89 / 118
真実3
しおりを挟む
「醜いわね」
「何ですって!ユーリに何を言われたか知らないけど、お母様はどうして私を責めるのよ!」
「ユーリが私に何か言ったと思っているのね?自覚があったということね?」
「え、そうじゃなくて」
メルベールは怒りに任せて話すあまり、不都合があるという自覚があったことを認めているようなものだった。
ルオンは悪意がまではないと言ったが、自覚があったのならば、悪意があったと言えるのではないかと、サイラは思った。
「メルベールを責めるようなことを、言い残していると思っているのでしょう?それは責められる自覚があるからじゃない?」
「それこそ嘘かもしれないじゃない!死ぬ間際の人の言葉なんて、誰でも信じたくなるでしょう?お母様が私のことを責めるなんておかしいもの!いつも何も言わなかったじゃない!」
サイラに些細なことを注意されることはあったが、本気で怒られたことはない。ただメルベールにとって些細な事であって、サイラは気付く範囲ではあるが、細やかに注意して来たつもりだった。
「あなたのように言えば言うだけ、ユーリに向かうから、言わなければならない時しか、言わないようになっていたわ…それでは足りなかった。守れなかった。死なせてしまった…それが事実なの。そして、事実であることは証言も証拠もあるわ」
「でもそれはユーリが書いたものでしょう!」
ユーリが都合よく書いた物を、証拠だと言われても、認められるわけがない。お母様は世間知らずだから、分かっていない。
「あなた、シュアト公爵家の茶会に行ったのでしょう?あそこにいらした方は全員、ユーリと親しくしていた方よ?」
「だから何よ!ユーリは私に親しい方を奪われたくなくて、紹介しなかったのでしょう?ユーリってそういうところがあるものね」
ユーリの親しくしていたクラスメイトは、私とも友達になりましょうと言っても、あまりいい顔をしなかった。きっとユーリに何か言われていたのだ。
「あなたと親しくしたいなどと思うはずがないでしょう?」
「はあ?」
「何も言わないユーリを大事に思って、周りを調べられていたとは思わないの?」
「っえ…どういう意味…」
「私は、今日、ここで裏付けを聞いた上で話をしているの。証拠や証人もいらっしゃるそうよ、あまり舐めない方がいいわ」
「っな」
皆は薄々、思い込みで話をしているわけではないことに気付いていたが、やはり茶会のメンバーに調べられていたことが決定的となった。
「アベリーは、気付かないまま同じ道を行くか、気付いて反省出来るか…キリアムくん、寄宿学校の様子はどうなのですか?」
「まだ報告は来ていませんが、苦情も来てはいないので、何とかやっているのではないかと願っています」
キリアムは苦情が来ることも想定していたが、さすが厳しいと言われる寄宿学校なだけあって、少々の我儘程度は慣れているとも言える。
「そう…どちらにしても厳しい道になるでしょうね」
「私のせいじゃないって言っているでしょう!私は奪ったりなんかしていない」
「手柄を奪っただろう…自覚はあるんだろう?」
ユーリは進んではしてくれなかったけど、お願いすれば頼みを聞いてくれた。確かに自分が行った様にも言ったけど、双子なんだからいいじゃない。私は悪くない、間違っていない!
「何を言っても信じて貰えないんでしょう、だったらもういいわ!」
「そう」
いつもならそうじゃないと言ってくれる人が必ずいたが、もういない。父も義父様に言われたことが堪えたようで、黙っている。
「で、アレクス。キリアムくんの問いの答えがまだだわ」
「それは…」
「私もきっかけが分からない。あなたは分かっていて言わないの?」
「きっかけがあるのですか?」
「ユーリが書き記していたことがあるの、もしかしたらということが、でもそうであった場合、とても信じられることではないの」
「何ですって!ユーリに何を言われたか知らないけど、お母様はどうして私を責めるのよ!」
「ユーリが私に何か言ったと思っているのね?自覚があったということね?」
「え、そうじゃなくて」
メルベールは怒りに任せて話すあまり、不都合があるという自覚があったことを認めているようなものだった。
ルオンは悪意がまではないと言ったが、自覚があったのならば、悪意があったと言えるのではないかと、サイラは思った。
「メルベールを責めるようなことを、言い残していると思っているのでしょう?それは責められる自覚があるからじゃない?」
「それこそ嘘かもしれないじゃない!死ぬ間際の人の言葉なんて、誰でも信じたくなるでしょう?お母様が私のことを責めるなんておかしいもの!いつも何も言わなかったじゃない!」
サイラに些細なことを注意されることはあったが、本気で怒られたことはない。ただメルベールにとって些細な事であって、サイラは気付く範囲ではあるが、細やかに注意して来たつもりだった。
「あなたのように言えば言うだけ、ユーリに向かうから、言わなければならない時しか、言わないようになっていたわ…それでは足りなかった。守れなかった。死なせてしまった…それが事実なの。そして、事実であることは証言も証拠もあるわ」
「でもそれはユーリが書いたものでしょう!」
ユーリが都合よく書いた物を、証拠だと言われても、認められるわけがない。お母様は世間知らずだから、分かっていない。
「あなた、シュアト公爵家の茶会に行ったのでしょう?あそこにいらした方は全員、ユーリと親しくしていた方よ?」
「だから何よ!ユーリは私に親しい方を奪われたくなくて、紹介しなかったのでしょう?ユーリってそういうところがあるものね」
ユーリの親しくしていたクラスメイトは、私とも友達になりましょうと言っても、あまりいい顔をしなかった。きっとユーリに何か言われていたのだ。
「あなたと親しくしたいなどと思うはずがないでしょう?」
「はあ?」
「何も言わないユーリを大事に思って、周りを調べられていたとは思わないの?」
「っえ…どういう意味…」
「私は、今日、ここで裏付けを聞いた上で話をしているの。証拠や証人もいらっしゃるそうよ、あまり舐めない方がいいわ」
「っな」
皆は薄々、思い込みで話をしているわけではないことに気付いていたが、やはり茶会のメンバーに調べられていたことが決定的となった。
「アベリーは、気付かないまま同じ道を行くか、気付いて反省出来るか…キリアムくん、寄宿学校の様子はどうなのですか?」
「まだ報告は来ていませんが、苦情も来てはいないので、何とかやっているのではないかと願っています」
キリアムは苦情が来ることも想定していたが、さすが厳しいと言われる寄宿学校なだけあって、少々の我儘程度は慣れているとも言える。
「そう…どちらにしても厳しい道になるでしょうね」
「私のせいじゃないって言っているでしょう!私は奪ったりなんかしていない」
「手柄を奪っただろう…自覚はあるんだろう?」
ユーリは進んではしてくれなかったけど、お願いすれば頼みを聞いてくれた。確かに自分が行った様にも言ったけど、双子なんだからいいじゃない。私は悪くない、間違っていない!
「何を言っても信じて貰えないんでしょう、だったらもういいわ!」
「そう」
いつもならそうじゃないと言ってくれる人が必ずいたが、もういない。父も義父様に言われたことが堪えたようで、黙っている。
「で、アレクス。キリアムくんの問いの答えがまだだわ」
「それは…」
「私もきっかけが分からない。あなたは分かっていて言わないの?」
「きっかけがあるのですか?」
「ユーリが書き記していたことがあるの、もしかしたらということが、でもそうであった場合、とても信じられることではないの」
3,263
お気に入りに追加
3,639
あなたにおすすめの小説
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
どうぞご勝手になさってくださいまし
志波 連
恋愛
政略結婚とはいえ12歳の時から婚約関係にあるローレンティア王国皇太子アマデウスと、ルルーシア・メリディアン侯爵令嬢の仲はいたって上手くいっていた。
辛い教育にもよく耐え、あまり学園にも通学できないルルーシアだったが、幼馴染で親友の侯爵令嬢アリア・ロックスの励まされながら、なんとか最終学年を迎えた。
やっと皇太子妃教育にも目途が立ち、学園に通えるようになったある日、婚約者であるアマデウス皇太子とフロレンシア伯爵家の次女であるサマンサが恋仲であるという噂を耳にする。
アリアに付き添ってもらい、学園の裏庭に向かったルルーシアは二人が仲よくベンチに腰掛け、肩を寄せ合って一冊の本を仲よく見ている姿を目撃する。
風が運んできた「じゃあ今夜、いつものところで」という二人の会話にショックを受けたルルーシアは、早退して父親に訴えた。
しかし元々が政略結婚であるため、婚約の取り消しはできないという言葉に絶望する。
ルルーシアの邸を訪れた皇太子はサマンサを側妃として迎えると告げた。
ショックを受けたルルーシアだったが、家のために耐えることを決意し、皇太子妃となることを受け入れる。
ルルーシアだけを愛しているが、友人であるサマンサを助けたいアマデウスと、アマデウスに愛されていないと思い込んでいるルルーシアは盛大にすれ違っていく。
果たして不器用な二人に幸せな未来は訪れるのだろうか……
他サイトでも公開しています。
R15は保険です。
表紙は写真ACより転載しています。
婚約者が病弱な妹に恋をしたので、私は家を出ます。どうか、探さないでください。
待鳥園子
恋愛
婚約者が病弱な妹を見掛けて一目惚れし、私と婚約者を交換できないかと両親に聞いたらしい。
妹は清楚で可愛くて、しかも性格も良くて素直で可愛い。私が男でも、私よりもあの子が良いと、きっと思ってしまうはず。
……これは、二人は悪くない。仕方ないこと。
けど、二人の邪魔者になるくらいなら、私が家出します!
自覚のない純粋培養貴族令嬢が腹黒策士な護衛騎士に囚われて何があっても抜け出せないほどに溺愛される話。
今さら後悔しても知りません 婚約者は浮気相手に夢中なようなので消えてさしあげます
神崎 ルナ
恋愛
旧題:長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。
【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。
だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。
「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」
マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。
(そう。そんなに彼女が良かったの)
長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。
何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。
(私は都合のいい道具なの?)
絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。
侍女達が話していたのはここだろうか?
店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。
コッペリアが正直に全て話すと、
「今のあんたにぴったりの物がある」
渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。
「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」
そこで老婆は言葉を切った。
「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」
コッペリアは深く頷いた。
薬を飲んだコッペリアは眠りについた。
そして――。
アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。
「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」
※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)
(2023.2.3)
ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000
※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)
たとえ番でないとしても
豆狸
恋愛
「ディアナ王女、私が君を愛することはない。私の番は彼女、サギニなのだから」
「違います!」
私は叫ばずにはいられませんでした。
「その方ではありません! 竜王ニコラオス陛下の番は私です!」
──番だと叫ぶ言葉を聞いてもらえなかった花嫁の話です。
※1/4、短編→長編に変更しました。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる