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姉の友人3

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 第三者から見て、悪いのはメルベールであっても、二人にも双子だからという前提があり、メルベールがユーリに言わずに勝手に決めてしまって、上手く伝わっていなかったのかもしれない、そんな風にも考えていた。

 ユーリのことは親しいとは言えないので、メルベールの言い分も聞いてからでいいと思っていた。だが、メルベールはガルツ侯爵夫人のことを分かっても、言うことはないというのであれば、無理に聞き出す必要はないだろうとい考えることにした。

 まさかガルツ侯爵夫人を分かっていないとは、想定していない。

「ディーラも大変なのね」
「ええ、そうみたい」「ええ」
「このワンピースどう?プレタポルテなんだけど、今日初めて着てみたの」
「メルベールによく似合っているわ」「ええ、可愛いわ」

 楽しそうに話すメルベールに、今日は話す必要はない。ディーラがいずれ話すことになることで、私たちは直接聞いたわけでもなければ、関係者でもないからと、任せてしまおうと決めた。

「ホテルにね、プールもあって、水着で泳ぐことが出来るのよ」
「へえ、でも少し恥ずかしいわね」「ええ、私も自信がないわ」
「そんなことないわよ、貸し切りにも出来るそうよ」

 メルベールは領地に行くのではなかったと言った口で、ホテルで豪遊したことを話し始めた。まさか二人もそれがユーリが亡くなる時のことだとは思わずに、興味深く話を聞いていた。

 メルベールは二人に心配して貰い、ユーリやアベリーの話だけではなく、自分の話を聞いて貰ったことで、満足して帰って行った。

「恥ずかしいから言いたくなかったってことよね?」
「そうじゃないかな」
「ディーラも多分、これまでも似たようなことが、あったのではないかって言っていたものね」

 ディーラもメルベールのことを全て聞いたわけではなく、聞いたのはシュアト公爵家での茶会の話だけである。

「私たちが何か被害を被ったわけではないじゃない?」
「そうなのよ、だから言いなさいって立場でもないものね」
「娘さんのことは責任があるから、ちゃんとしないといけないけど、気の重いことばかりだっただろうから、これで良かったのよね」
「そう思うことにしましょうか」

 いずれディーラが話す時にフォローすればいい、そう考えていた。

 もし、今日シュアト公爵家の茶会の話を出していたら、メルベールはまた嘘を重ね、そして矛先をレイアに向けて、攻撃していたことだろう。

 メルベールは気付くこともなく、いい気分で茶会を終えただけであった。

 そして、アベリーはラオン大公家の許可を得て、15歳までの寄宿学校に通うことが決まった。早く出してしまいたいと思っている、似た者同士のメルベールとレイアはどちらでもいいと思ってさえいた。

 お菓子やドレスが大好きなアベリーには、なるべく刺激の少ない、都会ではない方がいいだろうということと、15歳までは普通の子どもとは違うが、こちらもなるべく普通に過ごさせようということが決め手となった。

 修道院のことも既に話してはいるが、まだ6歳で、分かっているとは言えない。8歳になったら寄宿学校に入ることだけは伝えて、修道院のことは寄宿学校に入ってから、卒業するまでにもう一度話そうということになった。

 修道院は目星は付けているが、これから決めることになっている。

 これで完全にアベリーの進む先が決まったことで、キリアムとマトムは少し肩の荷を下ろすことが出来た。

 アベリーは今も外出を禁止にしており、あれだけ可愛がっていたアレクスも、サイラが出て行く前までは、少しでいいから会わせて欲しいと訪ねて来ていたが、サイラがいなくなって、それどころではなくなっていた。
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