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義兄の調査2

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「そこに惚れたわけではないが、嘘だとは違うだろう?」
「そうだな、あの家ではメルベールが中心だっただろうからな。無意識に当たり前だと思っているんじゃないのか?」

 キリアムもユーリがアレクスからきつく当たられていたのは知っていた、だから何が出来るというわけではなかったが、会えば声を掛けていた。

 ユーリは何もないような顔をしていたが、どうしてあんなにも差を付けるのかが分からなかった。幼い頃はよく分からなかったが、生まれた時からなのだろうか。

「メルベールがユーリに強く言い過ぎるのだと言っていたが…自分も利用しているのはおかしいだろう」
「ああ、離縁も、考えているのか?」

 今までは聞きはしなかったが、キリアムの疲れ具合を見ていると、あれだけ幸せそうにしていた頃が、それこそ嘘のように感じる。

「正直、考えている…アベリーをようやく寄宿学校に入れたというのに」
「そうだったな、我儘を言わずにやっているのか」
「学期ごとに報告が来るようにはなっている、ちゃんとやっているといいんだがな」
「この件は父上には言ったのか?」
「いや、まだ言っていない。言わなければならないが…」
「これは言おうか迷っていたが…」

 オーランドはルオンから見たメルベールの話をキリアムにはしていなかった。だが、もう話しておくべきだと思った。

 メルベールはユーリを庇うことで、余計に義父上の当たりは酷くなったこと、メルベールはそれを気付かないようにしているだけだと思っていること。

 メルベールはユーリと比べると、父に愛されていること以外、すべてに劣っている。だからこそ、愛されないユーリがいることで、自尊心が満たされていたこと。私は愛されている。学力は比べられない様に、ユーリを凄いでしょうと嬉しそうに褒めたりして、上手く誘導していたと…全てを話した。

「何だ、それは…」
「ルオンから見たグラーフ伯爵家のメルベールだそうだ」
「私は何も見えていなかったんだな…褒めていたのは聞いたことがある」

 メルベールがユーリは試験で教師に褒められていたことがあった。それを凄いのよと自慢げに話していたが、そんな裏があったかもしれないのか。

「そうなのか?」
「ああ、比べられない様にするためだったのか…」
「私も妬まないことを評価していたくらいだが、自分のためだったのかと思ったら…色褪せて見えたよ」

 同じ双子ということで、二人は嫌でも周りに比べられて来た。互いに妬ましいと思ったことは何度もある。

「カミオール王国へアベリーを連れて行った時、帰りにメルベールが観光しようと言い出したんだ」
「は?」
「私も何を言っているんだって思ったさ、ふざけるなと叫びたかったが、これから帰らなければならないと思って我慢した。もう駄目かもしれないと、その時に実感したんだ…それで報告書がこれだろう」
「あまり思い詰めるなよ」
「執事が言っていた、ユーリがいなくなって、何かが崩れて来たと…」
「それは、そうだな…」
「まるでユーリの犠牲で、均衡を保っていたようじゃないか?」

 ユーリが亡くなって、オーランドの愛人騒動、サイラが出て行き、レイアとメルベールの愚行が明らかになり、メルベールは嘘ばかりだったことが分かった。

「そうだな…」
「メルベールと話し合う時は同席してくれるか?」
「ああ、勿論だ。だが、誰か真実を知る人が必要だろうな」
「義母上か…」
「子爵家の騒動は聞いたか?」
「ああ、やらかしたらしいな。商家の後妻に入ったんだろう?」
「財政がかなり厳しいそうだ。もしかしたら、耳に入って、戻って来るのではないかと思っていたんだが…」

 まだサイラはが姿を現すことはなかったが、ようやく文が届いた。相手はオーランド、メルベール、ルオン、アレクス。文面は同じだった。

 一度そちらに戻ります。皆で一度だけ話をしましょう

 ユーリを思って、後悔しましたか?会った時に答えを聞かせてください。
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