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真実1

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「お前、会いに行ったのか?」
「ええ、ユーリには聞けませんでしたから、恥を忍んで、聞かせて欲しいと頼んで聞かせていただきました。お孫様の具合も気になっておりましたから」
「義母上、お孫様は」
「今のところ、後遺症もないようです」
「それは良かったです」

 キリアムも気にはなっていたが、顔は見たくないだろうと、何度か返事は要りませんと記して、口にするような物でも、毒を潜ませるような物ではない、絵本などと一緒に、後遺症がないことを日々願っているという文は送っていた。

「ユーリの心の中までは分かりませんが、なぜ毒を飲むようなことをしたのかの経緯は分かりました」
「経緯ですか?」
「はい、なぜユーリが毒を飲もうと思ったのかの経緯です」
「ラオン大公閣下に話したのですか」
「ええ、きっと最期に誰かに聞いて貰いたかったのではないかと、ご夫妻はおっしゃっていました」

 大公閣下夫妻は怪我をさせた祖母に当たる私に、きちんと話をしてくださった。誰かにユーリの叫びを伝えるべきだと思ったと、ユーリはとんでもない相手に聞かせてしまったことにはなるが、選んだとするのならば、最強のカードだろう。

「ご夫妻も毒を飲んだことは、大変驚いたそうですが、国の問題になっていたかもしれないとおっしゃっていました。国王陛下はお孫様を大変可愛がっており、様子を目で見ていない分、心配で大変お怒りだったそうです」
「やはりそうだったか…そうではないかと思っていた」

 苦しそうに呟いたのは、過剰に責任を取って怒りを鎮めたのではないかと、考えていたマトムだった。

「怪我をさせた側だというのに、気遣って、若い夫人の命を奪ってはしまったがと前置きをして、国王陛下はユーリがすぐさま責任だと命を絶ったことで、冷静になられたそうです」
「ユーリ…」

 名を呼んだのはキリアム、オーランドは顔を伏せて、泣いている。

「ユーリは治められないかもしれないと、考えていたようです、これはユーリから直接聞きました。そして、大公閣下夫妻に取り繕わずに、なぜ自分が来たのか、どうしてこんなことになったのか、どうして毒を飲むのかを全て話したそうです。大公閣下夫妻はアレクスが理不尽に、ユーリに押し付けたことを知っていたのです」
「っな」
「怒るのは筋違いであることくらい、もう分かっていますよね!押し付ける相手はもういません!」

 アレクスは怒る資格もないのに、フーフーと鼻息を荒くさせている。

「外面はいいのですから、あなたが行けばよかったと私も思っていました。でも、あなたには覚悟はなかったでしょうね…あれだけ可愛がっていたアベリーのために死ねましたか?自分の都合で扱える、優秀な駒はもう二度と現れません。これはメルベールにも言えることですね」
「―――っ」

 メルベールも言葉に詰まって、真っ赤になっており、アレクスとメルベールは憎らしいほど似ていた。

「大公閣下夫妻はアレクスが躾のなっていないアベリーを勝手に連れだして、怪我をさせたのに、ユーリを早退させてまで行けと言ったことで、家はどうなっているのかと問い詰めたそうです。そして、ユーリはこう言ったそうです。私は姉のために役立たねばならない存在なのです、と」

 皆、声が出なかった。

「さらに、私は姉のための存在ですから、私が姉の代わりに命を持って償いたいと思いますと、毒を目の前で飲んだそうです」

 皆、生唾を呑むことしか出来なかった。

「一卵性の双子、私は間違って生まれただけで、父は本来はメルベールだけが生まれるはずだった、だから責任を取るのは当たり前だそうです、と…」

 サイラの堪えていた涙が静かに真っ直ぐ流れた。
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