100 / 118
姪へ告知6
しおりを挟む
「そして、あと一つ。アベリーが見たベットで寝ているユーリ叔母様は、毒を飲んで亡くなる数時間前の姿よ」
「…え」
「ユーリが毒を飲んで会ったのは、使用人を除けば、私とアレクスお祖父様と、あなたアベリーだけだったの」
「あの時が…?」
アベリーにとってあの怪我をさせた日と、ユーリがベットで寝ていた日が同じ日だと分かっていなかった。サイラもそうなのだろうと思って、話したのだ。
「あなたに察しろ、理解しろというのは無理だったでしょうからね、覚えていないかと思っていたわ」
「あの後、亡くなったって言うの?」
「そうよ、あの後、ユーリはあのベットで息を引き取ったわ」
「そんな…」
アベリーが見た最後の記憶が亡くなる前だったとは思わなかった。母と間違えたことで、記憶に残っていたが、何を話したかまでは覚えていない。
「ユーリは悪いことをしたとも思っていないアベリーを、修道院に入れるしかないかもと言っていたわ」
今のアベリーには胸が苦しい言葉だった、代わりに死なせてしまったようなものなのに、私は何も分かっていなかった。
「でもね、ユーリはかもと言ったの。いくら5歳でも、人の痛みを理解して、いえ理解しようとして、あなたが反省していれば、違ったかもしれない。きっと、ユーリもそう願ったはずよ…」
その言葉にメルベール以外は目が熱くなった。
「私からは以上です」
キリアムはサイラに深く頷き、アベリーに向き合った。
「今までの話を聞いて、どうしたいか、どうすればいいか、今日でなくてもいい、考えて聞かせて欲しい」
「…修道院に行きます」
「そうか」
それでもという可能性もあったが、理解してくれて良かった。
「待って、相手が公爵家なら…話し合ってもらうことだって出来るんじゃない?」
声を上げたのはメルベールであった。魂胆は見え見えである。
「やっぱり結婚したいって、女の子は思うものよね。お母様もよく分かるわ。公爵家の方なら、とてもいいお相手じゃない」
結婚したいなんてと言っていた癖に、既に覚えてもいないのだろう。
「我が家ではなく、相手から話してみて貰って、それからでも遅くないわ、そうしましょう?アベリーもその方がいいでしょう?」
境遇に不満のあるメルベールは、アベリーが公爵家の縁続きになることで、起死回生をと考えているのだろう。どうせカミオール王国のパワーバランスも分からないのに、公爵家ならと、安易に考えている。
「お、母様?」
「ねえ、そうしましょうよ。私たちが言うのは問題かもしれないけど、お相手に言って貰えばいいのよ」
メルベールはいい考えだと言わんばかりだが、誰も賛同することはない。
「いい加減にしろ!そんなこと出来るはずないだろう」
「そんなことないわよ、アベリーのことを分かった上なんだから、動いてくれるかもしれないじゃない」
「私は修道院に行きます。お父様、ラオン大公家への謝罪は待って貰うことが出来ますか?まだ会って話すまでは、勇気が出ません」
直接謝罪に行かなくてはいけないことは分かったが、まだ上手く伝えられる自信がなかった。振り返って、どう伝えればいいかと考えたい。
「分かった、心から謝罪をしないと意味がないからな」
「はい、寄宿学校に戻ったら、時間が掛かるかもしれませんが、手紙を書きます。それを読んで貰えなくてもいいので、渡しては貰えませんか」
「分かった、書けたらこちらに送りなさい。私が事情を書いて送る」
「ありがとうございます」
アベリーはキリアムに深く頭を下げた。
「ちょっと待って!結婚相手はどうするのよ!公爵家の方なのよ?」
答えは出たのに、騒いでいるのはメルベールだけであった。
「…え」
「ユーリが毒を飲んで会ったのは、使用人を除けば、私とアレクスお祖父様と、あなたアベリーだけだったの」
「あの時が…?」
アベリーにとってあの怪我をさせた日と、ユーリがベットで寝ていた日が同じ日だと分かっていなかった。サイラもそうなのだろうと思って、話したのだ。
「あなたに察しろ、理解しろというのは無理だったでしょうからね、覚えていないかと思っていたわ」
「あの後、亡くなったって言うの?」
「そうよ、あの後、ユーリはあのベットで息を引き取ったわ」
「そんな…」
アベリーが見た最後の記憶が亡くなる前だったとは思わなかった。母と間違えたことで、記憶に残っていたが、何を話したかまでは覚えていない。
「ユーリは悪いことをしたとも思っていないアベリーを、修道院に入れるしかないかもと言っていたわ」
今のアベリーには胸が苦しい言葉だった、代わりに死なせてしまったようなものなのに、私は何も分かっていなかった。
「でもね、ユーリはかもと言ったの。いくら5歳でも、人の痛みを理解して、いえ理解しようとして、あなたが反省していれば、違ったかもしれない。きっと、ユーリもそう願ったはずよ…」
その言葉にメルベール以外は目が熱くなった。
