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漂着2
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「弟さんはなぜ亡くなられたのですか?」
「事故、です」
「あなたはジーリスを恨んでいませんか?」
「いいえ、関わりがないのに恨みようがありません」
成り替わっていたことは認める気がないようで、証拠もスノーの証言しかない。
だが、レリリス伯爵から急に邸に訪れることがあったこと、女性関係がなければ、付き合える方ではあったが、お酒を飲んで話をするような間柄ではあったので、いつも女性関係の自慢のようなことを聞かされていたが、深入りしたくないことから、詳しく尋ねることはしなかったと聞いた。
御者のことは覚えているか聞くと、顔や名前まではもう覚えていないが、外でずっと待っており、同じ男性だったと話した。
その証言を聞いていたローザ公爵は、窓から覗いていたあなたの娘は、しっかり覚えていたぞと心の中で思っていた。
他の友人にも話を聞いたが、概ね同じような証言であった。
ただそれは、伯爵家までの話であった。それ以下は、ジーリス・ユーフレットと聞くだけで、顔を顰める者もいれば、名前も聞きたくないという者も多かった。
未遂ならばいい方で、実際に襲われていた者もいたようで、訴えようにも写真を取られたり、家を潰すと脅されていたようで、出来なかったそうだ。
亡くなった時は、スノーが言っていたように安堵したという。
だが、被害に遭った女性の傷が癒えるわけでもなく、心を壊したり、自殺したものもいたという。どなたですかと聞いたが、犯人は亡くなっているのに、今更名前を出したくはないと言われてしまった。
調査員たちは、亡くなってはいますが、訴えることは出来ますということしか出来ずに帰ったという。
「ジーリスにあなたが、それとも弟さんが何かされたのですか?」
「リリー様の話ですよね?どうして、ジーリス様のことを聞くのですか」
「ジーリスが関わっているからですよ」
そう言うと、再び瞳孔が大きく開いて、黙り込んだ。
「ジーリスを恨んでいたのではありませんか?」
「…」
「ジーリスに弟さんは殺された?」
「…」
「あなたがジーリスを殺したのか?」
オーロラは意思を持った目で、ローザ公爵をじっと見つめた。
「リリー様とジーリス様に、どのような関係があるのですか」
「あなたもご存知なんですね?」
「何をですか?」
「強姦されたことをです」
オーロラは、ゴクンと唾を飲み込んだ。
「リリーを手助けしていたのはあなたですね?」
「…あ」
「リリーにはまだ話していません。何があったか教えては貰えませんか」
視線が定まらないオーロラに、ローザ公爵は再び優しく問い掛けたが、オーロラは口を開こうとはしなかった。
「筆跡鑑定もさせていただきます」
マリエルへの嫌がらせの手紙を手伝った一人だろうと、直感的に思った。
一部の手紙にはマリエルの名前は書いていなかったので、誰とは言わずにリリーは書かせたのだろうと思っていた。
「筆跡…?」
そう言いながら、オーロラは戸惑った顔をした。
「手紙に心当たりがありませんか」
「…手紙」
「リリーに頼まれたのではありませんか」
オーロラは心当たりのあるような顔をしていたが、どう答えればいいのかという雰囲気で、さすがにローザ公爵はしびれを切らした。
「メリーアンは、ジーリスの子どもの可能性が高いのですよ!」
「そんな!」
「事実です!」
「そんな、あああああ!嫌!嘘…嘘よ!そんなことあってはならないわああああ」
オーロラは絶叫しながら、机に突っ伏した。
きっと、リリーもオーロラも消した過去であり、誰もが口にもしたくもなかったことだったのだろう。
落ち着くのを待って、ローザ公爵は問い掛けた。
「何があったのか、話してくれますね?」
「…はい」
「事故、です」
「あなたはジーリスを恨んでいませんか?」
「いいえ、関わりがないのに恨みようがありません」
成り替わっていたことは認める気がないようで、証拠もスノーの証言しかない。
だが、レリリス伯爵から急に邸に訪れることがあったこと、女性関係がなければ、付き合える方ではあったが、お酒を飲んで話をするような間柄ではあったので、いつも女性関係の自慢のようなことを聞かされていたが、深入りしたくないことから、詳しく尋ねることはしなかったと聞いた。
御者のことは覚えているか聞くと、顔や名前まではもう覚えていないが、外でずっと待っており、同じ男性だったと話した。
その証言を聞いていたローザ公爵は、窓から覗いていたあなたの娘は、しっかり覚えていたぞと心の中で思っていた。
他の友人にも話を聞いたが、概ね同じような証言であった。
ただそれは、伯爵家までの話であった。それ以下は、ジーリス・ユーフレットと聞くだけで、顔を顰める者もいれば、名前も聞きたくないという者も多かった。
未遂ならばいい方で、実際に襲われていた者もいたようで、訴えようにも写真を取られたり、家を潰すと脅されていたようで、出来なかったそうだ。
亡くなった時は、スノーが言っていたように安堵したという。
だが、被害に遭った女性の傷が癒えるわけでもなく、心を壊したり、自殺したものもいたという。どなたですかと聞いたが、犯人は亡くなっているのに、今更名前を出したくはないと言われてしまった。
調査員たちは、亡くなってはいますが、訴えることは出来ますということしか出来ずに帰ったという。
「ジーリスにあなたが、それとも弟さんが何かされたのですか?」
「リリー様の話ですよね?どうして、ジーリス様のことを聞くのですか」
「ジーリスが関わっているからですよ」
そう言うと、再び瞳孔が大きく開いて、黙り込んだ。
「ジーリスを恨んでいたのではありませんか?」
「…」
「ジーリスに弟さんは殺された?」
「…」
「あなたがジーリスを殺したのか?」
オーロラは意思を持った目で、ローザ公爵をじっと見つめた。
「リリー様とジーリス様に、どのような関係があるのですか」
「あなたもご存知なんですね?」
「何をですか?」
「強姦されたことをです」
オーロラは、ゴクンと唾を飲み込んだ。
「リリーを手助けしていたのはあなたですね?」
「…あ」
「リリーにはまだ話していません。何があったか教えては貰えませんか」
視線が定まらないオーロラに、ローザ公爵は再び優しく問い掛けたが、オーロラは口を開こうとはしなかった。
「筆跡鑑定もさせていただきます」
マリエルへの嫌がらせの手紙を手伝った一人だろうと、直感的に思った。
一部の手紙にはマリエルの名前は書いていなかったので、誰とは言わずにリリーは書かせたのだろうと思っていた。
「筆跡…?」
そう言いながら、オーロラは戸惑った顔をした。
「手紙に心当たりがありませんか」
「…手紙」
「リリーに頼まれたのではありませんか」
オーロラは心当たりのあるような顔をしていたが、どう答えればいいのかという雰囲気で、さすがにローザ公爵はしびれを切らした。
「メリーアンは、ジーリスの子どもの可能性が高いのですよ!」
「そんな!」
「事実です!」
「そんな、あああああ!嫌!嘘…嘘よ!そんなことあってはならないわああああ」
オーロラは絶叫しながら、机に突っ伏した。
きっと、リリーもオーロラも消した過去であり、誰もが口にもしたくもなかったことだったのだろう。
落ち着くのを待って、ローザ公爵は問い掛けた。
「何があったのか、話してくれますね?」
「…はい」
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