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第18話
彼女の友人4
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ミディアーナが愕然としているところにノエルがやって来た。従妹はリクアに任せたようだ、いい判断である。
「セナ姉様、どうしたんですか」
「ノエル~!あなたがハルリット様と話したいだろうと思って、私が話をしていたら、この娘が押し退けて割り込んで来たの!しかもお姉様なんて言ったのよ、アローラが聞いたら怒っちゃうわ。どうしましょう」
顎に手を当てて、すごく困った表情をしている。セナリアンなりの傲慢で高慢ちきなご婦人の姿であるようだが、一体誰を見本にしたのだろうか。
セナリアンをお姉様と呼ぶ人間はノエルとアローラしかおらず、しかも妹は私だけということにアローラは大変幸福を感じている。ゆえに絶対許さない、潰すと言い出す様が安易に想像できる。
「アローラ様は怒るでしょうね」
「宥められるかしら?」
「もう、申し訳ありません」
さすがのミディアーナもグローと言えば、公爵家しかない。アローラ様を呼び捨てに出来る人物なんて限られている。しかももう一人、姉様と呼ぶ人物はルージエ侯爵家である、王太子妃の生家でもある。
間違いなく、マージナル・グローの妻で、王太子妃の妹である。
同じ伯爵家のカイラン家とは訳が違うと大人しく頭を下げて、謝罪をしたが、どうやら逆鱗に触れてしまったらしいが、名前を聞いていたらそんなことはしなかった。押し退けてもハルリットは助けるどころか、手も貸さなかった、自分より爵位の低い者だと判断したのに。
「名前を名乗っていただけていれば…」
「なぜ、押し退けて来た人に名乗らなければならないの?あなたなら名乗るの?」
「あの、それは、知らなかったから」
「知らなかったら、何をしてもいいの?あなたは爵位で不味いと思っているんでしょうけど、爵位が下の者でもあなたの行為は大変失礼ですよ。そんなことも分かりませんの?」
「私、グロー公爵家と仲良くしたいんです」
「はい?」
「ですから、仲良くしたいと思っていたんです。マージナル様とも会ってみたいし、私がいたら、皆が喜ぶんです」
さすがというべきか、自分は求められる存在だと信じて疑わないらしい。
「それはあなたの周りの(特に性行為をした)男性だけでしょう?」
(特に性行為をした)の部分はミディアーナにしか聞こえていない。
「え?」
「あそこにいる、ガレス・アンダー、ルーク・バックス、リュークス・モーデとかね。婚約者がいらっしゃるそうじゃない、そんな身持ちの悪い方と親しくしたいわけないじゃない」
「私が魅力的だから」
「そう、それなら信じて生きて行けばいいわ。正式にグロー公爵家から抗議文を出させていただきます」
「ルージエからも出しましょう」
「えっ…」
「そうね、もう関わりたくないもの。ハルリット様もここは空気が悪いわ、あちらに行きましょう」
「はい、そうさせていただきます」
ハルリットはセナリアンに、そっとありがとうございましたと言うと、友人のためでもありましたから、こちらこそ巻き込んでごめんなさい、これで大人しくというより、己を顧みるはずですと告げた。
三人はリクアのところへ戻り、楽しい話を交わし始めた。
取り巻きたちはミディアーナが急に駆けて行ったために止められず、あの中に入れる身分の者もおらず、名前を出された男性たちは何やら不味いと感じたようで、近寄ることは出来なかった。
ミディアーナは負けじと三人に付いて行こうとしたが、周りになんて令嬢なのかと、冷ややかな目で見られ、ドレスを握りしめて立ち尽くすしかなかった。
「セナ姉様、どうしたんですか」
「ノエル~!あなたがハルリット様と話したいだろうと思って、私が話をしていたら、この娘が押し退けて割り込んで来たの!しかもお姉様なんて言ったのよ、アローラが聞いたら怒っちゃうわ。どうしましょう」
顎に手を当てて、すごく困った表情をしている。セナリアンなりの傲慢で高慢ちきなご婦人の姿であるようだが、一体誰を見本にしたのだろうか。
セナリアンをお姉様と呼ぶ人間はノエルとアローラしかおらず、しかも妹は私だけということにアローラは大変幸福を感じている。ゆえに絶対許さない、潰すと言い出す様が安易に想像できる。
「アローラ様は怒るでしょうね」
「宥められるかしら?」
「もう、申し訳ありません」
さすがのミディアーナもグローと言えば、公爵家しかない。アローラ様を呼び捨てに出来る人物なんて限られている。しかももう一人、姉様と呼ぶ人物はルージエ侯爵家である、王太子妃の生家でもある。
間違いなく、マージナル・グローの妻で、王太子妃の妹である。
同じ伯爵家のカイラン家とは訳が違うと大人しく頭を下げて、謝罪をしたが、どうやら逆鱗に触れてしまったらしいが、名前を聞いていたらそんなことはしなかった。押し退けてもハルリットは助けるどころか、手も貸さなかった、自分より爵位の低い者だと判断したのに。
「名前を名乗っていただけていれば…」
「なぜ、押し退けて来た人に名乗らなければならないの?あなたなら名乗るの?」
「あの、それは、知らなかったから」
「知らなかったら、何をしてもいいの?あなたは爵位で不味いと思っているんでしょうけど、爵位が下の者でもあなたの行為は大変失礼ですよ。そんなことも分かりませんの?」
「私、グロー公爵家と仲良くしたいんです」
「はい?」
「ですから、仲良くしたいと思っていたんです。マージナル様とも会ってみたいし、私がいたら、皆が喜ぶんです」
さすがというべきか、自分は求められる存在だと信じて疑わないらしい。
「それはあなたの周りの(特に性行為をした)男性だけでしょう?」
(特に性行為をした)の部分はミディアーナにしか聞こえていない。
「え?」
「あそこにいる、ガレス・アンダー、ルーク・バックス、リュークス・モーデとかね。婚約者がいらっしゃるそうじゃない、そんな身持ちの悪い方と親しくしたいわけないじゃない」
「私が魅力的だから」
「そう、それなら信じて生きて行けばいいわ。正式にグロー公爵家から抗議文を出させていただきます」
「ルージエからも出しましょう」
「えっ…」
「そうね、もう関わりたくないもの。ハルリット様もここは空気が悪いわ、あちらに行きましょう」
「はい、そうさせていただきます」
ハルリットはセナリアンに、そっとありがとうございましたと言うと、友人のためでもありましたから、こちらこそ巻き込んでごめんなさい、これで大人しくというより、己を顧みるはずですと告げた。
三人はリクアのところへ戻り、楽しい話を交わし始めた。
取り巻きたちはミディアーナが急に駆けて行ったために止められず、あの中に入れる身分の者もおらず、名前を出された男性たちは何やら不味いと感じたようで、近寄ることは出来なかった。
ミディアーナは負けじと三人に付いて行こうとしたが、周りになんて令嬢なのかと、冷ややかな目で見られ、ドレスを握りしめて立ち尽くすしかなかった。
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