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何も知らなかった義母
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「葬儀は明日ですか」
「はい、明日行います」
「では、ご指示いただければ、準備いたします」
「ありがとうございます、よろしくお願いいたします」
サイラはアレクスの言いなりの使用人よりも、大公様の使用人に指示を出し、この家よりも教会の方がいいだろうと、教会に知らせて、ユーリを運ぶことにした。
アレクスは呆然と立ち尽くしており、アベリーはまだ眠っているようだ。ルオンは別邸から出て来ることもなく、極力火の粉が掛からないように関わらないでいようと、夫と同じように思っているのだろう。
グラーフ伯爵家がバタバタと騒がしい様子に、ついにトスター侯爵夫人・レイアがやって来た。アレクスは気付いたようだが、目を逸らしている。
「ユーリが亡くなったの」
「えっ、どうして…」
後ろで付いて来た使用人も息をのんで、驚いている。
「昨日、夫が連れて行った茶会で、アベリーがストレ王国のラオン大公家のお孫さんに、ぬいぐるみを奪おうとして怪我させ、一時は意識不明だったの。今は目を覚まされたようだけど」
「っな、どうしてこちらに知らせてくれないの!」
「私はユーリに付き添っていたから、夫にアベリーを連れて侯爵邸に行くように言ってあったのだけど…」
行っていないのねという顔でアレクスを見ると、真っ青な顔をしており、ようやく傲慢な態度で乗り切れることはないと実感しただろう。
「グラーフ伯爵っ!!」
「もっ、申し訳ございません!」
身体を半分に折り曲げて謝罪しているが、どうにかなると思っていたくせに、今さら謝っても遅い、本当に腹立たしい。
「それでユーリがどうして亡くなったの?」
「夫がユーリに慰謝料を持って、謝罪に行くように言って」
「なぜユーリが行く必要があるのです!」
「ええ、こういう時だけ、双子だからお前の責任でもある、代わりに行くべきだと言って、そこで責任を取るためにユーリは、自分で作った毒を、飲んで…っ…それで、今朝、息を引き取ったの」
「グラーフ伯爵っ!どうして教えてくれなかったの!ユーリも私の義娘ですよ!」
「申し訳ございません…」
アレクスは同じ姿勢で、引き続き謝っているが、こうなることが分からなかったのか。いくら親しくとも、トスター家は侯爵家である。
「先程、大公様が確認にいらして、ユーリもここでは落ち着かないだろうから、今、教会に知らせたところで、教会に運ぼうと思っているの」
「そう、侯爵家も手伝うわ。それで、アベリーは?」
「まだ寝ていると思うわ。反省もしていない。キリアムくんとメルベールには早文をだしてあるわ」
「アベリーは反省している!」
アレクスは叫んだが、反省しているどころか、何が悪いかすら分かっていない。
「いいえ、頂戴と言ってもくれなかった、私にくれてもいいじゃない、ケチだと言っていました」
「…アベリーは、アベリーのことは後ね、私たちも謝罪に伺わなくてはなりません」
レイア夫人も我儘なんだからと言いながら、アベリーを可愛がっていた。だが、まさか怪我をさせるなんて、よりにもよって大公家の孫なんて。オーランドに言って、どうにか王太子殿下から口添えをして貰わなくてはならない。
「オーランドは?」
「機密で居場所が分からないから、知らせようがないの」
「分かったわ、王家には私から伝えます」
王家に知らせれば、自ずと王太子殿下と一緒にいるはずだから、力になってくれるはずだ。オーランドが側近で良かった。
「お願いします。でも…恋人のところにいらっしゃるのかもしれないわ」
「コイビト!?」
「妊娠されているそうよ。心配だからついてらっしゃるんじゃない?」
「…そんな」
「ゆっくり話をしている暇はあまりないの。私も相手は知らないから、そちらで勝手に調べて頂戴」
レイア夫人は呆然としていたが、サイラの言うことも最もだと思った。いつもはアレクスの陰に隠れて微笑んでいるばかりだったが、今日は別人のようだ。
「侯爵家と、クレナ伯爵家からも使用人を寄こすから使って頂戴」
「ありがとうございます」
「はい、明日行います」
「では、ご指示いただければ、準備いたします」
「ありがとうございます、よろしくお願いいたします」
サイラはアレクスの言いなりの使用人よりも、大公様の使用人に指示を出し、この家よりも教会の方がいいだろうと、教会に知らせて、ユーリを運ぶことにした。
アレクスは呆然と立ち尽くしており、アベリーはまだ眠っているようだ。ルオンは別邸から出て来ることもなく、極力火の粉が掛からないように関わらないでいようと、夫と同じように思っているのだろう。
グラーフ伯爵家がバタバタと騒がしい様子に、ついにトスター侯爵夫人・レイアがやって来た。アレクスは気付いたようだが、目を逸らしている。
「ユーリが亡くなったの」
「えっ、どうして…」
後ろで付いて来た使用人も息をのんで、驚いている。
「昨日、夫が連れて行った茶会で、アベリーがストレ王国のラオン大公家のお孫さんに、ぬいぐるみを奪おうとして怪我させ、一時は意識不明だったの。今は目を覚まされたようだけど」
「っな、どうしてこちらに知らせてくれないの!」
「私はユーリに付き添っていたから、夫にアベリーを連れて侯爵邸に行くように言ってあったのだけど…」
行っていないのねという顔でアレクスを見ると、真っ青な顔をしており、ようやく傲慢な態度で乗り切れることはないと実感しただろう。
「グラーフ伯爵っ!!」
「もっ、申し訳ございません!」
身体を半分に折り曲げて謝罪しているが、どうにかなると思っていたくせに、今さら謝っても遅い、本当に腹立たしい。
「それでユーリがどうして亡くなったの?」
「夫がユーリに慰謝料を持って、謝罪に行くように言って」
「なぜユーリが行く必要があるのです!」
「ええ、こういう時だけ、双子だからお前の責任でもある、代わりに行くべきだと言って、そこで責任を取るためにユーリは、自分で作った毒を、飲んで…っ…それで、今朝、息を引き取ったの」
「グラーフ伯爵っ!どうして教えてくれなかったの!ユーリも私の義娘ですよ!」
「申し訳ございません…」
アレクスは同じ姿勢で、引き続き謝っているが、こうなることが分からなかったのか。いくら親しくとも、トスター家は侯爵家である。
「先程、大公様が確認にいらして、ユーリもここでは落ち着かないだろうから、今、教会に知らせたところで、教会に運ぼうと思っているの」
「そう、侯爵家も手伝うわ。それで、アベリーは?」
「まだ寝ていると思うわ。反省もしていない。キリアムくんとメルベールには早文をだしてあるわ」
「アベリーは反省している!」
アレクスは叫んだが、反省しているどころか、何が悪いかすら分かっていない。
「いいえ、頂戴と言ってもくれなかった、私にくれてもいいじゃない、ケチだと言っていました」
「…アベリーは、アベリーのことは後ね、私たちも謝罪に伺わなくてはなりません」
レイア夫人も我儘なんだからと言いながら、アベリーを可愛がっていた。だが、まさか怪我をさせるなんて、よりにもよって大公家の孫なんて。オーランドに言って、どうにか王太子殿下から口添えをして貰わなくてはならない。
「オーランドは?」
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王家に知らせれば、自ずと王太子殿下と一緒にいるはずだから、力になってくれるはずだ。オーランドが側近で良かった。
「お願いします。でも…恋人のところにいらっしゃるのかもしれないわ」
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「…そんな」
「ゆっくり話をしている暇はあまりないの。私も相手は知らないから、そちらで勝手に調べて頂戴」
レイア夫人は呆然としていたが、サイラの言うことも最もだと思った。いつもはアレクスの陰に隠れて微笑んでいるばかりだったが、今日は別人のようだ。
「侯爵家と、クレナ伯爵家からも使用人を寄こすから使って頂戴」
「ありがとうございます」
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