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姉の友人1
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メルベールはキリアムに止められたが、結局花柄の淡いグリーンのアフタヌーンドレスに身を包み、友人の茶会に参加していた。
集まったのは学園での友人である、ミリア、カローラ。二人は深いネイビーとグリーンのアフタヌーンドレスを着ていた。
ミリアは穏やかな性格で、子爵家に嫁いでおり、茶会の場所もピーク子爵家である。カローラは共感することが多い相手で、別の子爵家に嫁いでいる。
もう一人ディーラもいるだが、今日は来られなくなったそうだ。ディーラは伯爵家を継ぐことになっているため、婿を取っている。
社交界に復帰して、カローラだけには会ったが、話すことは出来なかった。
学園の頃はこの4人で多くの時間を過ごした、伯爵家で会う際はユーリも参加することもあり、3人もユーリはメルベールの妹という存在である。
「メルベール、大変だったわね。もっと早く会いたかったのだけど、私たちに会っている場合じゃないと思って控えていたの」
「本当にどうしてこんなに早く…この前言えなかったから、お悔やみを」
2人は目に涙を浮かべて、本当に悲しんでくれており、やっぱり来て良かったとメルベールは思った。
「ありがとう」
「どうして亡くなったの?」
「それが、私は、領地に行っていて、その間に急死だったそうなの。領地なんて行くんじゃなかったわ」
「そうだったの…」「苦しんだの?」
「そうだと思うわ…」
ユーリが亡くなった時の様子などは辛くて、一切聞いていないが、毒を飲んだということは苦しんだに違いない。
「持病があったわけではないのよね?」
「多分、なかったと思うわ。私もまだ実感がなくて、伯爵家にいる気がするの。いないのに」
「そうよね…」
「双子だからやっぱり特別よね、メルベールはずっと面倒を看ていたものね」
「そうなの、半身を失ってしまったわ」
重苦しい空気に包まれたが、ミリアはカローラと目を合わせて、言い難そうにしながら、話し始めた。
「あと、聞き辛いんだけど…娘さんは大丈夫?」
「やっぱり二人の耳にも?」
「うん、まあ、見ていた人も多かったみたいよ。でも謝罪は受け入れて貰ったと聞いたけど?」
「ええ、再教育しているんだけど、やっぱり親だと甘えが出るから、寄宿学校に入れようかって話しているの」
「それもいいかもしれないわね」「そうね」
トスター侯爵家では集団行動を学ばせるために、修道院の前に、寄宿学校に行くことを大公家にお伺いを立て、勧められた2つの寄宿学校を選んでいるところだ。
それぞれ別の国にある厳しいと有名な寄宿学校ではあるが、1つは8歳から13歳まで、1つは8歳から15歳まで在籍することになる。
12歳になったら修道院に入れる予定から、卒業後でいいという了承を貰い、2つのどちらかにするか現在考えている。
規則正しい生活に、罰もあるところは変わらないが、場所が15歳までの方が近くに賑わうような場所がなく、13歳までの方は比較的都会であることから、15歳までの方にしようかと、ほぼ決まりつつある。
会いに行くには遠いが、1年に一度は休暇で家に帰ることも出来る。
「後悔しているわ。もっと厳しくすれば良かったんだけど、女の子だし、第一子だったから…皆、甘やかしてしまって」
「子育てに正解はないものね」
「いくら親が言っても、何が起こるか分からないしね」
ミリア、カローラにも子どもがおり、まだ赤子の頃にアベリーと会わせたことはあったが、義母・レイアに高位貴族の子どもと交流させなさいと言われて、子ども同士は会わなくなっていった。
「でも怪我をさせて、本当に申し訳なくて…」
「それはそうよね」
「何か力になれることがあったら、言って頂戴ね」
「ありがとう。ディーラは元気なの?」
「う、うん。元気よ」「ええ」
