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覚悟1
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「それはそうだな、でもスノーはいいのか?」
「公爵家は今でも嫌ですけど、覚悟というなら、彼にも覚悟をして貰わないとなりません」
「そうか、ならここに呼ぶといい」
「ええ、それがいいわね。あなたも心強いでしょう?」
「はい、ありがとうございます」
初めてスノーからリアンスを、ランドマーク侯爵家に誘った。そして、オブレオが父親であるローザ公爵を一緒に来て欲しいと手紙を出していた。
そして、ランドマーク侯爵家にやって来たリアンスと、バークス・ローザ。3人で出迎えたが、リアンスはスノーの姿に驚いた。
「スノー嬢、髪が…染めたのか?」
ダークブロンドだった髪色からブロンドになって、初めて会う日であった。
「いいえ、これが地毛なのです」
「地毛?染めていたのか?だが、私が見た時には既に」
「はい、事情があって染めていました。それも含めて話をしたいと思い、お呼びしました」
スノーはバークスとリアンスに向かって、深々と頭を下げた。
「私も呼ばれたと言うことは、婚約のことかな?」
「そうでもありますが、その前に話をしたいことがございます。そして、ローザ公爵令息様は、私とまだ婚約したいですか?」
「ああ、勿論だ」
「では、一緒に背負っていただきたいことがあります。でも違う道を選ぶという権利もありますから、心配なさらないでください」
「背負う?」
オブレオはバークスを見つめて、小さく頷いた。
爵位は公爵の方が上だが、世代が違うため、オブレオの方が敬われる立場である。
そして、5人は応接室に移動した。
「私は8歳の頃に、ある茶会の帰りに置き去りにされたことがあります。ある貴族の方に助けられて、怖い思いをすることは一切ありませんでした。2日だけでしたが、両親は私がいないことを気付いてもいませんでした」
「っな、それでこちらにということか?」
「はい、概ねそうです。それで両親は私に負い目があります」
「そうだったのか…納得した」
「これがあなたが知りたかった、ランドマーク侯爵家にいた理由です」
スノーはリアンスの気にしていた答えは話したが、続きはどこから話をしようかと、考えていた。
「なぜ置き去りにされるようなことになったのか、聞いてもいいかい?」
口を挟んだのはバークスであったが、オブレオが答えた。
「スノー、私が話そうか?」
「規模が大きくなり過ぎてしまい、どこから話せばいいかと思っておりました。お任せしてもいいですか?」
「ああ、二人もそれでいいかな?置き去りのことはいずれ、話に出て来るから待ってくれるかい?」
「はい」「はい、お願いします」
オブレオは外交を任されるほどの人物であり、スノーよりも話上手である。
「私たちは今、どうすればいいか分からないことを抱えている。今でも答えが出ていない。それを頭に入れて聞いて欲しい」
オブレオは名前は出さずに、スノーに起きたこと、そこから媚薬を使って襲われて、兄と妹で結婚しているかもしれないことを話した。
「オブレオ殿が口にすると言うことは、証拠があるのだな?」
「ああ、間違っていたら、繋がるはずのない事柄が起きているからな」
「髪色も見付からないためだったのか」
「私が念のために提案しましたの」
リアンスの問いには、アンリが答えた。
「無理もないことだ。だが、疑惑でも調べるべきじゃないか。きょうだいの結婚は認められていない」
「ああ、だが事情があって、兄妹ではないかもしれない」
「それでも、早く明らかにすべきです」
バークスは強い言葉で言ったが、3人は少しずつ事実を知っていったために、要約した事柄にこれが普通の反応なのだろうと思っていた。
「誰なのか聞く気があるかい?」
「私たちに関わる方なのですか?」
「ローザ公爵家もランドマーク侯爵家、レリリス伯爵家も関係はない」
「ならば!」
「オスレ伯爵家、ユーフレット侯爵家と言えばいいかな?」
リアンスは目を見開き、言葉が出て来なかった。
「公爵家は今でも嫌ですけど、覚悟というなら、彼にも覚悟をして貰わないとなりません」
「そうか、ならここに呼ぶといい」
「ええ、それがいいわね。あなたも心強いでしょう?」
「はい、ありがとうございます」
初めてスノーからリアンスを、ランドマーク侯爵家に誘った。そして、オブレオが父親であるローザ公爵を一緒に来て欲しいと手紙を出していた。
そして、ランドマーク侯爵家にやって来たリアンスと、バークス・ローザ。3人で出迎えたが、リアンスはスノーの姿に驚いた。
「スノー嬢、髪が…染めたのか?」
ダークブロンドだった髪色からブロンドになって、初めて会う日であった。
「いいえ、これが地毛なのです」
「地毛?染めていたのか?だが、私が見た時には既に」
「はい、事情があって染めていました。それも含めて話をしたいと思い、お呼びしました」
スノーはバークスとリアンスに向かって、深々と頭を下げた。
「私も呼ばれたと言うことは、婚約のことかな?」
「そうでもありますが、その前に話をしたいことがございます。そして、ローザ公爵令息様は、私とまだ婚約したいですか?」
「ああ、勿論だ」
「では、一緒に背負っていただきたいことがあります。でも違う道を選ぶという権利もありますから、心配なさらないでください」
「背負う?」
オブレオはバークスを見つめて、小さく頷いた。
爵位は公爵の方が上だが、世代が違うため、オブレオの方が敬われる立場である。
そして、5人は応接室に移動した。
「私は8歳の頃に、ある茶会の帰りに置き去りにされたことがあります。ある貴族の方に助けられて、怖い思いをすることは一切ありませんでした。2日だけでしたが、両親は私がいないことを気付いてもいませんでした」
「っな、それでこちらにということか?」
「はい、概ねそうです。それで両親は私に負い目があります」
「そうだったのか…納得した」
「これがあなたが知りたかった、ランドマーク侯爵家にいた理由です」
スノーはリアンスの気にしていた答えは話したが、続きはどこから話をしようかと、考えていた。
「なぜ置き去りにされるようなことになったのか、聞いてもいいかい?」
口を挟んだのはバークスであったが、オブレオが答えた。
「スノー、私が話そうか?」
「規模が大きくなり過ぎてしまい、どこから話せばいいかと思っておりました。お任せしてもいいですか?」
「ああ、二人もそれでいいかな?置き去りのことはいずれ、話に出て来るから待ってくれるかい?」
「はい」「はい、お願いします」
オブレオは外交を任されるほどの人物であり、スノーよりも話上手である。
「私たちは今、どうすればいいか分からないことを抱えている。今でも答えが出ていない。それを頭に入れて聞いて欲しい」
オブレオは名前は出さずに、スノーに起きたこと、そこから媚薬を使って襲われて、兄と妹で結婚しているかもしれないことを話した。
「オブレオ殿が口にすると言うことは、証拠があるのだな?」
「ああ、間違っていたら、繋がるはずのない事柄が起きているからな」
「髪色も見付からないためだったのか」
「私が念のために提案しましたの」
リアンスの問いには、アンリが答えた。
「無理もないことだ。だが、疑惑でも調べるべきじゃないか。きょうだいの結婚は認められていない」
「ああ、だが事情があって、兄妹ではないかもしれない」
「それでも、早く明らかにすべきです」
バークスは強い言葉で言ったが、3人は少しずつ事実を知っていったために、要約した事柄にこれが普通の反応なのだろうと思っていた。
「誰なのか聞く気があるかい?」
「私たちに関わる方なのですか?」
「ローザ公爵家もランドマーク侯爵家、レリリス伯爵家も関係はない」
「ならば!」
「オスレ伯爵家、ユーフレット侯爵家と言えばいいかな?」
リアンスは目を見開き、言葉が出て来なかった。
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