「私からは以上です」
キリアムはサイラに深く頷き、アベリーに向き合った。
「今までの話を聞いて、どうしたいか、どうすればいいか、今日でなくてもいい、考えて聞かせて欲しい」
「…修道院に行きます」
「そうか」
それでもという可能性もあったが、理解してくれて良かった。
「待って、相手が公爵家なら…話し合ってもらうことだって出来るんじゃない?」
声を上げたのはメルベールであった。魂胆は見え見えである。
「やっぱり結婚したいって、女の子は思うものよね。お母様もよく分かるわ。公爵家の方なら、とてもいいお相手じゃない」
結婚したいなんてと言っていた癖に、既に覚えてもいないのだろう。
「我が家ではなく、相手から話してみて貰って、それからでも遅くないわ、そうしましょう?アベリーもその方がいいでしょう?」
境遇に不満のあるメルベールは、アベリーが公爵家の縁続きになることで、起死回生をと考えているのだろう。どうせカミオール王国のパワーバランスも分からないのに、公爵家ならと、安易に考えている。
「お、母様?」
「ねえ、そうしましょうよ。私たちが言うのは問題かもしれないけど、お相手に言って貰えばいいのよ」
メルベールはいい考えだと言わんばかりだが、誰も賛同することはない。
「いい加減にしろ!そんなこと出来るはずないだろう」
「そんなことないわよ、アベリーのことを分かった上なんだから、動いてくれるかもしれないじゃない」
「私は修道院に行きます。お父様、ラオン大公家への謝罪は待って貰うことが出来ますか?まだ会って話すまでは、勇気が出ません」
直接謝罪に行かなくてはいけないことは分かったが、まだ上手く伝えられる自信がなかった。振り返って、どう伝えればいいかと考えたい。
「分かった、心から謝罪をしないと意味がないからな」
「はい、寄宿学校に戻ったら、時間が掛かるかもしれませんが、手紙を書きます。それを読んで貰えなくてもいいので、渡しては貰えませんか」
「分かった、書けたらこちらに送りなさい。私が事情を書いて送る」
「ありがとうございます」
アベリーはキリアムに深く頭を下げた。
「ちょっと待って!結婚相手はどうするのよ!公爵家の方なのよ?」
答えは出たのに、騒いでいるのはメルベールだけであった。
3,196
お気に入りに追加
3,671
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね
さこの
恋愛
恋がしたい。
ウィルフレッド殿下が言った…
それではどうぞ、美しい恋をしてください。
婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました!
話の視点が回毎に変わることがあります。
緩い設定です。二十話程です。
本編+番外編の別視点
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】あわよくば好きになって欲しい(短編集)
野村にれ
恋愛
番(つがい)の物語。
※短編集となります。時代背景や国が違うこともあります。
※定期的に番(つがい)の話を書きたくなるのですが、
どうしても溺愛ハッピーエンドにはならないことが多いです。
【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!
高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。
7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。
だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。
成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。
そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る
【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】
お姉さまは最愛の人と結ばれない。
りつ
恋愛
――なぜならわたしが奪うから。
正妻を追い出して伯爵家の後妻になったのがクロエの母である。愛人の娘という立場で生まれてきた自分。伯爵家の他の兄弟たちに疎まれ、毎日泣いていたクロエに手を差し伸べたのが姉のエリーヌである。彼女だけは他の人間と違ってクロエに優しくしてくれる。だからクロエは姉のために必死にいい子になろうと努力した。姉に婚約者ができた時も、心から上手くいくよう願った。けれど彼はクロエのことが好きだと言い出して――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる