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姪1
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キリアムとアベリーは話し合いの翌日、ユーリの墓参りに向かった。
ユーリ・クレナの書かれた墓の前に立ち、サイラ、アレクス、オーランド、そして友人方が参っているので、墓の周りは花が咲き、寂しげではなかった。
「ここに…」
「ああ」
アベリーは葬儀に出席していたが、途中で騒いで邸に戻されていた。だからここへは来たことがない。
「ごめんなさい、伯母様、私のせいで…私なんかのために…」
アベリーは周りに人はいなかったが、しゃがみ込んで泣き出した。キリアムも慰めることもなく、ただその様子を見守った。
「お父様、叔母様はどんな人だったの?」
「そうだな、子どもの頃は走り回ったりもしていたが、大きくなってからは、基本的には静かな人だった。頭が良くて、よく本を読んでいたな」
「思い出した時、上品そうな人だった」
「そうだな、所作の美しい人だったからな」
「アベリーが生まれた時に、オーランドとお祝いに来てくれて、嬉しそうに抱っこしていた…な…」
そう話すキリアムの目には涙が溜まっていた。その姿を見たアベリーは胸が苦しくなった。
「あの日に戻りたい…本当に申し訳なくて…アンジュリー様にも叔母様にも…」
「ああ…これからは叔母様に恥ずかしくないように生きればいい」
「はい。オーランド叔父様も、私を恨んでいる?」
「いや、恨む資格はないと思っているはずだ」
オーランドがアベリーに怒りを向けることはないだろう。
「え?」
「オーランドにも非があったんだ。きっとアベリーが変わってくれたことを、オーランドは受け入れると思う」
「そうだといいんだけど…」
アベリーは寄宿学校の友人たちにはきちんと話をする。そして、ちゃんと考えて文を書くと約束をして、寄宿学校へと戻って行った。
次に会う時は修道院に入る前となる。キリアムはアベリーが文を送って来たら、ラオン大公家に、文を読んで許されるならば、最後に一緒にお会いしたいと書くつもりでいる。
時だけが流れていたように感じていたが、メルベールと離縁し、アベリーが反省の色を見せたことで、ようやく肩の力を抜ける気がした。
寄宿学校に戻ったアベリーは全ては自分のせいだった、だから卒業したら、修道院に入ることを決めたと話した。
「上手くいかなかったってこと?」
「ううん、自分で決めたの。公爵家の方は大丈夫かな?」
「大丈夫、力になってあげてもいいって感じだったから、駄目だったって言えば終わりだよ。お金もね、一応まだあるみたいだけど…見栄を張る人たちだから」
いい相手ではないけど、お金があれば、協力してくれると思うと言っていた。
「そっか、私もメイドとして働きに出されるみたい」
「私なんて知らないところに嫁がされるのよ…」
「私も多分、修道院だと思う」
皆、高位貴族を怒らせたり、お金を散財してしまったりと、何らかの罪を背負った者たちだった。アベリーも高位貴族に怪我をさせたと話していた。
アベリーも最初は馬鹿馬鹿しいと話さなかったりもしたが、似たような境遇なのだから、ここでくらい楽しく過ごそうと、親しくなっていったのだ。
皆、慰謝料で家が傾いたり、元々裕福ではなかったことから、トスター侯爵家にお金があるならと作戦を練ってくれたのだ。
「手紙のやり取りはしましょうね、皆が頑張っているというか、辛い思いをしていると知ったら、私だけじゃないって思えるわ」
「酷いって言いたいところだけど、それはあるわね」
「修道院も出来るかしら?」
「数は決まっているかもしれないけど、出来るんじゃない?」
未来に希望はないかもしれないが、己の犯した罪と向き合うこと、それが出来ることなのだと、場所は違うが向かっている先は同じように感じた。
追い払われるように入った寄宿学校だが、ここへ来て良かったと思っている。
そして、卒業の日。アベリーは友人たちにまたいつか会えたらいいねと、別れを惜しみながら、迎えに来たキリアムと母国に戻った。
ユーリ・クレナの書かれた墓の前に立ち、サイラ、アレクス、オーランド、そして友人方が参っているので、墓の周りは花が咲き、寂しげではなかった。
「ここに…」
「ああ」
アベリーは葬儀に出席していたが、途中で騒いで邸に戻されていた。だからここへは来たことがない。
「ごめんなさい、伯母様、私のせいで…私なんかのために…」
アベリーは周りに人はいなかったが、しゃがみ込んで泣き出した。キリアムも慰めることもなく、ただその様子を見守った。
「お父様、叔母様はどんな人だったの?」
「そうだな、子どもの頃は走り回ったりもしていたが、大きくなってからは、基本的には静かな人だった。頭が良くて、よく本を読んでいたな」
「思い出した時、上品そうな人だった」
「そうだな、所作の美しい人だったからな」
「アベリーが生まれた時に、オーランドとお祝いに来てくれて、嬉しそうに抱っこしていた…な…」
そう話すキリアムの目には涙が溜まっていた。その姿を見たアベリーは胸が苦しくなった。
「あの日に戻りたい…本当に申し訳なくて…アンジュリー様にも叔母様にも…」
「ああ…これからは叔母様に恥ずかしくないように生きればいい」
「はい。オーランド叔父様も、私を恨んでいる?」
「いや、恨む資格はないと思っているはずだ」
オーランドがアベリーに怒りを向けることはないだろう。
「え?」
「オーランドにも非があったんだ。きっとアベリーが変わってくれたことを、オーランドは受け入れると思う」
「そうだといいんだけど…」
アベリーは寄宿学校の友人たちにはきちんと話をする。そして、ちゃんと考えて文を書くと約束をして、寄宿学校へと戻って行った。
次に会う時は修道院に入る前となる。キリアムはアベリーが文を送って来たら、ラオン大公家に、文を読んで許されるならば、最後に一緒にお会いしたいと書くつもりでいる。
時だけが流れていたように感じていたが、メルベールと離縁し、アベリーが反省の色を見せたことで、ようやく肩の力を抜ける気がした。
寄宿学校に戻ったアベリーは全ては自分のせいだった、だから卒業したら、修道院に入ることを決めたと話した。
「上手くいかなかったってこと?」
「ううん、自分で決めたの。公爵家の方は大丈夫かな?」
「大丈夫、力になってあげてもいいって感じだったから、駄目だったって言えば終わりだよ。お金もね、一応まだあるみたいだけど…見栄を張る人たちだから」
いい相手ではないけど、お金があれば、協力してくれると思うと言っていた。
「そっか、私もメイドとして働きに出されるみたい」
「私なんて知らないところに嫁がされるのよ…」
「私も多分、修道院だと思う」
皆、高位貴族を怒らせたり、お金を散財してしまったりと、何らかの罪を背負った者たちだった。アベリーも高位貴族に怪我をさせたと話していた。
アベリーも最初は馬鹿馬鹿しいと話さなかったりもしたが、似たような境遇なのだから、ここでくらい楽しく過ごそうと、親しくなっていったのだ。
皆、慰謝料で家が傾いたり、元々裕福ではなかったことから、トスター侯爵家にお金があるならと作戦を練ってくれたのだ。
「手紙のやり取りはしましょうね、皆が頑張っているというか、辛い思いをしていると知ったら、私だけじゃないって思えるわ」
「酷いって言いたいところだけど、それはあるわね」
「修道院も出来るかしら?」
「数は決まっているかもしれないけど、出来るんじゃない?」
未来に希望はないかもしれないが、己の犯した罪と向き合うこと、それが出来ることなのだと、場所は違うが向かっている先は同じように感じた。
追い払われるように入った寄宿学校だが、ここへ来て良かったと思っている。
そして、卒業の日。アベリーは友人たちにまたいつか会えたらいいねと、別れを惜しみながら、迎えに来たキリアムと母国に戻った。
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