98 / 118
姪へ告知4
しおりを挟む
「アンジュリー様は覚えているな?」
「はい…私が怪我をさせた方です」
「そうだな、アンジュリー様は、スイク王国の国王陛下が、大変可愛がってらっしゃるお方だ。あの時、アベリーのしたことで、国王陛下は大変お怒りだった」
「え…」
「国の問題になって、ウェーブ王国が、グラバス国王陛下が責任を取らされるくらいのことだった」
「そ、そんな…」
アベリーもあまりの規模の大きさに想像は出来ないが、とんでもないことだということは分かった。
「他国の貴族が、他国の王族を故意に傷付けたんだ、意味が分かるな?」
スイク王国で大公家は王家に順ずる立場である、王族と呼ばないだけで、王族と同じ扱いと言っていい。
「は、い…」
「アベリーは分からないが、おそらく私とお母様、あの場の保護者であったアレクスお祖父様、トスター侯爵家も、ウェーブ王国の国王陛下によって、責任を取らされて、もしかしたら生きていなかったかもしれない」
キリアムは理解していたが、メルベールはその言葉に驚いた。アレクスはその言葉を噛み締めた。
「で、でも今は違うのでしょう?お父様もお母様も、お祖父様も生きているじゃない。トスター侯爵家も変わらずあるわ」
アベリーはそうでしょう?許して貰えたということでしょうという願い込めて、キリアムを見つめた。
「お母様の妹である、ユーリ叔母様を覚えているか?」
「お母様と同じ顔をした人?」
「そうだ」
「いつだったか、ベットで寝ていて、お母様と間違ったことがあったわ」
ほとんど会ったことがなく、そういえば、あの日以来、見掛けた記憶もない。お母様と仲が悪いのかしら?邸から出られなかったので、当たり前かもしれないけど。
「ユーリ叔母様が、ラオン大公家への責任を取る、ために、亡くなったからだ」
キリアムは苦しそうに言い切った。まさか結婚したい人がいるといわれると思っていなかったが、自分のせいで亡くなったと重い物を背負わせるとしても、事実としてユーリのことも全て話そうと決めていた。
有耶無耶にせず、受け止めて、反省して生きて貰わなくてはならない。
「え?死ん…だの?」
「そうだ、アベリーも葬儀に出ている」
「う、そ…」
出ていると言っても、大人しく出来ず、楽しくない、お菓子食べたいと喚いて、出席したのは少しの間である。
「表向きは急死したことになっているが、自ら毒を飲んで、自害した。だから、お父様もお母様も、お祖父様も生きているし、トスター侯爵家も存在している」
「私のせいで…」
「そうだな、誰かが責任を取らなければならなかったかもしれないが、ユーリ叔母様ではなかった」
「どういう…」
「私が責任を取りたくなくて、ユーリに押し付けたのだ…私がアベリーをちゃんと看ていなかったのに。アベリー、すまない」
アレクスが言い難そうに、白状した。
「お祖父様…」
「アベリーを連れて行ったのはお祖父様だった。覚えているか?」
「何となく…叔母様は、本当に自害を…?」
「そうだ、ラオン大公夫妻の前で遅効性の毒を飲み、亡くなった」
「私の代わりに、ってこと…よね?」
まともな思考を持っていれば、自分の責任だと分かる。子どもだったからとはいえ、アベリーのせいではないとは絶対に言えない。
「ユーリがそのような決断をしたのは、家族のせいでもある…だが、アベリーもきっかけを作ったことは事実だ」
「そんな、ごめんなさい…ごめんなさい…私はどうしたら…」
「どうして、あんな真似をしたんだ…いくら5歳でもやっていいことと、悪いことくらい分かるだろう?私は結局、いくら考えても、そのことに辿り着いてしまう」
考え、悩み続けるキリアムの悲痛な叫びあった。
「それは…」
「はい…私が怪我をさせた方です」
「そうだな、アンジュリー様は、スイク王国の国王陛下が、大変可愛がってらっしゃるお方だ。あの時、アベリーのしたことで、国王陛下は大変お怒りだった」
「え…」
「国の問題になって、ウェーブ王国が、グラバス国王陛下が責任を取らされるくらいのことだった」
「そ、そんな…」
アベリーもあまりの規模の大きさに想像は出来ないが、とんでもないことだということは分かった。
「他国の貴族が、他国の王族を故意に傷付けたんだ、意味が分かるな?」
スイク王国で大公家は王家に順ずる立場である、王族と呼ばないだけで、王族と同じ扱いと言っていい。
「は、い…」
「アベリーは分からないが、おそらく私とお母様、あの場の保護者であったアレクスお祖父様、トスター侯爵家も、ウェーブ王国の国王陛下によって、責任を取らされて、もしかしたら生きていなかったかもしれない」
キリアムは理解していたが、メルベールはその言葉に驚いた。アレクスはその言葉を噛み締めた。
「で、でも今は違うのでしょう?お父様もお母様も、お祖父様も生きているじゃない。トスター侯爵家も変わらずあるわ」
