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不貞
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「不貞だなんて…違うわ」
「ホテルで男と密会、十分な不貞行為だ!」
「しかも、ホテルで会う前に、君は男娼ではなく、命として王宮に呼ぶようにも言ったようだな?関係を持つことになっても、黙っていてくれればいいと」
侍女が言ったのだと思ったが、言っていないと嘘を付いても、信じて貰えないだろうと思い、諦めた。
「あれは、冗談で…」
「王太子妃ともあろう者が言っていい冗談と悪い冗談がある。ホテルで君たちを見た貴族もいる…その者には口止めしたが、他にも見ていた者もいるだろう」
「ーっっっ」
オリビアはホテルでお茶をするからと、護衛は馬車で待たせていたが、メイドは連れて行けないので、脱ぎ着し易い、地味な装いをし、派手な行動は取らなかった。
だから、目立つようなことはなかったはずだと思っていた、それなのに見られていたのだろうか。
ホテルから帰らなければならないために、初めて眠ることはなく、気分が高揚し、ルルーリオと一緒に部屋を出ていた。
「男娼を呼ぶことに頭がいっぱいで、何も考えてなかったのか?子どもたちの耳に入ったら、どう思うか考えないのか…」
「子どもたちに…?」
「そうだよ、噂になれば、表立っては言われなくとも、コソコソ言われて、恥ずかしい思いをするかもしれない」
「…そんな」
「相手は仕事だから、仕方ない。まあそれも、君は男娼の特別だと信じていたようだと聞いたがな」
ズニーライ侯爵はオリビアをキッと睨み付け、オリビアもルルーリオは特別だと言ってくれたわと言い返したかったが、父親がいることでさすがに言えなかった。
「私は…私は…どうなるの」
「判断は私に任されている」
離縁とするか、幽閉とするか、バトワスは決め兼ねていた。
「元はと言えば、あなたが悪いんじゃない!」
「オリビアッ!!」
「私が閨の相手をしなかったからと言いたいのか?」
「そうよ!」
「君にとってはそうなんだろうな。私が忙しいと言っても、どうせ調査も本当はしていないんだろう?」
「し、しているわ」
またすっかり忘れていたオリビアは、していないと言えば、もっと状況が悪くなると、とてもではないが言えなかった。
「そうか、嘘だったらどうなるか分かっていて、言っているんだよな?」
「っな!」
「君の友人に聞いてみようか」
「オリビア、事実を言いなさい。どうせ調べれば分かるんだ」
これ以上、失態を誤魔化すことは出来ないと感じた、ズニーライ侯爵はオリビアに強く言った。
「していないわ…」
「そうだろうな。手伝うこともなく、性行為を求めて、だから男娼を許可して貰ったんだ。それでも、物足りなかったのか?」
ズニーライ侯爵は話を聞けば聞くほど、本当にこれが娘なのかという気持ちになっており、信じられない目で、オリビアを見つめた。
「予算が足りなくなったのよ!」
「最高ランクの男娼を何度も呼ぶからだろう?私は君の性欲が恐ろしいよ」
回数までは覚えてもいなかったが、オリビアが何度か呼んでいたのは聞いていたが、最高ランクの男娼ともなれば、高額になるに決まっている。
王家が使う娼館なのだから、最高ランクでなくとも、信頼のある娼館であったというのに、そこは王太子妃という部分が邪魔をしたのか知らないが、親に強請ってまで呼ぶとはどうかしている。
「私は!王太子妃なのよ!最高ランクに決まっているじゃない!」
「王太子妃ということは、分かっていたんだな」
「っな、な、な」
「最高ランクの男娼を呼ぶから、予算を増やして欲しいと国民に言えるか?子どもたちに言えるか?」
「そ、れは…」
さすがのオリビアも、そんなことは言えないと理解していた。
「はあ…ズニーライ侯爵、もし離縁となった場合は管理を頼めるか」
