【完結】試される愛の果て

野村にれ

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リリー夫人1

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 騎士団ではなく、互いの騎士を連れて、ローザ公爵夫妻と、ランドマーク前侯爵が、ユーフレット侯爵邸を訪れた。

 どうなるか分からないために、ダリアにも伝えず、ユーフレット侯爵も王城に向かわせて、同席させないことにした。

「皆様、どうされたのですか?ああ、そういえば、婚約されたのでしたね。メリーアンが喜んでおりましたわ」

 リアンスとメリーアンは婚約していたというのに、親同士は全く交流はなかった。そして、3人ともが、リリーと婚約の話をする気はなかった。

「リサナ・ビュータをご存知ですね?」
「はい、存じておりますけど?」

 ある意味、リリーのことを3人はよく知らないので、どう話を持っていくか、決め兼ねていた。だが、もうここまで来たからには、ぶつけるしかないと決めた。

 バークスが主導で話し、ヒューナとブレオンが補足していくことにした。

「マリエル・オスレに嫌がらせをしていたのをご存知ですね?」
「え?何だか、取り調べみたいですわね」
「答えていただけますか」
「嫌がらせ?そんなこともあったかしら?随分前のことだから、覚えていませんわ」

 リリーはしていても覚えていない、何も知らないような顔で答えている。

「覚えていない?あなたは犯人を知っていたのに、何をしたか、覚えていないというのですか?」
「ええ、だってすごく前でしょう?よく覚えていないわ」
「マリエルが亡くなっていると言うのに?」
「事故だったのでしょう、それは仕方のないことだわ」

 その言葉にヒューナは苛立ち、覚えていないとのらりくらりと交わそうと思っているのだろうと、怒鳴りつけたいほどだった。

「では、トイズのことも、前のことだから覚えていないか?」
「トイズ様は関係ないでしょう」
「マリエルの夫なのだから、関係あるに決まっているだろう。なぜ関係ないなどと言える?」
「そ、それは…そうね」

 バークスはわざとトイズの名前を出したが、明らかにリリーの余裕のある様子が少し崩れた。

「トイズはマリエルの事故を疑っていたんだ」

 証拠は残っていなかったが、馬車や馬を調べていただろうとして、話した。

「トイズ様が?」
「トイズは君には関わりたくないから、調査をしなかったことが失敗だったな」

 関わっているだろうとは問わずに、匂わせることにした。

「…え」
「嫌っていたからと、敬遠するべきではなかったな」
「ええ、嫌っているからこそ、調べるべきだったのよ」
「それほど、気分の悪いことだったのだろうな」

 3人は口々に、トイズがリリーを嫌っていたと追い詰めることにした。

 取り乱さなくても、トイズを今でも想っているのなら、きっとリリーの心には耐えられないことだろう。

「いい加減にして!トイズ様が私を嫌うなんてあり得ないわ!」

 リリーは机を叩きつけて、立ち上がり、3人はここまで反応するとは思わずに驚いた。ヒューナはここぞとばかりに追い込むことにした。

「婚約解消されたのだから、好かれているなんてあり得ないでしょう?そんなことも分からないの?」
「私たちは仕方なく、解消したの!」
「何を言っているの?トイズに見限られただけでしょう?」
「違うわ、トイズ様のお兄様が亡くなって」
「違うでしょう!解消してから、亡くなられたじゃない!記憶をすり替えないで!あなたはただトイズ様に見限られたの」

 リリーは視線をキョロキョロろと彷徨わせて、目を回すのではないかとすら思うほどであった。

「違う、違う、お兄様が…」
「お兄様のことは全く関係ないわ、都合よく捏造するんじゃないわよ!」
「そん、ちが…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【お詫び】

リサナをビュータ伯爵家にしたはずが、
途中からなぜかニューナ伯爵家になっておりました。

気付いた部分は、直しておりますが、
まだ直っていないところもあるかもしれません。

大変、申し訳ございませんでした。
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