悪意か、善意か、破滅か

野村にれ

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呆然

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 陛下にも経緯とオークリー、アマリリス、ライラックを注意をした。二度目は陛下に伝えると言ってあると報告を上げた。

 オリビアにも話すと、何か言いたそうな、一瞬の間があった。

「どうした?」
「いえ…」
「まさか協力したのではないだろうな?」

 ルークア王太子殿下からオリビアのことは聞いていなかったが、もしかしたら協力をしていたのではないかと疑いを向けた。

「いえ、協力はしていないわ。でもこんなにも誰も縁談が決まっていないのなら、良いかとは思っていたの」
「わざわざ聞いていないが、王女殿下には他国の王族から縁談があるという話だった。あの美しさなら、わざわざ我が国を選ぶことはないだろう」
「あなたも美しいと思ったの?」

 オリビアは目を吊り上げており、バトワスは溜息は堪えたが、面倒だなと思った。

「一般的な話だ」
「私はそうは思わなかったわ、肌も白くないし。オークリーは趣味が悪いわ」

 18歳の王女殿下に、張り合えると思っているのか、そのような物言いをする姿が、酷く醜く見えた。

「そんなことを言うものじゃない」
「何よ、あなたもやっぱり美しいと見惚れたの?」
「はあ…いい加減にしてくれ、王女殿下は18歳だぞ!そのようなこと言うことが、失礼だと思わないのか」

 まさかそんな話になるとは思わず、呆れるしかなかった。

「趣味が悪いと言っただけじゃない!」

 どちらかと言えば、メーリン王女殿下の方が、そう言いたい立場だろう。

「間違っても、失礼な態度を取るなよ、原因が分かるかもしれないんだから」
「分かっているわよ!分かったら、いくら面白くない相手でも感謝するわ」
「そのような言い方をするなと言っているだろう!」
「何よ!必死になって」

 まるで恋愛時代や新婚のような喧嘩を繰り広げることに、バトワスは呆れはしたが、ちゃんと言って置かなければいけないと思った。

「気分を害されて、何か分かっても、教えたくないと思われたらどうするんだ?お前が責任を取れるのか?」
「っな、どうして私が…」
「じゃあ、もう黙っていなさい」

 ふんと言いながらオリビアは出て行こうとしたが、本当に原因があるのか分からないが、そんなくだらないことで、機嫌を悪くしては堪らないために、オリビアにはくれぐれもと念押しした。

 オリビアと子どもたちを危惧して、念のためにルークア王太子殿下とメーリン王女殿下の方に、監視を付けた。何度かオークリー、アマリリス、ライラックを見掛けたようだが、話し掛けるようなことはなかったそうだ。

 だが、ルークア王太子殿下は結婚していると聞いて、さすがにもう近付かないと思っていたが、それでもまだ興味があるのかとすら思った。

 そして、ルークア王太子殿下とメーリン王女殿下まで帰国されるギリギリまで、話を聞いたり、資料を読み込んでおり、バトワスも話を聞くことになった。

「いかがでしたでしょうか?」
「はい、状況はとても似ていると言えます。ある年から雨が減り、徐々に今のような状況になっている。我が国の文献にも同じようなことが書かれていました」
「良くなったことは?」

 ルークア王太子殿下は、静かに首を横に振った。

「我が国のデータではありませんでした。ある一定から、今のような天候になって、そのまま変わらない状況だと思われます。ただ、我が国は昔のことですので、データがしっかりと残っていないのも事実です」

 200年以上前であれば、残っていないのも無理はない。

「何か手掛かりはありそうですか?」
「今のところは…環境の変化も、天候によるものが大きかったようですし、今のような天候になった際に、何があったかを詳しく調べてみてはいかがかと、調査機関の方にはお話ししました」
「あの年に…」

 バトワスは確か、結婚する前くらいではなかったかと、記憶している。
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