「承知しました。申し訳ございませんでした」
「離縁って…嘘でしょ…」
「ホテルで男と密会、十分な不貞行為だ!」
「しかも、ホテルで会う前に、君は男娼ではなく、命として王宮に呼ぶようにも言ったようだな?関係を持つことになっても、黙っていてくれればいいと」
侍女が言ったのだと思ったが、言っていないと嘘を付いても、信じて貰えないだろうと思い、諦めた。
「あれは、冗談で…」
「王太子妃ともあろう者が言っていい冗談と悪い冗談がある。ホテルで君たちを見た貴族もいる…その者には口止めしたが、他にも見ていた者もいるだろう」
「ーっっっ」
オリビアはホテルでお茶をするからと、護衛は馬車で待たせていたが、メイドは連れて行けないので、脱ぎ着し易い、地味な装いをし、派手な行動は取らなかった。
だから、目立つようなことはなかったはずだと思っていた、それなのに見られていたのだろうか。
ホテルから帰らなければならないために、初めて眠ることはなく、気分が高揚し、ルルーリオと一緒に部屋を出ていた。
「男娼を呼ぶことに頭がいっぱいで、何も考えてなかったのか?子どもたちの耳に入ったら、どう思うか考えないのか…」
「子どもたちに…?」
「そうだよ、噂になれば、表立っては言われなくとも、コソコソ言われて、恥ずかしい思いをするかもしれない」
「…そんな」
「相手は仕事だから、仕方ない。まあそれも、君は男娼の特別だと信じていたようだと聞いたがな」
ズニーライ侯爵はオリビアをキッと睨み付け、オリビアもルルーリオは特別だと言ってくれたわと言い返したかったが、父親がいることでさすがに言えなかった。
「私は…私は…どうなるの」
「判断は私に任されている」
離縁とするか、幽閉とするか、バトワスは決め兼ねていた。
「元はと言えば、あなたが悪いんじゃない!」
「オリビアッ!!」
「私が閨の相手をしなかったからと言いたいのか?」
「そうよ!」
「君にとってはそうなんだろうな。私が忙しいと言っても、どうせ調査も本当はしていないんだろう?」
「し、しているわ」
またすっかり忘れていたオリビアは、していないと言えば、もっと状況が悪くなると、とてもではないが言えなかった。
「そうか、嘘だったらどうなるか分かっていて、言っているんだよな?」
「っな!」
「君の友人に聞いてみようか」
「オリビア、事実を言いなさい。どうせ調べれば分かるんだ」
これ以上、失態を誤魔化すことは出来ないと感じた、ズニーライ侯爵はオリビアに強く言った。
「していないわ…」
「そうだろうな。手伝うこともなく、性行為を求めて、だから男娼を許可して貰ったんだ。それでも、物足りなかったのか?」
ズニーライ侯爵は話を聞けば聞くほど、本当にこれが娘なのかという気持ちになっており、信じられない目で、オリビアを見つめた。
「予算が足りなくなったのよ!」
「最高ランクの男娼を何度も呼ぶからだろう?私は君の性欲が恐ろしいよ」
回数までは覚えてもいなかったが、オリビアが何度か呼んでいたのは聞いていたが、最高ランクの男娼ともなれば、高額になるに決まっている。
王家が使う娼館なのだから、最高ランクでなくとも、信頼のある娼館であったというのに、そこは王太子妃という部分が邪魔をしたのか知らないが、親に強請ってまで呼ぶとはどうかしている。
「私は!王太子妃なのよ!最高ランクに決まっているじゃない!」
「王太子妃ということは、分かっていたんだな」
「っな、な、な」
「最高ランクの男娼を呼ぶから、予算を増やして欲しいと国民に言えるか?子どもたちに言えるか?」
「そ、れは…」
さすがのオリビアも、そんなことは言えないと理解していた。
「はあ…ズニーライ侯爵、もし離縁となった場合は管理を頼めるか」
「承知しました。申し訳ございませんでした」
「離縁って…嘘でしょ…」
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