68 / 154
リリー夫人1
しおりを挟む
騎士団ではなく、互いの騎士を連れて、ローザ公爵夫妻と、ランドマーク前侯爵が、ユーフレット侯爵邸を訪れた。
どうなるか分からないために、ダリアにも伝えず、ユーフレット侯爵も王城に向かわせて、同席させないことにした。
「皆様、どうされたのですか?ああ、そういえば、婚約されたのでしたね。メリーアンが喜んでおりましたわ」
リアンスとメリーアンは婚約していたというのに、親同士は全く交流はなかった。そして、3人ともが、リリーと婚約の話をする気はなかった。
「リサナ・ビュータをご存知ですね?」
「はい、存じておりますけど?」
ある意味、リリーのことを3人はよく知らないので、どう話を持っていくか、決め兼ねていた。だが、もうここまで来たからには、ぶつけるしかないと決めた。
バークスが主導で話し、ヒューナとブレオンが補足していくことにした。
「マリエル・オスレに嫌がらせをしていたのをご存知ですね?」
「え?何だか、取り調べみたいですわね」
「答えていただけますか」
「嫌がらせ?そんなこともあったかしら?随分前のことだから、覚えていませんわ」
リリーはしていても覚えていない、何も知らないような顔で答えている。
「覚えていない?あなたは犯人を知っていたのに、何をしたか、覚えていないというのですか?」
「ええ、だってすごく前でしょう?よく覚えていないわ」
「マリエルが亡くなっていると言うのに?」
「事故だったのでしょう、それは仕方のないことだわ」
その言葉にヒューナは苛立ち、覚えていないとのらりくらりと交わそうと思っているのだろうと、怒鳴りつけたいほどだった。
「では、トイズのことも、前のことだから覚えていないか?」
「トイズ様は関係ないでしょう」
「マリエルの夫なのだから、関係あるに決まっているだろう。なぜ関係ないなどと言える?」
「そ、それは…そうね」
バークスはわざとトイズの名前を出したが、明らかにリリーの余裕のある様子が少し崩れた。
「トイズはマリエルの事故を疑っていたんだ」
証拠は残っていなかったが、馬車や馬を調べていただろうとして、話した。
「トイズ様が?」
「トイズは君には関わりたくないから、調査をしなかったことが失敗だったな」
関わっているだろうとは問わずに、匂わせることにした。
「…え」
「嫌っていたからと、敬遠するべきではなかったな」
「ええ、嫌っているからこそ、調べるべきだったのよ」
「それほど、気分の悪いことだったのだろうな」
3人は口々に、トイズがリリーを嫌っていたと追い詰めることにした。
取り乱さなくても、トイズを今でも想っているのなら、きっとリリーの心には耐えられないことだろう。
「いい加減にして!トイズ様が私を嫌うなんてあり得ないわ!」
リリーは机を叩きつけて、立ち上がり、3人はここまで反応するとは思わずに驚いた。ヒューナはここぞとばかりに追い込むことにした。
「婚約解消されたのだから、好かれているなんてあり得ないでしょう?そんなことも分からないの?」
「私たちは仕方なく、解消したの!」
「何を言っているの?トイズに見限られただけでしょう?」
「違うわ、トイズ様のお兄様が亡くなって」
「違うでしょう!解消してから、亡くなられたじゃない!記憶をすり替えないで!あなたはただトイズ様に見限られたの」
リリーは視線をキョロキョロろと彷徨わせて、目を回すのではないかとすら思うほどであった。
「違う、違う、お兄様が…」
「お兄様のことは全く関係ないわ、都合よく捏造するんじゃないわよ!」
「そん、ちが…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【お詫び】
リサナをビュータ伯爵家にしたはずが、
途中からなぜかニューナ伯爵家になっておりました。
気付いた部分は、直しておりますが、
まだ直っていないところもあるかもしれません。
大変、申し訳ございませんでした。
どうなるか分からないために、ダリアにも伝えず、ユーフレット侯爵も王城に向かわせて、同席させないことにした。
「皆様、どうされたのですか?ああ、そういえば、婚約されたのでしたね。メリーアンが喜んでおりましたわ」
リアンスとメリーアンは婚約していたというのに、親同士は全く交流はなかった。そして、3人ともが、リリーと婚約の話をする気はなかった。
「リサナ・ビュータをご存知ですね?」
「はい、存じておりますけど?」
ある意味、リリーのことを3人はよく知らないので、どう話を持っていくか、決め兼ねていた。だが、もうここまで来たからには、ぶつけるしかないと決めた。
バークスが主導で話し、ヒューナとブレオンが補足していくことにした。
「マリエル・オスレに嫌がらせをしていたのをご存知ですね?」
「え?何だか、取り調べみたいですわね」
「答えていただけますか」
「嫌がらせ?そんなこともあったかしら?随分前のことだから、覚えていませんわ」
リリーはしていても覚えていない、何も知らないような顔で答えている。
「覚えていない?あなたは犯人を知っていたのに、何をしたか、覚えていないというのですか?」
「ええ、だってすごく前でしょう?よく覚えていないわ」
「マリエルが亡くなっていると言うのに?」
「事故だったのでしょう、それは仕方のないことだわ」
その言葉にヒューナは苛立ち、覚えていないとのらりくらりと交わそうと思っているのだろうと、怒鳴りつけたいほどだった。
「では、トイズのことも、前のことだから覚えていないか?」
「トイズ様は関係ないでしょう」
「マリエルの夫なのだから、関係あるに決まっているだろう。なぜ関係ないなどと言える?」
「そ、それは…そうね」
バークスはわざとトイズの名前を出したが、明らかにリリーの余裕のある様子が少し崩れた。
「トイズはマリエルの事故を疑っていたんだ」
証拠は残っていなかったが、馬車や馬を調べていただろうとして、話した。
「トイズ様が?」
「トイズは君には関わりたくないから、調査をしなかったことが失敗だったな」
関わっているだろうとは問わずに、匂わせることにした。
「…え」
「嫌っていたからと、敬遠するべきではなかったな」
「ええ、嫌っているからこそ、調べるべきだったのよ」
「それほど、気分の悪いことだったのだろうな」
3人は口々に、トイズがリリーを嫌っていたと追い詰めることにした。
取り乱さなくても、トイズを今でも想っているのなら、きっとリリーの心には耐えられないことだろう。
「いい加減にして!トイズ様が私を嫌うなんてあり得ないわ!」
リリーは机を叩きつけて、立ち上がり、3人はここまで反応するとは思わずに驚いた。ヒューナはここぞとばかりに追い込むことにした。
「婚約解消されたのだから、好かれているなんてあり得ないでしょう?そんなことも分からないの?」
「私たちは仕方なく、解消したの!」
「何を言っているの?トイズに見限られただけでしょう?」
「違うわ、トイズ様のお兄様が亡くなって」
「違うでしょう!解消してから、亡くなられたじゃない!記憶をすり替えないで!あなたはただトイズ様に見限られたの」
リリーは視線をキョロキョロろと彷徨わせて、目を回すのではないかとすら思うほどであった。
「違う、違う、お兄様が…」
「お兄様のことは全く関係ないわ、都合よく捏造するんじゃないわよ!」
「そん、ちが…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【お詫び】
リサナをビュータ伯爵家にしたはずが、
途中からなぜかニューナ伯爵家になっておりました。
気付いた部分は、直しておりますが、
まだ直っていないところもあるかもしれません。
大変、申し訳ございませんでした。
1,650
お気に入りに追加
2,965
あなたにおすすめの小説
愛すべきマリア
志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。
学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。
家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。
早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。
頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。
その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。
体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。
しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。
他サイトでも掲載しています。
表紙は写真ACより転載しました。

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

さようなら、わたくしの騎士様
夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。
その時を待っていたのだ。
クリスは知っていた。
騎士ローウェルは裏切ると。
だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり(苦手な方はご注意下さい)。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜
梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。
そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。
実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。
悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。
しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。
そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる