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沼
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スノーはパスライン王国から戻って来た祖父であるオブレオ・ランドマーク元侯爵に、呼ばれることになった。
おそらくリアンスのことだろうと思い、気が重くなった。
正直、今リアンスのことよりも、解けない謎を抱えているかのような気持ち悪さを感じながら、どろどろした沼にハマったような感覚だった。
オブレオとの関係は、仲のいい祖父と孫とはいかないが、アンリ夫人と同様に正しい方なので、スノーにとってはきちんと話が通じる相手という存在である。
「お疲れ様でした」
「ああ、リアンス・ローザから聞いたのか」
「はい、元側妃のことで行かれていたと伺いました」
「その通りだ」
「家族鑑定というのは、なかなか行われないことなのですか」
王侯貴族は血筋を重んじる、ゆえに率先して取り入れそうなものだが、行ったなどという話は聞いたことがない。
「無暗に行うことではないとされているそうだが、王族は必ず行っているそうだ。だが、王族でなくとも使うことは可能で、行っている者もいるそうだ。デュラート王国でも購入した者もいたからな」
「分かるのですか?」
「購入者は記録されているからな。本来知られることはないが、今回のことがことだったから、我が国の購入者は教えて貰った。だが、もう随分前に既に亡くなっている方で、関係はなかったがな」
スノーはリジーナ元側妃は、疑って、調べるようなことはしていなかったということかと考えていた。
「だが、一体誰を調べるつもりだったのか」
「誰だったのですか?」
教えて貰えないかもしれないが、聞くだけ聞いてみることにした。
「ああ…トイズ・オスレ、オスレ前伯爵だよ」
「え…」
まさかトイズだとは思わなかった。
「スノーは会ったことはないだろう。病気で亡くなってらして、息子・ダリアはトイズによく似ている。調べるまでもない。もしかしたら、誰に頼まれて購入したのかもしれないが、本人がいないからな」
トイズが親子鑑定をしようとしていた…ダリアだったかもしれないが、ダリアではなかったとしたら…リリー夫人と揉めていた、リジーナ元側妃を脅していた。
トイズとダリアは似ている。
「ブロンド…ではない」
「ん?」
「お祖父様、元側妃の実家の商会はどのような物を扱っていたのですか」
「輸入品だろうな」
「違法な物も?」
「そうだな、薬物に近い物が押収されたそうだ」
「媚薬…」
「そのような物もあったそうだ」
スノーは様々なパズルがはまっていき、思いたくない推測が弾き出された。
「お祖父様、私の話を聞いて貰えますか。お祖母様も一緒に」
「何だ?リアンスのことか?私は賛成している」
「違います…私は巻き込まれたくないと、巻き込んではならないと、話していなかったことがあります。事実と推測の域を出ないことを話したいと思います」
アンリ夫人も呼ばれて、部屋には3人だけになった。
「私が置き去りにされた日、あの茶会で私はリリー・ユーフレット侯爵夫人が、リジーナ元側妃を『彼の子じゃないの?』『バレたらどうなるのかしらね』『悪いようにはしないから』と言っているのを聞きました」
「何だと」
「何ですって!あっ、あなた、誰か分からなかったのね」
アンリ夫人はスノーの特性に気付いた。
「はい…ユーフレット侯爵夫人に会い、新聞で元側妃の顔を初めて見て、あの時の二人だと気付いたのです。脅していたと考えていいと思います」
「知っていたと言うのか…?あの二人は親しかったのか?」
オブレオはアンリに問い掛けた。
「いいえ、聞いたことはありませんわ」
「知っていたとしたら、問題だが…」
「私の証言だけで罰することは出来ないでしょう」
「ああ…」
「ですが、私が話したいことは、別にあります。まだ推測ですが、一緒に受け止めてくれますか」
おそらくリアンスのことだろうと思い、気が重くなった。
正直、今リアンスのことよりも、解けない謎を抱えているかのような気持ち悪さを感じながら、どろどろした沼にハマったような感覚だった。
オブレオとの関係は、仲のいい祖父と孫とはいかないが、アンリ夫人と同様に正しい方なので、スノーにとってはきちんと話が通じる相手という存在である。
「お疲れ様でした」
「ああ、リアンス・ローザから聞いたのか」
「はい、元側妃のことで行かれていたと伺いました」
「その通りだ」
「家族鑑定というのは、なかなか行われないことなのですか」
王侯貴族は血筋を重んじる、ゆえに率先して取り入れそうなものだが、行ったなどという話は聞いたことがない。
「無暗に行うことではないとされているそうだが、王族は必ず行っているそうだ。だが、王族でなくとも使うことは可能で、行っている者もいるそうだ。デュラート王国でも購入した者もいたからな」
「分かるのですか?」
「購入者は記録されているからな。本来知られることはないが、今回のことがことだったから、我が国の購入者は教えて貰った。だが、もう随分前に既に亡くなっている方で、関係はなかったがな」
スノーはリジーナ元側妃は、疑って、調べるようなことはしていなかったということかと考えていた。
「だが、一体誰を調べるつもりだったのか」
「誰だったのですか?」
教えて貰えないかもしれないが、聞くだけ聞いてみることにした。
「ああ…トイズ・オスレ、オスレ前伯爵だよ」
「え…」
まさかトイズだとは思わなかった。
「スノーは会ったことはないだろう。病気で亡くなってらして、息子・ダリアはトイズによく似ている。調べるまでもない。もしかしたら、誰に頼まれて購入したのかもしれないが、本人がいないからな」
トイズが親子鑑定をしようとしていた…ダリアだったかもしれないが、ダリアではなかったとしたら…リリー夫人と揉めていた、リジーナ元側妃を脅していた。
トイズとダリアは似ている。
「ブロンド…ではない」
「ん?」
「お祖父様、元側妃の実家の商会はどのような物を扱っていたのですか」
「輸入品だろうな」
「違法な物も?」
「そうだな、薬物に近い物が押収されたそうだ」
「媚薬…」
「そのような物もあったそうだ」
スノーは様々なパズルがはまっていき、思いたくない推測が弾き出された。
「お祖父様、私の話を聞いて貰えますか。お祖母様も一緒に」
「何だ?リアンスのことか?私は賛成している」
「違います…私は巻き込まれたくないと、巻き込んではならないと、話していなかったことがあります。事実と推測の域を出ないことを話したいと思います」
アンリ夫人も呼ばれて、部屋には3人だけになった。
「私が置き去りにされた日、あの茶会で私はリリー・ユーフレット侯爵夫人が、リジーナ元側妃を『彼の子じゃないの?』『バレたらどうなるのかしらね』『悪いようにはしないから』と言っているのを聞きました」
「何だと」
「何ですって!あっ、あなた、誰か分からなかったのね」
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「はい…ユーフレット侯爵夫人に会い、新聞で元側妃の顔を初めて見て、あの時の二人だと気付いたのです。脅していたと考えていいと思います」
「知っていたと言うのか…?あの二人は親しかったのか?」
オブレオはアンリに問い掛けた。
「いいえ、聞いたことはありませんわ」
「知っていたとしたら、問題だが…」
「私の証言だけで罰することは出来ないでしょう」
「ああ…」
「ですが、私が話したいことは、別にあります。まだ推測ですが、一緒に受け止めてくれますか」
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