ミリアとカローラの歯切れの悪い様子に、何かあったのかと思ったが、3人とは事件後から会っていなかったので、全く見当もつかない。
「何かあったの?」
「聞いてない?」
集まったのは学園での友人である、ミリア、カローラ。二人は深いネイビーとグリーンのアフタヌーンドレスを着ていた。
ミリアは穏やかな性格で、子爵家に嫁いでおり、茶会の場所もピーク子爵家である。カローラは共感することが多い相手で、別の子爵家に嫁いでいる。
もう一人ディーラもいるだが、今日は来られなくなったそうだ。ディーラは伯爵家を継ぐことになっているため、婿を取っている。
社交界に復帰して、カローラだけには会ったが、話すことは出来なかった。
学園の頃はこの4人で多くの時間を過ごした、伯爵家で会う際はユーリも参加することもあり、3人もユーリはメルベールの妹という存在である。
「メルベール、大変だったわね。もっと早く会いたかったのだけど、私たちに会っている場合じゃないと思って控えていたの」
「本当にどうしてこんなに早く…この前言えなかったから、お悔やみを」
2人は目に涙を浮かべて、本当に悲しんでくれており、やっぱり来て良かったとメルベールは思った。
「ありがとう」
「どうして亡くなったの?」
「それが、私は、領地に行っていて、その間に急死だったそうなの。領地なんて行くんじゃなかったわ」
「そうだったの…」「苦しんだの?」
「そうだと思うわ…」
ユーリが亡くなった時の様子などは辛くて、一切聞いていないが、毒を飲んだということは苦しんだに違いない。
「持病があったわけではないのよね?」
「多分、なかったと思うわ。私もまだ実感がなくて、伯爵家にいる気がするの。いないのに」
「そうよね…」
「双子だからやっぱり特別よね、メルベールはずっと面倒を看ていたものね」
「そうなの、半身を失ってしまったわ」
重苦しい空気に包まれたが、ミリアはカローラと目を合わせて、言い難そうにしながら、話し始めた。
「あと、聞き辛いんだけど…娘さんは大丈夫?」
「やっぱり二人の耳にも?」
「うん、まあ、見ていた人も多かったみたいよ。でも謝罪は受け入れて貰ったと聞いたけど?」
「ええ、再教育しているんだけど、やっぱり親だと甘えが出るから、寄宿学校に入れようかって話しているの」
「それもいいかもしれないわね」「そうね」
トスター侯爵家では集団行動を学ばせるために、修道院の前に、寄宿学校に行くことを大公家にお伺いを立て、勧められた2つの寄宿学校を選んでいるところだ。
それぞれ別の国にある厳しいと有名な寄宿学校ではあるが、1つは8歳から13歳まで、1つは8歳から15歳まで在籍することになる。
12歳になったら修道院に入れる予定から、卒業後でいいという了承を貰い、2つのどちらかにするか現在考えている。
規則正しい生活に、罰もあるところは変わらないが、場所が15歳までの方が近くに賑わうような場所がなく、13歳までの方は比較的都会であることから、15歳までの方にしようかと、ほぼ決まりつつある。
会いに行くには遠いが、1年に一度は休暇で家に帰ることも出来る。
「後悔しているわ。もっと厳しくすれば良かったんだけど、女の子だし、第一子だったから…皆、甘やかしてしまって」
「子育てに正解はないものね」
「いくら親が言っても、何が起こるか分からないしね」
ミリア、カローラにも子どもがおり、まだ赤子の頃にアベリーと会わせたことはあったが、義母・レイアに高位貴族の子どもと交流させなさいと言われて、子ども同士は会わなくなっていった。
「でも怪我をさせて、本当に申し訳なくて…」
「それはそうよね」
「何か力になれることがあったら、言って頂戴ね」
「ありがとう。ディーラは元気なの?」
「う、うん。元気よ」「ええ」
ミリアとカローラの歯切れの悪い様子に、何かあったのかと思ったが、3人とは事件後から会っていなかったので、全く見当もつかない。
「何かあったの?」
「聞いてない?」
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