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修道院
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オブレオとアンリは、最北端の修道院までリジーナに会いに行った。寒い時期ではなかったので、遠くではあったが、確認を取るべきだと思った。
スノーの頼みだからというよりは、オブレオは側妃事件の責任感から、アンリは事実を知りたかった。
「こんなところまで、何かあったのですか?」
リジーナは修道女らしく化粧もせず、質素なワンピース姿で現れた。
「リリー・ユーフレットに脅されていたのか」
「ああ…もしかして、私のことを告発したのはリリー夫人?」
「違う」
「そうですか…別に彼女が言っていたとしても、もう別に構いませんわ」
「いや、全く関係ない」
オブレオは聞かれて初めて、そういった見方も出来るのかと思ったが、リジーナにはもう何も出来ないとはいえ、事実とは違うことは否定しなければない。
「ということは、リリー夫人の企みも分かったのかしら?」
「事実なんだな?」
「ええ、脅されてはいました。彼と一緒にいるところを見られてしまって、でも今となっては私以外に疑っていたのは彼女だけでしたね」
「何を要求されたんだ?」
「分かっているのではないのですか?」
既にリリーは何らかの罪に問われているのではないかと思っていた。大した要求をされた訳ではなかったが、脅すような人間はいずれ天罰が下ると思っていた。
「まずは君に話を聞いてからだ」
「そうでしたか…要求されたのは媚薬です」
驚くほど、リジーナはあっさり答えたが、予想通りであった。
「他にはないのか?」
「媚薬だけでした。他にも要求されるのかと思いましたが、ありませんでした」
「誰に使ったかは?」
「知りません、知っていたら言いますわ。私には失うものはないのですから」
リジーナは親しいわけでもないので、道連れにしたいという訳でも、そこまで恨んでいるわけでもなかった。
「心当たりは?」
「さあ、本人は夫に使うと言っていましたから」
「そうなのか?」
「ええ、だって結婚してからの話ですから、夫に使うなんて、上手くいっていないと言っているようなものですよね。本気にすべきかは分かりませんでしたけど」
媚薬は弱い興奮剤なら合法とされているが、実家の商会が扱っていた強い媚薬は、伝手がないと購入は出来ず、何度も使うと危険だとされていた物だった。
夫に相手にされず、購入したのかとも考えたが、何度か要求されたことで、よく分からなかった。
「使ったと思うか?」
「ええ、ご本人がそう言っていました」
「いつだ?子どもが生まれる前か?」
「ええ、そうですわね。でも何度かありましたし、期限が切れてしまったと言っていた時もありました。もしかして、リリー夫人も托卵かしら?」
「そう思うか?」
「話の流れ的には…可能性があるのは娘さんの方ね」
リジーナはメリーアンの顔を思い出したが、予測も出来なかった。
「最後はいつだ?」
「確か、4年前くらいかしら?」
「4年?」
トイズは既に亡くなっていた、そうなると、一体誰に使おうとしたのか。本当に夫に使ったのだろうか。
「その後に一度だけ会いましたけど、もう必要なくなったと言っていましたわ」
「そうか、他にそういった要求をされたりした者はいないか?」
「おりません」
「リリー・ユーフレットはどのような人だと思う?多少は親しかったのだろう?」
聞くべきことは聞いたが、最後にリジーナの意見も聞いておこうと思った。
「社交界での立ち位置は似ておりましたが、リリー夫人は諦めた私と違って、諦めていない方でしたよ?何を言われてもダメージも負っていないようでした」
「落ち込んでいる様子はなかったのですか?」
初めてアンリが質問をした。
「はい、昔は違ったのかもしれませんが、気にしていない様子でした」
「そうですか…」
アンリは少なからず、彼女の置かれた状況を先輩の夫人としては心苦しくは思っていた。気にしないようにしたのかもしれないが、ますます混乱した。
スノーの頼みだからというよりは、オブレオは側妃事件の責任感から、アンリは事実を知りたかった。
「こんなところまで、何かあったのですか?」
リジーナは修道女らしく化粧もせず、質素なワンピース姿で現れた。
「リリー・ユーフレットに脅されていたのか」
「ああ…もしかして、私のことを告発したのはリリー夫人?」
「違う」
「そうですか…別に彼女が言っていたとしても、もう別に構いませんわ」
「いや、全く関係ない」
オブレオは聞かれて初めて、そういった見方も出来るのかと思ったが、リジーナにはもう何も出来ないとはいえ、事実とは違うことは否定しなければない。
「ということは、リリー夫人の企みも分かったのかしら?」
「事実なんだな?」
「ええ、脅されてはいました。彼と一緒にいるところを見られてしまって、でも今となっては私以外に疑っていたのは彼女だけでしたね」
「何を要求されたんだ?」
「分かっているのではないのですか?」
既にリリーは何らかの罪に問われているのではないかと思っていた。大した要求をされた訳ではなかったが、脅すような人間はいずれ天罰が下ると思っていた。
「まずは君に話を聞いてからだ」
「そうでしたか…要求されたのは媚薬です」
驚くほど、リジーナはあっさり答えたが、予想通りであった。
「他にはないのか?」
「媚薬だけでした。他にも要求されるのかと思いましたが、ありませんでした」
「誰に使ったかは?」
「知りません、知っていたら言いますわ。私には失うものはないのですから」
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「心当たりは?」
「さあ、本人は夫に使うと言っていましたから」
「そうなのか?」
「ええ、だって結婚してからの話ですから、夫に使うなんて、上手くいっていないと言っているようなものですよね。本気にすべきかは分かりませんでしたけど」
媚薬は弱い興奮剤なら合法とされているが、実家の商会が扱っていた強い媚薬は、伝手がないと購入は出来ず、何度も使うと危険だとされていた物だった。
夫に相手にされず、購入したのかとも考えたが、何度か要求されたことで、よく分からなかった。
「使ったと思うか?」
「ええ、ご本人がそう言っていました」
「いつだ?子どもが生まれる前か?」
「ええ、そうですわね。でも何度かありましたし、期限が切れてしまったと言っていた時もありました。もしかして、リリー夫人も托卵かしら?」
「そう思うか?」
「話の流れ的には…可能性があるのは娘さんの方ね」
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「最後はいつだ?」
「確か、4年前くらいかしら?」
「4年?」
トイズは既に亡くなっていた、そうなると、一体誰に使おうとしたのか。本当に夫に使ったのだろうか。
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「そうか、他にそういった要求をされたりした者はいないか?」
「おりません」
「リリー・ユーフレットはどのような人だと思う?多少は親しかったのだろう?」
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「社交界での立ち位置は似ておりましたが、リリー夫人は諦めた私と違って、諦めていない方でしたよ?何を言われてもダメージも負っていないようでした」
「落ち込んでいる様子はなかったのですか?」
初めてアンリが質問をした。
「はい、昔は違ったのかもしれませんが、気にしていない様子でした」
「そうですか…」
アンリは少なからず、彼女の置かれた状況を先輩の夫人としては心苦しくは思っていた。気にしないようにしたのかもしれないが、ますます混乱した。
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