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第20話
心労が絶えない兄弟3(マルフレン王国)
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セナリアンと対峙したコファドール・バトリウス伯爵令嬢。セナリアンの後ろには女性教師も控えている。
「アスレーダ公爵令息とのことを聞かせてください」
「確かに色々助けてもらいました。母国ではそんな方はいなかったので、距離が近かったのは反省しております。魅了など断じて使っておりません」
二人の魅了を使ったと拘束されているため、必死で弁解している。
「アスレーダ公爵令息の婚約者の令嬢を紹介しようと言われたのを、申し訳ないからと断ったのはなぜですか」
「単に申し訳ないと思ったからです。侯爵家の方だと伺いましたので」
「侯爵はダメで、上の公爵はいいのですか」
「…」
「質問を変えます。なぜ、婚約者のいる方を何度も誘ったのですか、そんなにお相手が欲しいなら婚約者のいない方にすればよかったではありませんか。親しくしている方にいたでしょう?」
「最初は婚約者がいるなんて知らなくて、なので距離を計りかねてしまったのです」
最初というのは初対面の際というだけで、僅かだけである。
「でも誘ったのは知ってからですよね?公爵令息の口からも婚約者のことは聞いている、妹君にも散々注意されましたよね?」
「はい…でも留学もいずれ終わりますし、本当に御礼にと思っただけなんです」
「御食事を?」
「はい」
コファドールはアスレーダ公爵令息を御礼に食事がしたいと誘っていた。婚約者がいなかったとしても、伯爵令嬢が公爵令息を誘うなど失礼にもあたる場合もあるが、他国ということで緩んでいるのだろう。
「豪華なフルコースでも御馳走するつもりでしたか?」
「えっ」
「違うのですか?御礼なんでしょう?」
「はい、まあ…」
「公爵令息に御馳走なんて、よほどお金持ちなんですね。いくらくらいするのかしら?私が学生の頃だったら、そんなこと出来ないもの」
「えっ」
いやいや、誰よりもお金を持っている学生であったに違いない。子どもの頃から、どんどん貯まり、いくらあるかも正直分かっていない。このくらい欲しいと言えば、さっと用意され、まだ大丈夫かと聞いてもはした金ですと言われてしまう。
自分の稼いだお金で「金ならある、どんどん持って来い」と言えたのはセナリアンくらいだろう。払えなくても、誰か呼べば喜んで払うだろう。まあ、そんなことしたことも、する暇もなかなかなかったのではあるが。
「公爵令息に御馳走するフルコースって、いくらくらいするのですか」
「あの…」
「興味です!公爵令息に御馳走するなんて、いくらくらいするのかと思って」
「えっと、まだ調べていなくて」
「まあ、お金持ちは違うのね、調べなくても払えるのね!私なら怖くて先に御値段、聞いてしまうわ」
いやいや、セナリアン、父でも母でも祖父母でも、伯父でも伯母でもジョンラでも、クーリットでも、何なら王家にこれ食べたいけど、お金がないと言えば、すぐに届けられるだろう。たーんと食べなさいと絶対払ってくれるだろう。
マージナルになんて言えば、さあ行こう、すぐ行こうと、おめかしさせられて、意気揚々と連れて行かれてしまうだろう。
でも現実はセナリアンが払えないことはないのに、ある物を買う時はその場で計算できるのでいいが、食事を御馳走すると言った時はひとりいくらするのか絶対に確認をして、それをお付き達が、大丈夫です払えますと言うのだ。周りは変なところで小心者なのだなと思うという。
セナリアンに見なくても大丈夫だと言ったことがあるが、足りなかったらどうするの!お腹いっぱい食べさせてあげたいじゃない!と、そこだけはなぜか譲らないのだ。値段の付いているものに、値段を聞く行為は恥ずかしいことではないと信念を持っている。
「アスレーダ公爵令息とのことを聞かせてください」
「確かに色々助けてもらいました。母国ではそんな方はいなかったので、距離が近かったのは反省しております。魅了など断じて使っておりません」
二人の魅了を使ったと拘束されているため、必死で弁解している。
「アスレーダ公爵令息の婚約者の令嬢を紹介しようと言われたのを、申し訳ないからと断ったのはなぜですか」
「単に申し訳ないと思ったからです。侯爵家の方だと伺いましたので」
「侯爵はダメで、上の公爵はいいのですか」
「…」
「質問を変えます。なぜ、婚約者のいる方を何度も誘ったのですか、そんなにお相手が欲しいなら婚約者のいない方にすればよかったではありませんか。親しくしている方にいたでしょう?」
「最初は婚約者がいるなんて知らなくて、なので距離を計りかねてしまったのです」
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「でも誘ったのは知ってからですよね?公爵令息の口からも婚約者のことは聞いている、妹君にも散々注意されましたよね?」
「はい…でも留学もいずれ終わりますし、本当に御礼にと思っただけなんです」
「御食事を?」
「はい」
コファドールはアスレーダ公爵令息を御礼に食事がしたいと誘っていた。婚約者がいなかったとしても、伯爵令嬢が公爵令息を誘うなど失礼にもあたる場合もあるが、他国ということで緩んでいるのだろう。
「豪華なフルコースでも御馳走するつもりでしたか?」
「えっ」
「違うのですか?御礼なんでしょう?」
「はい、まあ…」
「公爵令息に御馳走なんて、よほどお金持ちなんですね。いくらくらいするのかしら?私が学生の頃だったら、そんなこと出来ないもの」
「えっ」
いやいや、誰よりもお金を持っている学生であったに違いない。子どもの頃から、どんどん貯まり、いくらあるかも正直分かっていない。このくらい欲しいと言えば、さっと用意され、まだ大丈夫かと聞いてもはした金ですと言われてしまう。
自分の稼いだお金で「金ならある、どんどん持って来い」と言えたのはセナリアンくらいだろう。払えなくても、誰か呼べば喜んで払うだろう。まあ、そんなことしたことも、する暇もなかなかなかったのではあるが。
「公爵令息に御馳走するフルコースって、いくらくらいするのですか」
「あの…」
「興味です!公爵令息に御馳走するなんて、いくらくらいするのかと思って」
「えっと、まだ調べていなくて」
「まあ、お金持ちは違うのね、調べなくても払えるのね!私なら怖くて先に御値段、聞いてしまうわ」
いやいや、セナリアン、父でも母でも祖父母でも、伯父でも伯母でもジョンラでも、クーリットでも、何なら王家にこれ食べたいけど、お金がないと言えば、すぐに届けられるだろう。たーんと食べなさいと絶対払ってくれるだろう。
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でも現実はセナリアンが払えないことはないのに、ある物を買う時はその場で計算できるのでいいが、食事を御馳走すると言った時はひとりいくらするのか絶対に確認をして、それをお付き達が、大丈夫です払えますと言うのだ。周りは変なところで小心者なのだなと思うという。
セナリアンに見なくても大丈夫だと言ったことがあるが、足りなかったらどうするの!お腹いっぱい食べさせてあげたいじゃない!と、そこだけはなぜか譲らないのだ。値段の付いているものに、値段を聞く行為は恥ずかしいことではないと信念を持っている。
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