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略奪の後
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数日後、国王の執務室にはシュアリーとルカスがいた。
「お父様、いつ婚約発表していただけるの?新しくドレスも用意した方がいいかしら。ルカス様とお揃いにしたいわ、ねえ」
「そうですね」
ルカスは嬉しそうにはしゃぐシュアリーを微笑ましい目で見ていた。
「立場はどうなるのかしら、しっかり事前に勉強しなくちゃ」
「シュアリーは王太子になる。王配を選んだのだから、分かるな?」
「「えっ」」
思いがけない言葉に、思わず2人の声は重なった。
「王太子はお姉様じゃない、ルカス様が王配のためだったのは分かるけど、婚約者は私に代わるのだから」
「今から新たに王配を探すより、王太子を王女教育を受けているシュアリーにする方がいいと判断した」
「じゃあ、お姉様はどうなるの!」
「アウラージュは王位継承権を放棄し、上院にも提出されている。シュアリーの願いを叶えてやって欲しいとのことだ」
「願いって…」
「王配を奪うということは、そういうことだ」
「ちが、違う!王配だから好きになったんじゃないわ」
お姉様から王配を奪ったのではない、ルカスを好きになってしまったから、仕方のないことだった。たまたまお姉様の婚約者で、王配になる予定だっただけだ。
「そうであろうとも、ルカスは王配のための婚約者だった。そのために教育を受けていたのだ。ルカス、そうだろう?」
「…はい」
「お姉様に私が話をするわ。分かってくれるはずだもの」
「アウラージュはもういない、混乱を招くからと出て行ったよ」
「出て、行った?」
お姉様がいない?確かにこのところ見掛けてはいなかったが、そんなことは日常茶飯事だった。1週間会わなかったことだってある。
「えっ、どこへ行かれたのですか。所在は分かっているのでしょうか」
「いや、分からない」
「探していないのですか」
「ルカスに責める権利があるのか」
責める権利はないことは分かっているが、出て行くことはないだろう。立場が変わるだけで、今まで通り支えていくつもりだった。
「で、ですが、一国の王女です」
「居場所は分からないが、無事だという連絡は貰っているから、心配しなくていい。シュアリーは王太子教育を受けるように、ルカスはこれまで通り王配教育を進めなさい。二人の道はもうそこしか残っていない」
「お父様、違うの!私とルカス様は王家に残ってお姉様を支えるか、爵位を貰って臣下として生きようと思っていたの。王太子になろうなんて思っていないわ。お姉様に戻って貰って、王配を探しましょう」
シュアリーとルカスはアウラージュが王になることは揺るがないと、2人でアウラージュを支えるか、アウラージュが認めなければ、ルカスは次男であるため、爵位を貰えるのではないかと思っていた。
「アウラージュはルカスを奪った時点で、シュアリーは王になりたかったからだと思っている。王位継承権を放棄した以上、もう後戻りはできないんだ。王家としても、第一王女の婚約者を奪ったと同時に、王配を奪ったことになるより、アウラージュを退かせて、シュアリーが王に相応しいと示すしかない」
「そんな…」
「シュアリーも学んで来たんだ、これからは増えることになるが、出来ないということはないだろう」
「でも、お姉様と比べたら私なんて」
「それは仕方ないさ、年月が違うのだから。ルカスもこれからはアウラージュではなく、シュアリーを支えてやってくれ」
「…はい」
「話は以上だ」
アウラージュは王位継承権を放棄し、シュアリーが王太子になったこと、王太子の婚約者はそのままルカスが務めることが発表された。
「お父様、いつ婚約発表していただけるの?新しくドレスも用意した方がいいかしら。ルカス様とお揃いにしたいわ、ねえ」
「そうですね」
ルカスは嬉しそうにはしゃぐシュアリーを微笑ましい目で見ていた。
「立場はどうなるのかしら、しっかり事前に勉強しなくちゃ」
「シュアリーは王太子になる。王配を選んだのだから、分かるな?」
「「えっ」」
思いがけない言葉に、思わず2人の声は重なった。
「王太子はお姉様じゃない、ルカス様が王配のためだったのは分かるけど、婚約者は私に代わるのだから」
「今から新たに王配を探すより、王太子を王女教育を受けているシュアリーにする方がいいと判断した」
「じゃあ、お姉様はどうなるの!」
「アウラージュは王位継承権を放棄し、上院にも提出されている。シュアリーの願いを叶えてやって欲しいとのことだ」
「願いって…」
「王配を奪うということは、そういうことだ」
「ちが、違う!王配だから好きになったんじゃないわ」
お姉様から王配を奪ったのではない、ルカスを好きになってしまったから、仕方のないことだった。たまたまお姉様の婚約者で、王配になる予定だっただけだ。
「そうであろうとも、ルカスは王配のための婚約者だった。そのために教育を受けていたのだ。ルカス、そうだろう?」
「…はい」
「お姉様に私が話をするわ。分かってくれるはずだもの」
「アウラージュはもういない、混乱を招くからと出て行ったよ」
「出て、行った?」
お姉様がいない?確かにこのところ見掛けてはいなかったが、そんなことは日常茶飯事だった。1週間会わなかったことだってある。
「えっ、どこへ行かれたのですか。所在は分かっているのでしょうか」
「いや、分からない」
「探していないのですか」
「ルカスに責める権利があるのか」
責める権利はないことは分かっているが、出て行くことはないだろう。立場が変わるだけで、今まで通り支えていくつもりだった。
「で、ですが、一国の王女です」
「居場所は分からないが、無事だという連絡は貰っているから、心配しなくていい。シュアリーは王太子教育を受けるように、ルカスはこれまで通り王配教育を進めなさい。二人の道はもうそこしか残っていない」
「お父様、違うの!私とルカス様は王家に残ってお姉様を支えるか、爵位を貰って臣下として生きようと思っていたの。王太子になろうなんて思っていないわ。お姉様に戻って貰って、王配を探しましょう」
シュアリーとルカスはアウラージュが王になることは揺るがないと、2人でアウラージュを支えるか、アウラージュが認めなければ、ルカスは次男であるため、爵位を貰えるのではないかと思っていた。
「アウラージュはルカスを奪った時点で、シュアリーは王になりたかったからだと思っている。王位継承権を放棄した以上、もう後戻りはできないんだ。王家としても、第一王女の婚約者を奪ったと同時に、王配を奪ったことになるより、アウラージュを退かせて、シュアリーが王に相応しいと示すしかない」
「そんな…」
「シュアリーも学んで来たんだ、これからは増えることになるが、出来ないということはないだろう」
「でも、お姉様と比べたら私なんて」
「それは仕方ないさ、年月が違うのだから。ルカスもこれからはアウラージュではなく、シュアリーを支えてやってくれ」
「…はい」
「話は以上だ」
アウラージュは王位継承権を放棄し、シュアリーが王太子になったこと、王太子の婚約者はそのままルカスが務めることが発表された。
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