アベリーはそうでしょう?許して貰えたということでしょうという願い込めて、キリアムを見つめた。
「お母様の妹である、ユーリ叔母様を覚えているか?」
「お母様と同じ顔をした人?」
「そうだ」
「いつだったか、ベットで寝ていて、お母様と間違ったことがあったわ」
ほとんど会ったことがなく、そういえば、あの日以来、見掛けた記憶もない。お母様と仲が悪いのかしら?邸から出られなかったので、当たり前かもしれないけど。
「ユーリ叔母様が、ラオン大公家への責任を取る、ために、亡くなったからだ」
キリアムは苦しそうに言い切った。まさか結婚したい人がいるといわれると思っていなかったが、自分のせいで亡くなったと重い物を背負わせるとしても、事実としてユーリのことも全て話そうと決めていた。
有耶無耶にせず、受け止めて、反省して生きて貰わなくてはならない。
「え?死ん…だの?」
「そうだ、アベリーも葬儀に出ている」
「う、そ…」
出ていると言っても、大人しく出来ず、楽しくない、お菓子食べたいと喚いて、出席したのは少しの間である。
「表向きは急死したことになっているが、自ら毒を飲んで、自害した。だから、お父様もお母様も、お祖父様も生きているし、トスター侯爵家も存在している」
「私のせいで…」
「そうだな、誰かが責任を取らなければならなかったかもしれないが、ユーリ叔母様ではなかった」
「どういう…」
「私が責任を取りたくなくて、ユーリに押し付けたのだ…私がアベリーをちゃんと看ていなかったのに。アベリー、すまない」
アレクスが言い難そうに、白状した。
「お祖父様…」
「アベリーを連れて行ったのはお祖父様だった。覚えているか?」
「何となく…叔母様は、本当に自害を…?」
「そうだ、ラオン大公夫妻の前で遅効性の毒を飲み、亡くなった」
「私の代わりに、ってこと…よね?」
まともな思考を持っていれば、自分の責任だと分かる。子どもだったからとはいえ、アベリーのせいではないとは絶対に言えない。
「ユーリがそのような決断をしたのは、家族のせいでもある…だが、アベリーもきっかけを作ったことは事実だ」
「そんな、ごめんなさい…ごめんなさい…私はどうしたら…」
「どうして、あんな真似をしたんだ…いくら5歳でもやっていいことと、悪いことくらい分かるだろう?私は結局、いくら考えても、そのことに辿り着いてしまう」
考え、悩み続けるキリアムの悲痛な叫びあった。
「それは…」
3,287
お気に入りに追加
3,680
あなたにおすすめの小説
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
牢で死ぬはずだった公爵令嬢
鈴元 香奈
恋愛
婚約していた王子に裏切られ無実の罪で牢に入れられてしまった公爵令嬢リーゼは、牢番に助け出されて見知らぬ男に託された。
表紙女性イラストはしろ様(SKIMA)、背景はくらうど職人様(イラストAC)、馬上の人物はシルエットACさんよりお借りしています。
小説家になろうさんにも投稿しています。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる
kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。
いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。
実はこれは二回目人生だ。
回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。
彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。
そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。
その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯
そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。
※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※ 設定ゆるゆるです。
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
稚拙ながらも投稿初日(11/21)から📝HOTランキングに入れて頂き、本当にありがとうございます🤗 今回初めてHOTランキングの5位(11/23)を頂き感無量です🥲 そうは言いつつも間違ってランキング入りしてしまった感が否めないのも確かです💦 それでも目に留めてくれた読者様には感謝致します✨
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる