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第一王子の帰国
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隣国のアーキュ王国に留学していた、第一王子・アッシュが留学を終えて、帰国することになった。
問題を起こして連絡が来ることもなかったが、お金も勿体ないということで、一度も帰って来ることはなかった。
オリビアのことは手紙で伝えており、会いたければズニーライ侯爵家に会いに行くことは出来る。
「ただいま、戻りました」
少し成長したような顔をしており、バトワスも王女たちのようにならなかったことに、ホッとした。
「よく無事に戻った。問題はなかったか?」
「はい、有意義な時間でした」
「オリビアのことは、手紙になって申し訳ない。嫌な思いはしなかったか?」
「ああ…まあ、影では言われていたのでしょうね」
王家が発表をしたことで、アッシュには何か言われるかもしれないが、詮索されるよりも発表して、オリビアに非があると示す方がいいと判断したと伝えていた。
予算内で男娼を呼ぶ許可を得ていたことも驚いたが、性欲が強過ぎる母親であったことも初めて知った。そんなことは知らなかったが、知りたくもなかった。
「すまなかったな」
「いえ、失望はしましたが、考えないようにしていました。手紙に書かれていたことは、事実なんですよね?」
「ああ、疑うなら調査の記録もある」
「そうですか」
「話がしたければ、ズニーライ侯爵家に行くといい」
「いずれは話さなくてはと思いますが、今はまだいいです」
「そうか」
アッシュが戻ったということは、第二王子・オークリーが、ヒューズリン王国へ留学が控えている。
アッシュが部屋で荷物の整理をしていると、オークリーが訪ねて来た。
「兄上、無事に戻られて良かったです」
「ああ、オークリーも行けば分かると思うが、戻ってくるのが嫌になると思うぞ」
「そんなに良かったのですか?」
「最初は居心地のいいものではなかったが…」
「どういうことですか?」
アッシュは言葉を濁したが、これから留学するオークリーには伝えて置くべきだろうと思った。
「学園では恋愛結婚の、子沢山のアジェル王国と思われてしまっている。アマリリスのことを知っている者もいたのかもしれない」
「でも、それは私たちには関係ないではありませんか」
「それでも、そういう印象を持たれているんだ。特に私たちは王族だから、同じ考えを持っていると思われるんだ」
アッシュも最初は、異性には特に警戒された。
だが少しずつ同性の同級生に、恋愛を持ち込んだら国に帰されてしまうのに、そんなことは考えていないということを浸透させた。
勉強も真面目に取り組み、無暗に異性には近づかずに、とても気を使った。
そうすると、徐々に話してくれるようにもなった。両親の離縁は信じられない気持ちだったが、親しくなった者には苦労するなと励まして貰ったくらいである。
だが、何も知らない者たちには嘲笑われていたのかもしれない。
恋愛結婚の国なのに、不貞だなんてと聞こえて来たこともある。不貞にも、男娼ということにも、情けない気持ちで一杯であった。
発表しなければ誰だと詮索されたことになったことも、追々で理解は出来た。
アーキュ王国でも、実は相手は男娼だと言われているが、違うのではないかと書かれたゴシップ誌を読んだこともある。だから、父に事実なのかと確認をした。
世間的には貴族の方がまだ良かったのかもしれないが、そんな者はいないということなのだろう。
「でも両親も、象徴とされていたマクローズ伯爵夫妻も離縁しましたよ?」
「ああ、そうらしいな。それでどう変わるか、変わっても当分先だろう。くすくす笑われることになるかもしれない」
「そんな!」
「でもな、直接言って来ることはないだろうから、気にしないことだよ」
オークリーは留学を楽しみにしていたが、急に不安になった。
問題を起こして連絡が来ることもなかったが、お金も勿体ないということで、一度も帰って来ることはなかった。
オリビアのことは手紙で伝えており、会いたければズニーライ侯爵家に会いに行くことは出来る。
「ただいま、戻りました」
少し成長したような顔をしており、バトワスも王女たちのようにならなかったことに、ホッとした。
「よく無事に戻った。問題はなかったか?」
「はい、有意義な時間でした」
「オリビアのことは、手紙になって申し訳ない。嫌な思いはしなかったか?」
「ああ…まあ、影では言われていたのでしょうね」
王家が発表をしたことで、アッシュには何か言われるかもしれないが、詮索されるよりも発表して、オリビアに非があると示す方がいいと判断したと伝えていた。
予算内で男娼を呼ぶ許可を得ていたことも驚いたが、性欲が強過ぎる母親であったことも初めて知った。そんなことは知らなかったが、知りたくもなかった。
「すまなかったな」
「いえ、失望はしましたが、考えないようにしていました。手紙に書かれていたことは、事実なんですよね?」
「ああ、疑うなら調査の記録もある」
「そうですか」
「話がしたければ、ズニーライ侯爵家に行くといい」
「いずれは話さなくてはと思いますが、今はまだいいです」
「そうか」
アッシュが戻ったということは、第二王子・オークリーが、ヒューズリン王国へ留学が控えている。
アッシュが部屋で荷物の整理をしていると、オークリーが訪ねて来た。
「兄上、無事に戻られて良かったです」
「ああ、オークリーも行けば分かると思うが、戻ってくるのが嫌になると思うぞ」
「そんなに良かったのですか?」
「最初は居心地のいいものではなかったが…」
「どういうことですか?」
アッシュは言葉を濁したが、これから留学するオークリーには伝えて置くべきだろうと思った。
「学園では恋愛結婚の、子沢山のアジェル王国と思われてしまっている。アマリリスのことを知っている者もいたのかもしれない」
「でも、それは私たちには関係ないではありませんか」
「それでも、そういう印象を持たれているんだ。特に私たちは王族だから、同じ考えを持っていると思われるんだ」
アッシュも最初は、異性には特に警戒された。
だが少しずつ同性の同級生に、恋愛を持ち込んだら国に帰されてしまうのに、そんなことは考えていないということを浸透させた。
勉強も真面目に取り組み、無暗に異性には近づかずに、とても気を使った。
そうすると、徐々に話してくれるようにもなった。両親の離縁は信じられない気持ちだったが、親しくなった者には苦労するなと励まして貰ったくらいである。
だが、何も知らない者たちには嘲笑われていたのかもしれない。
恋愛結婚の国なのに、不貞だなんてと聞こえて来たこともある。不貞にも、男娼ということにも、情けない気持ちで一杯であった。
発表しなければ誰だと詮索されたことになったことも、追々で理解は出来た。
アーキュ王国でも、実は相手は男娼だと言われているが、違うのではないかと書かれたゴシップ誌を読んだこともある。だから、父に事実なのかと確認をした。
世間的には貴族の方がまだ良かったのかもしれないが、そんな者はいないということなのだろう。
「でも両親も、象徴とされていたマクローズ伯爵夫妻も離縁しましたよ?」
「ああ、そうらしいな。それでどう変わるか、変わっても当分先だろう。くすくす笑われることになるかもしれない」
「そんな!」
「でもな、直接言って来ることはないだろうから、気にしないことだよ」
オークリーは留学を楽しみにしていたが、急に不安になった。
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