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第12話
親と子2
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今や当たり前となっている親子鑑定。疑う疑わないではなく、この子は二人の子であるという証明に必ず行うという家もあるほどだ。
始まったのは丁度十年前である。
セナリアンは伯母であるリルラビエ・コルロンドにお願いして、コルロンド邸にコルロンドの魔術師、セナリアンの仲間の魔術師を集めていた。
「集めて何をする気?」
「いい商売を思いついたの!魔法省からは許可を貰っているから」
この当時、セナリアンは八歳である。
相談があるの、時間を作って欲しいと、魔法省長であるイヴァン・コフロートに魔鳩が来たことから始まる。
イヴァンは当時二十三歳。随分若いと感じるが、優秀ではあったのだが、皆に押し付けられたという方が正しい長であった。若い方が長く続けられる、先が短い者が長なんて出来ないなど三十、四十代の者にまで言われ、職員は年上の方が多い。そこに規格外の八歳児。娘と呼べなくもないが、いとこのお兄さんくらいの気持ちである。
「いい話かい?」
「いい話だとは思うけど、迷惑だったらやめようかなって話」
「う~ん?」
「魔法省って人員は足りてる?余裕はあるかしら?」
「ああ、特に問題はないが」
「あのね、親子鑑定を魔法省でやってもらいたいと思って」
「へっ?親子鑑定?いや、セナが出来るのは知っているけど、セナがやるのかい?」
「ううん、私は王家とか胎児とか、ややこしい案件しかやらない。それ以外を魔術師にやってもらうの」
「無理じゃないかなぁ?」
「魔用紙に術式を組み込んでみたの、そうしたらお母さまでもジョンラでもできたの。ねえ、ジョンラ」
今日はジョンラが付き添っており、誇らしい顔ではいと頷いた。
「ほぉ、専用用紙はセナが作るのかい?」
「とりあえずはね、でも魔法省にも作れる器用な人いるでしょう?持ち出せない部屋でやってもらえばいいし」
これと出した魔用紙には表にも裏にも術式が見事に組み込まれていた。これは相当、鍛錬が必要だなと思った。
「やってみようか」
「うん、見たい。でもちょっと待って。私だけ見たら怒られちゃうよ、役員を呼ぶからちょっと待って」
年上の役員三人衆も集まり、親子鑑定だと?と興味津々である。ちなみにこの当時、既にセナリアンは役員である。
「これが父と母の血」
セナリアンは小瓶に入った血と、自分の血を用紙の丸の部分にそれぞれ血を垂らし、術式を起動し、浮かび上がった血を丸い玉にすると、それぞれに名前を書き、一気に合わせて、用紙に押し付けると父=ミミス・ルージエ、母=ルシュベル・ルージエをセナリアン・ルージエの親と認めるという文字が現れた。
「ねっ?」
「はっ!」「おおお!」「これは」「しゅごい」
皆、頬に両手を当てたり、目を見開いたりして、驚いている。
「魔力はどのくらい?」
「う~ん、ジョンラ、どのくらい?」
「そうですね、術式を起動するのが一番大きく必要となりますので、一件につき私の魔力が満タン時を百とすると四分の一くらいが消費されます」
「なるほど、転移を考えると、一日一人なら可能ってことか」
「はい、可能だと思います」
「A判定の者なら可能であるな」
魔法省は魔術師によって、ランク判定が可能である。ジョンラはA判定、ここにいる者は全員A判定以上、セナリアンは判定不能なので、とりあえずSランクになっている。
「ただ、魔力が足りても、不器用な方には玉にして、名前を書く作業が難しいと思います」
「そうだね、お母さまも出来たけど、不器用だから大変だったよ」
「ええ、ミミス様の名前がミミセになったり、ミミジになったり、ひっちゃかめっちゃかになっておいででした」
皆、セナリアンのお供でルシュベルには何度か会っており、穏やかで甘い顔立ちの美しい女性であったが、私は雑だからてんでダメなの、お菓子を優雅に食べながら、ふふふっと笑っていたのを何度も見ているので知っている。
魔用紙に魔糸を通すという作業をしていた時には、やってみたいと言ったくせに、魔用紙がぐちゃぐちゃになっていて、不器用なんだからお菓子食べててと、セナリアンに諭されていたほどである。
「私の仲間の魔術師と、コルロンドの魔術師と、あとはやりたい人がいたら、登録してもらって、一日一人一件、三十人体制くらいで、始めたらどうなって思うの」
「やりがいしかないな」
「ええ」「ああ」「しゅごい」
「よかった!試験用も作って来るね、あとは取り決めと罰則かな」
それから、取り決めや罰則、どういった不正が行われるかなど、話し合いが行われた。魔法省の久しぶりの新事業である。魔法省はこれまでの資金があるため、困ってはいないが、自力で稼いでいる。
始まったのは丁度十年前である。
セナリアンは伯母であるリルラビエ・コルロンドにお願いして、コルロンド邸にコルロンドの魔術師、セナリアンの仲間の魔術師を集めていた。
「集めて何をする気?」
「いい商売を思いついたの!魔法省からは許可を貰っているから」
この当時、セナリアンは八歳である。
相談があるの、時間を作って欲しいと、魔法省長であるイヴァン・コフロートに魔鳩が来たことから始まる。
イヴァンは当時二十三歳。随分若いと感じるが、優秀ではあったのだが、皆に押し付けられたという方が正しい長であった。若い方が長く続けられる、先が短い者が長なんて出来ないなど三十、四十代の者にまで言われ、職員は年上の方が多い。そこに規格外の八歳児。娘と呼べなくもないが、いとこのお兄さんくらいの気持ちである。
「いい話かい?」
「いい話だとは思うけど、迷惑だったらやめようかなって話」
「う~ん?」
「魔法省って人員は足りてる?余裕はあるかしら?」
「ああ、特に問題はないが」
「あのね、親子鑑定を魔法省でやってもらいたいと思って」
「へっ?親子鑑定?いや、セナが出来るのは知っているけど、セナがやるのかい?」
「ううん、私は王家とか胎児とか、ややこしい案件しかやらない。それ以外を魔術師にやってもらうの」
「無理じゃないかなぁ?」
「魔用紙に術式を組み込んでみたの、そうしたらお母さまでもジョンラでもできたの。ねえ、ジョンラ」
今日はジョンラが付き添っており、誇らしい顔ではいと頷いた。
「ほぉ、専用用紙はセナが作るのかい?」
「とりあえずはね、でも魔法省にも作れる器用な人いるでしょう?持ち出せない部屋でやってもらえばいいし」
これと出した魔用紙には表にも裏にも術式が見事に組み込まれていた。これは相当、鍛錬が必要だなと思った。
「やってみようか」
「うん、見たい。でもちょっと待って。私だけ見たら怒られちゃうよ、役員を呼ぶからちょっと待って」
年上の役員三人衆も集まり、親子鑑定だと?と興味津々である。ちなみにこの当時、既にセナリアンは役員である。
「これが父と母の血」
セナリアンは小瓶に入った血と、自分の血を用紙の丸の部分にそれぞれ血を垂らし、術式を起動し、浮かび上がった血を丸い玉にすると、それぞれに名前を書き、一気に合わせて、用紙に押し付けると父=ミミス・ルージエ、母=ルシュベル・ルージエをセナリアン・ルージエの親と認めるという文字が現れた。
「ねっ?」
「はっ!」「おおお!」「これは」「しゅごい」
皆、頬に両手を当てたり、目を見開いたりして、驚いている。
「魔力はどのくらい?」
「う~ん、ジョンラ、どのくらい?」
「そうですね、術式を起動するのが一番大きく必要となりますので、一件につき私の魔力が満タン時を百とすると四分の一くらいが消費されます」
「なるほど、転移を考えると、一日一人なら可能ってことか」
「はい、可能だと思います」
「A判定の者なら可能であるな」
魔法省は魔術師によって、ランク判定が可能である。ジョンラはA判定、ここにいる者は全員A判定以上、セナリアンは判定不能なので、とりあえずSランクになっている。
「ただ、魔力が足りても、不器用な方には玉にして、名前を書く作業が難しいと思います」
「そうだね、お母さまも出来たけど、不器用だから大変だったよ」
「ええ、ミミス様の名前がミミセになったり、ミミジになったり、ひっちゃかめっちゃかになっておいででした」
皆、セナリアンのお供でルシュベルには何度か会っており、穏やかで甘い顔立ちの美しい女性であったが、私は雑だからてんでダメなの、お菓子を優雅に食べながら、ふふふっと笑っていたのを何度も見ているので知っている。
魔用紙に魔糸を通すという作業をしていた時には、やってみたいと言ったくせに、魔用紙がぐちゃぐちゃになっていて、不器用なんだからお菓子食べててと、セナリアンに諭されていたほどである。
「私の仲間の魔術師と、コルロンドの魔術師と、あとはやりたい人がいたら、登録してもらって、一日一人一件、三十人体制くらいで、始めたらどうなって思うの」
「やりがいしかないな」
「ええ」「ああ」「しゅごい」
「よかった!試験用も作って来るね、あとは取り決めと罰則かな」
それから、取り決めや罰則、どういった不正が行われるかなど、話し合いが行われた。魔法省の久しぶりの新事業である。魔法省はこれまでの資金があるため、困ってはいないが、自力で稼いでいる。
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