60 / 278
禍害(裏)1
しおりを挟む
「え?」「どういうこと?」「ん?」
「王子王女ってだけで皆、素敵な容姿、素晴らしい人柄を求めるでしょう?」
確かに劇や小説にもなっていることもあり、子どもも絵本などを読むことから、王子や王女はレベルの高さを求められる。
「まず持っている点数があるとして、何か些細な事でも悪いところがあると、どんどん減点されてしまう。だから加点が必要なのよ?」
「加点?」
「見た目や人柄も勿論だけど、勉強、語学、剣術、体術、ダンス、芸術、お金を稼ぐっていうのもいいわね。人気者王女は、一番のくせにただ減点を重ねているだけでしょう?加点がないもの。今日、加点ありました?」
「ないな…」「ないですわね」
「そういうことですわ、幻の相手にも点数を下げ続けたのでしょう」
ドアがノックされ、慌てた様子でメイドがやって来た。
エクシアーヌはシシリーヌが何かしたのかと、ドキっとしたが、他の者はそのメイドを見ただけで、ああと思っていた。
「王妃様、カイルス殿下がトイレに起きました」
「ああ…」
「おかあさまのうでまくらと言いながら、泣いておられます」
「はあ…」
「後は話しておくから、行ってやりなさい」
ソアリスはうんざりという顔を隠さずに、重たい足取りで出て行った。
「本当に大好きなんですね」
「異常なんですの。それこそカイルスの人気者はお母様です」
「間違いない」
「そして、母上はたまになかなか思うことを言う」
「確かに」「加点か…」
アンセムもその通りだなと思ったが、エクシアーヌ王女に事情を話しておかなくてはいけない。
「エクシアーヌ王女、なぜこんなことになったのか、説明しておこう」
「はい!」
事の始まりは勿論、ゾル王国の国王陛下からの手紙であった。そこには大変申し訳ないが、シシリーヌが勝手にエクシアーヌに付いて、そちらに向かおうとしていること、そしてシシリーヌの処遇はソアリスに一任したいということだった。
問題を起こせば処罰してもいい、何をしても責任を負わせない。それを理由に結婚が決まりそうだから、嫁がせるつもりだとあった。
アンセムはいくら何でもと思ったが、アイリーンからも手紙が届いた。
どうやらアイリーンが相談を受けて、両陛下に助言をしたようで、スディア王太子妃がまだ安定期に入っていないため、面倒なシシリーヌをどうにか気力を削いで欲しいということであった。
確かに削ぐという点ではソアリスほどの適任者はいないだろう。
アンセムはソアリスを呼び、事情を話した。表情は変えないが、心の中に黒い物が生み出されているのではないかと推測が出来る。
「どうだろう?」
「気色の悪い王女ですわね」
皆の心臓がキュッとなった瞬間だった。
「ああ…だが、一応王女なんだ」
「分かっておりますわ、マリエンヌ王妃様とアイリーン様から私にも手紙が届きました。私の言う通りに動いて貰って構いませんこと?」
「何をしたいかだけ教えてくれないか」
ソアリスが語ったのは、シシリーヌが側妃のことを耳にしたのかもしれないこと。愛し愛されたいという思考であるため、側妃になりたくないこと。
ゆえに目的は婚約者であること。マイノス、もしくはユリウスであること。
ユリウスとマイノスに接触が出来ないように配置し、マイノスとユリウスをエクシアーヌからも遠ざけること。シシリーヌとエクシアーヌを同等に扱い、対応は私は忙しいので、アリルとエクルとミフルに任せること。
最終手段として、カイルスをシシリーヌに差し向けること。
「二人は婚約者がいる、しかも、マイノスの婚約者は実妹だぞ?」
「婚約者がいる相手を奪う王族なんて、陛下が一番身を持って分かってらっしゃるでしょう?忘れたの?」
「そ、そうだった」
すっかり関わりがなくなって、ララシャのことを忘れていた。
「王子王女ってだけで皆、素敵な容姿、素晴らしい人柄を求めるでしょう?」
確かに劇や小説にもなっていることもあり、子どもも絵本などを読むことから、王子や王女はレベルの高さを求められる。
「まず持っている点数があるとして、何か些細な事でも悪いところがあると、どんどん減点されてしまう。だから加点が必要なのよ?」
「加点?」
「見た目や人柄も勿論だけど、勉強、語学、剣術、体術、ダンス、芸術、お金を稼ぐっていうのもいいわね。人気者王女は、一番のくせにただ減点を重ねているだけでしょう?加点がないもの。今日、加点ありました?」
「ないな…」「ないですわね」
「そういうことですわ、幻の相手にも点数を下げ続けたのでしょう」
ドアがノックされ、慌てた様子でメイドがやって来た。
エクシアーヌはシシリーヌが何かしたのかと、ドキっとしたが、他の者はそのメイドを見ただけで、ああと思っていた。
「王妃様、カイルス殿下がトイレに起きました」
「ああ…」
「おかあさまのうでまくらと言いながら、泣いておられます」
「はあ…」
「後は話しておくから、行ってやりなさい」
ソアリスはうんざりという顔を隠さずに、重たい足取りで出て行った。
「本当に大好きなんですね」
「異常なんですの。それこそカイルスの人気者はお母様です」
「間違いない」
「そして、母上はたまになかなか思うことを言う」
「確かに」「加点か…」
アンセムもその通りだなと思ったが、エクシアーヌ王女に事情を話しておかなくてはいけない。
「エクシアーヌ王女、なぜこんなことになったのか、説明しておこう」
「はい!」
事の始まりは勿論、ゾル王国の国王陛下からの手紙であった。そこには大変申し訳ないが、シシリーヌが勝手にエクシアーヌに付いて、そちらに向かおうとしていること、そしてシシリーヌの処遇はソアリスに一任したいということだった。
問題を起こせば処罰してもいい、何をしても責任を負わせない。それを理由に結婚が決まりそうだから、嫁がせるつもりだとあった。
アンセムはいくら何でもと思ったが、アイリーンからも手紙が届いた。
どうやらアイリーンが相談を受けて、両陛下に助言をしたようで、スディア王太子妃がまだ安定期に入っていないため、面倒なシシリーヌをどうにか気力を削いで欲しいということであった。
確かに削ぐという点ではソアリスほどの適任者はいないだろう。
アンセムはソアリスを呼び、事情を話した。表情は変えないが、心の中に黒い物が生み出されているのではないかと推測が出来る。
「どうだろう?」
「気色の悪い王女ですわね」
皆の心臓がキュッとなった瞬間だった。
「ああ…だが、一応王女なんだ」
「分かっておりますわ、マリエンヌ王妃様とアイリーン様から私にも手紙が届きました。私の言う通りに動いて貰って構いませんこと?」
「何をしたいかだけ教えてくれないか」
ソアリスが語ったのは、シシリーヌが側妃のことを耳にしたのかもしれないこと。愛し愛されたいという思考であるため、側妃になりたくないこと。
ゆえに目的は婚約者であること。マイノス、もしくはユリウスであること。
ユリウスとマイノスに接触が出来ないように配置し、マイノスとユリウスをエクシアーヌからも遠ざけること。シシリーヌとエクシアーヌを同等に扱い、対応は私は忙しいので、アリルとエクルとミフルに任せること。
最終手段として、カイルスをシシリーヌに差し向けること。
「二人は婚約者がいる、しかも、マイノスの婚約者は実妹だぞ?」
「婚約者がいる相手を奪う王族なんて、陛下が一番身を持って分かってらっしゃるでしょう?忘れたの?」
「そ、そうだった」
すっかり関わりがなくなって、ララシャのことを忘れていた。
3,722
お気に入りに追加
7,213
あなたにおすすめの小説
【R18】翡翠の鎖
環名
ファンタジー
ここは異階。六皇家の一角――翠一族、その本流であるウィリデコルヌ家のリーファは、【翠の疫病神】という異名を持つようになった。嫁した相手が不幸に見舞われ続け、ついには命を落としたからだ。だが、その葬儀の夜、喧嘩別れしたと思っていた翠一族当主・ヴェルドライトがリーファを迎えに来た。「貴女は【幸運の運び手】だよ」と言って――…。
※R18描写あり→*
自称ヒロインに「あなたはモブよ!」と言われましたが、私はモブで構いません!!
ゆずこしょう
恋愛
ティアナ・ノヴァ(15)には1人の変わった友人がいる。
ニーナ・ルルー同じ年で小さい頃からわたしの後ろばかり追ってくる、少しめんどくさい赤毛の少女だ。
そしていつも去り際に一言。
「私はヒロインなの!あなたはモブよ!」
ティアナは思う。
別に物語じゃないのだし、モブでいいのではないだろうか…
そんな一言を言われるのにも飽きてきたので私は学院生活の3年間ニーナから隠れ切ることに決めた。
【完結】子爵の息子は体を売る。ざまあ後の不幸を少なくするために覚悟を決めたら愛されました。
鏑木 うりこ
BL
ある日突然、私は思い出した。この世界は姉ちゃんが愛読していたテンプレざまあ小説の世界だと。このまま行くと私の姉として存在している娘は公爵令嬢を断罪するも逆にざまあされる。私の大切な家族は全員悲惨で不幸な道を歩まされる。
そんなのは嫌だ。せめて仲の良い兄妹だけでも救いたい。私は素早く行動した。
溺愛気味R18でさらさらと進んで行きます。令嬢ざまぁ物ではありません。タイトルのせいでがっかりした方には申し訳なく思います。すみません……。タグを増やしておきました。
男性妊娠がある世界です。
文字数は2万字を切る少なさですが、お楽しみいただけると幸いに存じます。
追加編を少し加えたので、少し文字数が増えました。
★本編完結済みです。
5/29 HOT入りありがとうございます!
5/30 HOT入り&BL1位本当にありがとうございます!嬉しくて踊りそうです!
5/31 HOT4位?!BL1位?!?!え?何ちょっとびっくりし過ぎて倒れるかも・:*+.\(( °ω° ))/.:+ビャー!
HOT1位になっておりま、おりま、おりまし、て……(混乱)
誠に!誠にありがとう!ございますーー!!ど、動悸がっ!!
6/1 HOT1位&人気16位に置いていただき、感謝感謝です!こんなに凄い順位をいただいて良いのでしょうか・:*+.\(( °ω° ))/.:+
最近沈んでいたので、ものすごく嬉しいです!(*‘ω‘ *)ありがとーありがとー!
ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました
中七七三
恋愛
わたしっておかしいの?
小さいころからエッチなことが大好きだった。
そして、小学校のときに起こしてしまった事件。
「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」
その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。
エッチじゃいけないの?
でも、エッチは大好きなのに。
それでも……
わたしは、男の人と付き合えない――
だって、男の人がドン引きするぐらい
エッチだったから。
嫌われるのが怖いから。
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
義兄に告白されて、承諾したらトロ甘な生活が待ってました。
アタナシア
恋愛
母の再婚をきっかけにできたイケメンで完璧な義兄、海斗。ひょんなことから、そんな海斗に告白をされる真名。
捨てられた子犬みたいな目で告白されたら断れないじゃん・・・!!
承諾してしまった真名に
「ーいいの・・・?ー ほんとに?ありがとう真名。大事にするね、ずっと・・・♡」熱い眼差を向けられて、そのままーーーー・・・♡。
異世界で出会った王子様は狼(物理)でした。
ヤマ
BL
◽︎あらすじ:地味でモブ街道まっしぐらの数学オタクで教師の立花俊は、ある日目が覚めるとファンタジー乙女ゲームの攻略対象に転生していた。
だがヒロインは不在。なぜか俊が代わりに王子達からの度重なる壁ドンと、呪文のような口説き文句に追い回されることに。
しかも異世界転生で一番大事なチートもない!生き残りをかけ元隣国王子クレイグのもとを訪れるも、彼の態度はつれない。だが満月の夜、狼に変身していたクレイグの正体を見抜いたせいで彼は人間に戻り、理性を失った彼に押し倒されてしまう。クレイグが呪われた人狼であると聞いた俊は、今後も発情期に「発散」する手伝いをすると提案する。
人狼の元王子(ハイスペック誠実童貞)×数学オタクの数学教師(童貞)
初投稿です。よろしくお願いします。
※脇キャラにNL要素あり(R18なし)。
※R18は中盤以降です。獣姦はありません。
※ムーンライトノベルズ様へも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる