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第8話
お引き取り願います3
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報告を聞いたマージナルは青ざめ、今にも倒れてしまうそうだった。カルバンは眉間に皺をよせ、渋い顔をしている。マージナルの様子がおかしくなるのが想像できるからだろう。
「何か言ったのか?」
「いいえ!褒めたと言えば、いらした時にじっと見られたので、美しいドレスですねとは言いました。セナにも似合いそうだなと思いまして」
「まあ、ドレスを褒めたくらいでは問題はないだろう」
ミズリーは自身を含めて褒められたと思っているのだ。
「そういえば、交流会にセナが来ていないのを、良くないような言い方をされました。私もエスコートできない状況でしたし、そもそもセナはコルロンド家の仕事ですよ!カルバンも奥方は来てなかったでしょう?それなのに、変な言い方をされて、ムカっとしました」
「なるほどな、セナリアンより自分が相応しいと思わせたかったのだろうな」
「っな!セナリアンより素敵な人なんていません!」
マージナルよ、お前はただセナリアンが好みなのだろが、ある意味とても当たっている。表向きは違うが、交流会の裏の警備を取り仕切っていたのはセナリアンだ。参加できるはずがない。今頃、全部分かっていて、あら大変ね、私は忙しいからとでも思っているはずだ。
はあ、セナリアンが夫を奪おうなんてと立ち上がってくれまいか。
それからマージナルはミズリー王女に一切関わらないに徹した。しかし会えないことで、必死に接触を図ろうとするようになり、執務室から出ないようにし、念のために護衛を男女一人ずつ、側に付かせるようにした。
ミズリー宛ての父親からの手紙には、提案はしたが、エメラルダには無理強いは出来ない、わざわざ結婚している男でなくていいんじゃないか。いくら可愛い娘でも庇えないことはある、駄目ならば引き際をよく考え、無謀なことはせずに帰ってくるようにと書かれていた。にも関わらず、ミズリーは厳しいことを言っても、父親はこれまでも庇って来たために、あまり効果がなかった。
侍女も大臣も諦めて帰りましょうと何度も願い出たが、ミズリーは頑なに拒否した。いよいよミズリーは苛立ち、周りの制止も聞かず、リスルートとマージナルとカルバンと護衛のいる執務室に押し掛けた。
「マージナル様!どうして会って下さらないの?私のこと、聞いてらっしゃるんでしょう?見初めてあげたのよ?」
「私は妻を愛しておりますので、別れることはありません。ご理解ください」
「もしかして、奥様に言わされているの?それなら私がすぐに解決出来るわ」
「妻には何も話していません」
「結婚してしまったから、責任を感じているだけでしょう?私と結婚出来るのですよ?理解してらっしゃらないの?」
「王女殿下は他の女性を愛する男性を望まれるのですか」
「まあ!私といればすぐ私を愛するようになりますわ。私を愛さない人なんておりませんのよ」
マージナルは王女と対峙して、再び自分がどれだけ驕っていたのか身に染みた。王女という立場のせいか、さらに拍車がかかり、自分が言い寄って断られる選択肢がないようだ。
「申し訳ありませんが、お断りいたします」
「あり得ないわ、この国がどうなっても知りませんからね!覚悟してくださいね」
断られると思っていなかったミズリーは、短慮な性格であった。大臣と侍女は血の気が引いた。
「どういう意味でしょうか」
「私はジッサールの王女なんですよ?蔑ろにしたなんて知られたら、どうなるか分かりませんの?甘く見ないでいただきたいわ」
「どうなると言うのですか」
黙って静観していたリスルートもさすがに声を上げることにした。
「どうって、殿下もお父様に頼まれたでしょう?それを反故にするのですから」
「断ってもいいとありました。反故というのは当てはまりません。こちらも改めてお話させていただきますので、部屋でお待ちください」
侍女・ノレアが耳元で相手は王太子殿下です、問題になったらミズリー様だけでは、責任取れませんよと囁き、護衛の力も借りて、頭に血が上っている、ミズリーを連れ出した。
「何か言ったのか?」
「いいえ!褒めたと言えば、いらした時にじっと見られたので、美しいドレスですねとは言いました。セナにも似合いそうだなと思いまして」
「まあ、ドレスを褒めたくらいでは問題はないだろう」
ミズリーは自身を含めて褒められたと思っているのだ。
「そういえば、交流会にセナが来ていないのを、良くないような言い方をされました。私もエスコートできない状況でしたし、そもそもセナはコルロンド家の仕事ですよ!カルバンも奥方は来てなかったでしょう?それなのに、変な言い方をされて、ムカっとしました」
「なるほどな、セナリアンより自分が相応しいと思わせたかったのだろうな」
「っな!セナリアンより素敵な人なんていません!」
マージナルよ、お前はただセナリアンが好みなのだろが、ある意味とても当たっている。表向きは違うが、交流会の裏の警備を取り仕切っていたのはセナリアンだ。参加できるはずがない。今頃、全部分かっていて、あら大変ね、私は忙しいからとでも思っているはずだ。
はあ、セナリアンが夫を奪おうなんてと立ち上がってくれまいか。
それからマージナルはミズリー王女に一切関わらないに徹した。しかし会えないことで、必死に接触を図ろうとするようになり、執務室から出ないようにし、念のために護衛を男女一人ずつ、側に付かせるようにした。
ミズリー宛ての父親からの手紙には、提案はしたが、エメラルダには無理強いは出来ない、わざわざ結婚している男でなくていいんじゃないか。いくら可愛い娘でも庇えないことはある、駄目ならば引き際をよく考え、無謀なことはせずに帰ってくるようにと書かれていた。にも関わらず、ミズリーは厳しいことを言っても、父親はこれまでも庇って来たために、あまり効果がなかった。
侍女も大臣も諦めて帰りましょうと何度も願い出たが、ミズリーは頑なに拒否した。いよいよミズリーは苛立ち、周りの制止も聞かず、リスルートとマージナルとカルバンと護衛のいる執務室に押し掛けた。
「マージナル様!どうして会って下さらないの?私のこと、聞いてらっしゃるんでしょう?見初めてあげたのよ?」
「私は妻を愛しておりますので、別れることはありません。ご理解ください」
「もしかして、奥様に言わされているの?それなら私がすぐに解決出来るわ」
「妻には何も話していません」
「結婚してしまったから、責任を感じているだけでしょう?私と結婚出来るのですよ?理解してらっしゃらないの?」
「王女殿下は他の女性を愛する男性を望まれるのですか」
「まあ!私といればすぐ私を愛するようになりますわ。私を愛さない人なんておりませんのよ」
マージナルは王女と対峙して、再び自分がどれだけ驕っていたのか身に染みた。王女という立場のせいか、さらに拍車がかかり、自分が言い寄って断られる選択肢がないようだ。
「申し訳ありませんが、お断りいたします」
「あり得ないわ、この国がどうなっても知りませんからね!覚悟してくださいね」
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「どういう意味でしょうか」
「私はジッサールの王女なんですよ?蔑ろにしたなんて知られたら、どうなるか分かりませんの?甘く見ないでいただきたいわ」
「どうなると言うのですか」
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「どうって、殿下もお父様に頼まれたでしょう?それを反故にするのですから」
「断ってもいいとありました。反故というのは当てはまりません。こちらも改めてお話させていただきますので、部屋でお待ちください」
侍女・ノレアが耳元で相手は王太子殿下です、問題になったらミズリー様だけでは、責任取れませんよと囁き、護衛の力も借りて、頭に血が上っている、ミズリーを連れ出した。
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