のつもりで話していたが、話の途中でシシリーヌは机を叩き付けて、立ち上がった。
「何ですって!私と白紙になったからって!信じられない!どこの貴族令嬢よ!文句を言ってやるわ」
「いい加減にしなさい!パトリックは優秀だ、白紙になったのだから、打診くらいある。だが、断ったそうだ、おそらくお前が嫁いだら探すつもりなんだろう」
「パトリックは」
さすがにリガルタがシシリーヌを睨み付けた。
「ダ、ダソール公爵令息は、私を待っているわ。お願いよ、もう一度話をすれば分かってくれるわ」
「もう二度と個人的に会う気はないと言っている。会いたいのなら、会いに来るだろう。こちらで止めてなどいない」
「そんな…」
「目的はパトリックだったのね、マイノス王子を利用しようとして、何をしたか分かっているの!本当に価値を下げに行ったのね。どうするか自分で決めなさい」
「私は愛し愛されたいの!」
「パトリックに会いに行くことは許さん。愛に生きたいのなら、王女をやめて出て行くといい」
クロンデール王国側から、側妃の件は慎重に進めて欲しい。無理に嫁がせても、納得しないままだと不利益を起こしかねないと、妃も側妃も保留として貰っている。
「それは…」
「出て行くことを止めはしない。シシリーヌ第一王女は抹消する」
これ以上は過信できないと、宰相と取り決めていたことだった。次に何か問題を起こせば、抹消する。
「そんな…そんな酷いことをどうして言えるの」
「当たり前だろう、お前は王女だろう?それを放棄したと見なす。よく考えなさい」
「だったらエクシアーヌが、その姿を見ていたら、どう思うか分からないの?姉なんでしょう?」
「そ、それは…エクシアーヌと親しそうにもしていなかったし、私の方が良いと思ったのよ!」
エクシアーヌは割り切った考えを持っている、だからこそ正妃は第一王女に譲るべきでしょう。私だったら王太子にだって後押し出来るのに、分かっていないようだった。だからこそ、話をしに行ったのに、追い返された。
「マイノス王子とエクシアーヌのことを、あなたが何が分かるというのです」
「楽しくお話したのよ」
「だから何ですか?それで好かれていると思ったのですか?恥ずかしい真似をしてくれたものだわ。はっきり言うわ、国内での結婚相手がいません」
「どうせ側妃なんでしょう!」
「側妃、ではないが、正妃でもない。妃という立場だが、既に二人の妃がいる」
リガルタが唯一快く了承を貰えたのは小国の王子だったが、既に妃がいる。
「後宮ってこと?そんなところ嫌よ!絶対に嫌」
「それに近いが、皆立場は同じだそうだ。あとは既に正妃や嫡男がおり、お前の言う側妃という扱いになる」
住まいは同じ区画にはなるが、愛し合う場ではない。皆で寵愛を奪い合うわけでもなく、与えられた役割をこなすのが妃となるそうだ。寵愛が欲しいというような相手は、王子は遠ざける。役割をこなせないと、立場はなくなる。シシリーヌには耐えられない、いい罰になると思った。
他に打診した先は既に正妃や嫡男がいるため、扱いが正妃よりは良いとは言えないが、それでもいいならばという王家であった。
「どうしてよ、探してくれてもいいじゃない」
「王女ということで、力関係が面倒だと受け入れ先がない」
他国の貴族も年下より年上の方が良いと思い、後妻も探したが、考えてみるという答えすらなく、断られてしまった。
「そんなはずないわ!だったら、パトリックともう一度どうにかしてよ!」
「ダソール公爵令息だ!何度も言わせるな!はあ…婚約は二度と出来ないと言っただろう。もう婚約は白紙になっている」
「まさか、婚約したとでも言うんじゃないでしょうね」
「いや、シシリーヌとは違って、打診はあったそうだが」
リガルタは嫌味のつもりで話していたが、話の途中でシシリーヌは机を叩き付けて、立ち上がった。
「何ですって!私と白紙になったからって!信じられない!どこの貴族令嬢よ!文句を言ってやるわ」
「いい加減にしなさい!パトリックは優秀だ、白紙になったのだから、打診くらいある。だが、断ったそうだ、おそらくお前が嫁いだら探すつもりなんだろう」
「パトリックは」
さすがにリガルタがシシリーヌを睨み付けた。
「ダ、ダソール公爵令息は、私を待っているわ。お願いよ、もう一度話をすれば分かってくれるわ」
「もう二度と個人的に会う気はないと言っている。会いたいのなら、会いに来るだろう。こちらで止めてなどいない」
「そんな…」
「目的はパトリックだったのね、マイノス王子を利用しようとして、何をしたか分かっているの!本当に価値を下げに行ったのね。どうするか自分で決めなさい」
「私は愛し愛されたいの!」
「パトリックに会いに行くことは許さん。愛に生きたいのなら、王女をやめて出て行くといい」
クロンデール王国側から、側妃の件は慎重に進めて欲しい。無理に嫁がせても、納得しないままだと不利益を起こしかねないと、妃も側妃も保留として貰っている。
「それは…」
「出て行くことを止めはしない。シシリーヌ第一王女は抹消する」
これ以上は過信できないと、宰相と取り決めていたことだった。次に何か問題を起こせば、抹消する。
「そんな…そんな酷いことをどうして言えるの」
「当たり前だろう、お前は王女だろう?それを放棄したと見なす。よく考えなさい」
3,878
お気に入りに追加
7,542
あなたにおすすめの小説
死にかけ令嬢は二度と戻らない
水空 葵
恋愛
使用人未満の扱いに、日々の暴力。
食事すら満足に口に出来ない毎日を送っていた伯爵令嬢のエリシアは、ついに腕も動かせないほどに衰弱していた。
味方になっていた侍女は全員クビになり、すぐに助けてくれる人はいない状況。
それでもエリシアは諦めなくて、ついに助けを知らせる声が響いた。
けれど、虐めの発覚を恐れた義母によって川に捨てられ、意識を失ってしまうエリシア。
次に目を覚ました時、そこはふかふかのベッドの上で……。
一度は死にかけた令嬢が、家族との縁を切って幸せになるお話。
※他サイト様でも連載しています
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
筆頭側近様、この皇子止めて下さい!
チカフジ ユキ
恋愛
ミリアは小国の男爵家出身。
勉強だけはできたので、大国アーシェの学院で学ぶ優秀な学生だが、ある日偶然図書館で頭上から落ちてきた本を拾ったことが運の尽き。
その本の持ち主であるアーシェの第二皇子殿下に気にいられ、なぜか同志として認定される。
実は、この皇子様、人に大っぴらに言えない趣味の持ち主で、ミリアは都合のいい話相手になるのだった。
誰も助けてくれない皇子様の妄想と語りに立ち向かうミリアの味方はいるのか、いないのか。
そして、心の中で思うのはただ一つ。
あんた、皇子殿下の筆頭側近なのだから、なんとかしなさいよ!
と。
もう二度とあなたの妃にはならない
葉菜子
恋愛
8歳の時に出会った婚約者である第一王子に一目惚れしたミーア。それからミーアの中心は常に彼だった。
しかし、王子は学園で男爵令嬢を好きになり、相思相愛に。
男爵令嬢を正妃に置けないため、ミーアを正妃にし、男爵令嬢を側妃とした。
ミーアの元を王子が訪れることもなく、妃として仕事をこなすミーアの横で、王子と側妃は愛を育み、妊娠した。その側妃が襲われ、犯人はミーアだと疑われてしまい、自害する。
ふと目が覚めるとなんとミーアは8歳に戻っていた。
なぜか分からないけど、せっかくのチャンス。次は幸せになってやると意気込むミーアは気づく。
あれ……、彼女と立場が入れ替わってる!?
公爵令嬢が男爵令嬢になり、人生をやり直します。
ざまぁは無いとは言い切れないですが、無いと思って頂ければと思います。
婚約者は聖女を愛している。……と、思っていたが何か違うようです。
棗
恋愛
セラティーナ=プラティーヌには婚約者がいる。灰色の髪と瞳の美しい青年シュヴァルツ=グリージョが。だが、彼が愛しているのは聖女様。幼少期から両想いの二人を引き裂く悪女と社交界では嘲笑われ、両親には魔法の才能があるだけで嫌われ、妹にも馬鹿にされる日々を送る。
そんなセラティーナには前世の記憶がある。そのお陰で悲惨な日々をあまり気にせず暮らしていたが嘗ての夫に会いたくなり、家を、王国を去る決意をするが意外にも近く王国に来るという情報を得る。
前世の夫に一目でも良いから会いたい。会ったら、王国を去ろうとセラティーナが嬉々と準備をしていると今まで聖女に夢中だったシュヴァルツがセラティーナを気にしだした。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
関係を終わらせる勢いで留学して数年後、犬猿の仲の狼王子がおかしいことになっている
百門一新
恋愛
人族貴族の公爵令嬢であるシェスティと、獣人族であり六歳年上の第一王子カディオが、出会った時からずっと犬猿の仲なのは有名な話だった。賢い彼女はある日、それを終わらせるべく(全部捨てる勢いで)隣国へ保留学した。だが、それから数年、彼女のもとに「――カディオが、私を見ないと動機息切れが収まらないので来てくれ、というお願いはなんなの?」という変な手紙か実家から来て、帰国することに。そうしたら、彼の様子が変で……?
※さくっと読める短篇です、お楽しみいだたけましたら幸いです!
※他サイト様にも掲載
姿を偽った黒髪令嬢は、女嫌いな公爵様のお世話係をしているうちに溺愛されていたみたいです
鳴宮野々花@初書籍発売中【二度婚約破棄】
恋愛
王国の片田舎にある小さな町から、八歳の時に母方の縁戚であるエヴェリー伯爵家に引き取られたミシェル。彼女は伯爵一家に疎まれ、美しい髪を黒く染めて使用人として生活するよう強いられた。以来エヴェリー一家に虐げられて育つ。
十年後。ミシェルは同い年でエヴェリー伯爵家の一人娘であるパドマの婚約者に嵌められ、伯爵家を身一つで追い出されることに。ボロボロの格好で人気のない場所を彷徨っていたミシェルは、空腹のあまりふらつき倒れそうになる。
そこへ馬で通りがかった男性と、危うくぶつかりそうになり──────
※いつもの独自の世界のゆる設定なお話です。何もかもファンタジーです。よろしくお願いします。
※この作品はカクヨム、小説家になろう、ベリーズカフェにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる