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第1話
まだ結婚するつもりはなかった7
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ミミスはマージナルと一緒にルージエ邸に戻った。そしてマージナルは、仕方ないから会ってやるという死んだ表情のセナリアンと対峙していた。ミミスも同席すると言ったが、マージナルが自分の責任だと二人で話すこととなった。
「政略結婚だと思われても仕方なかったと思う。でも私はセナリアンを妻に望んだのだ、これだけは信じて欲しい」
「申し訳ありませんが、私の意思は変わりません。相応しい方になっていただいてください」
「不自由があるのか」
「ええ、あなたの妻は想像以上に面倒ですわ」
「モジール伯爵令嬢のことか、あれは勘違いだ」
「あの方は少々思い込みが強かったようですが、見込みがありましたのに。しかも、このようなことがまた起こるでしょう?しかも王都どうにか留まるように仕向けましたよね?刺繍くらいはいいのですよ、唯一の趣味ですからね。でもこちらはあなたの虫が多いのですよ」
「誰だ!こちらから正式に抗議する」
「暇な方のことなど覚えておりませんわ」
おそらく纏わりついたことのある女性が何か言ったことは想像に容易い。
「それは本当に申し訳ない。私は王都を離れられないんだ」
「最初に私は領地で過ごすとお伝えしたはずです。私である必要がありますか?それにあなたの虫を叩く義務なんてありませんでしょう?虫叩き要員ですの?」
「それは私が悪いと思っている。でも王都での情報だって大事だ」
「情報はそんなことをしなくとも仕入れられます」
「ならば、猶予を貰えないか」
「マージナル様ならすぐに良き方が見付かりますわ。お姉様のような方が合うと思いますわ、二人はよく似てらっしゃるから」
セナリアンは姉を嫌っている訳では無い、重きを置くことが違ったために、あまり同じ時間を過ごしていないのは事実であるが、姉には姉の考えがあり、道を踏み外さない限りは意見するつもりもない。
「そんなことはない。不満があれば言って欲しい、直せる部分は直したい」
「そこまでしていただく必要はありません」
「私がしたいのだ」
「随分、情熱的な方だったのね。でもその情熱は他の方にどうぞ。きっと華やかな人生で手に入らなかった姉妹に固執しているだけですわ」
マージナルは爵位だけでリスルート殿下の側近になったわけではない。ただ、欲しいと思ったものは全てと言っていいほど手に入れている。同時に陰口を言われていることも知っている。だからこそ努力を続けて、生きてきたつもりだ。
「とりあえず私と一緒に帰ってくれ」
「嫌ですわ、あの役立たずは離縁も出来ずに戻って来たってことね。分かっているのかしら?」
「お義父上は悪く無い、私はきちんと求婚に出向くべきだったのだ」
「まあいいわ、ここで父にもあなたにも辛気臭い顔をずっとされても気分が悪いから、領地に行きます」
「それでもいい」
「離縁のこときちんと考えて下さい、あなたも愛される方が幸せでしょう?」
「しない、したくないのだ」
「はあ、領地におりますので、決まったら連絡して下さい。さあ、あなたは邸に帰られて」
「君は?」
「私はこちらから向かうわ」
「今日は邸に帰らないか?」
「いいえ、お気遣いなく。不満顔で顔を突き合わすのもよくないでしょう?」
分かったよとぼとぼと帰って行く背中を見送り、ミミスはセナリアンをそっと覗いていたが、くるりと振り返られてビクっとした。
「お父様は私のためには何もしてくれないことがよ~く分かりました」
「そんなことは」
「とりあえず、彼にとっては急なことでしょうから、私は領地に参ります」
「離縁はしないのだな?」
「いいえ、とりあえず決まるまでですわ。元々すぐ戻る予定でしたから、やることもありますし」
「お母様もリリアンネも悲しむよ」
「私が悲しんでも良いと言うのですか」
「違う、そういう意味じゃない」
「大したことないと思っていることは分かっておりますのよ。そういうところですわよ、お父様」
ミミスは人は良いのだが、酒に弱く、うっかり発言も多く、セナリアンに浅慮だと何度も何度も注意されているのだ。
それでもセナリアンは分かってくれる、きっと大丈夫だと思っていることも見透かされている。
マージナルはせめてセナリアンを見送ろうと、翌朝、ルージエ家に向かったが、既に出ましたと言われて、再び肩を落としながらとぼとぼと王宮に向かうしかなかった。執務室に入ると、リスルート殿下が書類を確認しているようだった。
「遅れましたか?」
「いや、ギリギリだが、珍しいな。何かあったのか」
「いえ、大丈夫です」
「奥方か?昨日慌ただしく帰って行ったが、リリアンネをマージナルから奪ったわけでは無いと言っておいたぞ」
「そこではないのです」
「どういうことだ?」
マージナルは昨日あったこと、セナリアンから離縁を迫られていることを話した。リスルートも責任を感じ始め、みるみる眉間に皺が増え、厳しい顔つきになった。
「すまない、余計なことを言ったのは私だな」
「いずれ分かったことだと思います。まとめようとしてくれたお義父上の気持ちも分かります」
「今更、政略結婚だったが、想い合うようになったと言っても信じてはもらえないだろうしな」
誰も悪くはない状況ではあるが、セナリアンだけが不服だということは確かだろう。想う相手がいたのにというわけではないことが救いではあるが、だからと言って、騙された気持ちは拭えないであろう。
「ルージエ邸にいるのか」
「領地に行きました、私とお義父上の辛気臭い顔も見たくないと。決まったら連絡して欲しいと」
「離縁のという意味か」
「そうだと思います、面倒だと言われました」
「この前の文官の件か」
リリーは辞めさせられることはなかったが、マージナルとは会う機会のない部署へ異動という形で配置換えされた。
「他の者もいたようです、虫が煩わしいと」
「ああ、リリアンネも何度も嫌味を言われたと言っていたな」
「それは申し訳ないです」
「いや、心の中であれは私の妹が好きなのよと笑っていたと言っていたよ。なかなか図太いからな」
「面倒だと言われても仕方ないのかもしれません」
「弱気だな」
「なりますよ、縁談も相当来ていたようですし」
「そうだったのか」
「私なんて埋もれた一人です」
「とりあえず例の件を片付けて、領地に行けるように時間を作ろう。誠心誠意、話して口説くしかない」
「そうですね、別れたくありません。取られるなんて耐えられない」
現在、婚約を発表したリスルート殿下の周りは、非常にピリピリした状況下にあったため、側を離れることは出来なかったが、心配事は急に解決することになった。
カスピナ伯爵家、ナターシャが魔術師を雇って禁術を行ったことが判明した。
事の始まりは、三年前。リスルート殿下の前の婚約者だったメーラ公爵家、イマーニュ。公爵令嬢らしく、高貴で威勢のある性格だったが、婚約が決まって、しばらくすると些細な言い方を嫌がらせと取られ、手が当たっただけで暴力を振るわれたという者も現れ、友人や家族も信じ始めてしまったのだ。イマーニュも虚偽だと訴えたが、リスルート殿下も信じていなかったが、塞ぎ込むようになった。
何かに操られているのではないかと内々に王宮魔術師も探っており、残渣からおそらく精神魔術だろうと分かったが、犯人は捕まえられず、イマーニュは無実ではあったが、精神面から婚約者を辞退することとなった。
それから当面は婚約者を置かないとしたが、この度、婚約者が発表されたことで、また動きがあるのではないかと睨んでいた。
リリアンネを王太子妃教育のためと離宮に寝泊まりさせ、侍女として騎士と魔術師を据え、魔術返しを施したネックレスを常時付けさせていた。
婚約発表から一週間後にはネックレスは発光し、黒く濁り、術は施行した者、願った者に跳ね返った。
それがナターシャと、施行した魔術師だった。見付け出した二人は発光し、全身緑色になっており、見るも無残ではあったが、自業自得であった。リリアンネに加え、イマーニュ嬢のことも自白した。
禁術は特定の人物に敵意を向けるものであった、ゆえにイマーニュは不特定多数の攻撃を受けてしまったのだ。
魔術師は自堕落な生活を好んでおり、お金が無くなると高額で請け負っていたようで、被害人数は少なかったが、同じような目に遭った者がいることを魔法省に調べてもらうこととなった。
ナターシャは国の頂点の女性には私こそが相応しいと思い、何度もリスルート殿下に近づいたが、相手にされず、相手の令嬢を貶めればいいと、自分が選ばれるまで続けるつもりだったそうだ。
「政略結婚だと思われても仕方なかったと思う。でも私はセナリアンを妻に望んだのだ、これだけは信じて欲しい」
「申し訳ありませんが、私の意思は変わりません。相応しい方になっていただいてください」
「不自由があるのか」
「ええ、あなたの妻は想像以上に面倒ですわ」
「モジール伯爵令嬢のことか、あれは勘違いだ」
「あの方は少々思い込みが強かったようですが、見込みがありましたのに。しかも、このようなことがまた起こるでしょう?しかも王都どうにか留まるように仕向けましたよね?刺繍くらいはいいのですよ、唯一の趣味ですからね。でもこちらはあなたの虫が多いのですよ」
「誰だ!こちらから正式に抗議する」
「暇な方のことなど覚えておりませんわ」
おそらく纏わりついたことのある女性が何か言ったことは想像に容易い。
「それは本当に申し訳ない。私は王都を離れられないんだ」
「最初に私は領地で過ごすとお伝えしたはずです。私である必要がありますか?それにあなたの虫を叩く義務なんてありませんでしょう?虫叩き要員ですの?」
「それは私が悪いと思っている。でも王都での情報だって大事だ」
「情報はそんなことをしなくとも仕入れられます」
「ならば、猶予を貰えないか」
「マージナル様ならすぐに良き方が見付かりますわ。お姉様のような方が合うと思いますわ、二人はよく似てらっしゃるから」
セナリアンは姉を嫌っている訳では無い、重きを置くことが違ったために、あまり同じ時間を過ごしていないのは事実であるが、姉には姉の考えがあり、道を踏み外さない限りは意見するつもりもない。
「そんなことはない。不満があれば言って欲しい、直せる部分は直したい」
「そこまでしていただく必要はありません」
「私がしたいのだ」
「随分、情熱的な方だったのね。でもその情熱は他の方にどうぞ。きっと華やかな人生で手に入らなかった姉妹に固執しているだけですわ」
マージナルは爵位だけでリスルート殿下の側近になったわけではない。ただ、欲しいと思ったものは全てと言っていいほど手に入れている。同時に陰口を言われていることも知っている。だからこそ努力を続けて、生きてきたつもりだ。
「とりあえず私と一緒に帰ってくれ」
「嫌ですわ、あの役立たずは離縁も出来ずに戻って来たってことね。分かっているのかしら?」
「お義父上は悪く無い、私はきちんと求婚に出向くべきだったのだ」
「まあいいわ、ここで父にもあなたにも辛気臭い顔をずっとされても気分が悪いから、領地に行きます」
「それでもいい」
「離縁のこときちんと考えて下さい、あなたも愛される方が幸せでしょう?」
「しない、したくないのだ」
「はあ、領地におりますので、決まったら連絡して下さい。さあ、あなたは邸に帰られて」
「君は?」
「私はこちらから向かうわ」
「今日は邸に帰らないか?」
「いいえ、お気遣いなく。不満顔で顔を突き合わすのもよくないでしょう?」
分かったよとぼとぼと帰って行く背中を見送り、ミミスはセナリアンをそっと覗いていたが、くるりと振り返られてビクっとした。
「お父様は私のためには何もしてくれないことがよ~く分かりました」
「そんなことは」
「とりあえず、彼にとっては急なことでしょうから、私は領地に参ります」
「離縁はしないのだな?」
「いいえ、とりあえず決まるまでですわ。元々すぐ戻る予定でしたから、やることもありますし」
「お母様もリリアンネも悲しむよ」
「私が悲しんでも良いと言うのですか」
「違う、そういう意味じゃない」
「大したことないと思っていることは分かっておりますのよ。そういうところですわよ、お父様」
ミミスは人は良いのだが、酒に弱く、うっかり発言も多く、セナリアンに浅慮だと何度も何度も注意されているのだ。
それでもセナリアンは分かってくれる、きっと大丈夫だと思っていることも見透かされている。
マージナルはせめてセナリアンを見送ろうと、翌朝、ルージエ家に向かったが、既に出ましたと言われて、再び肩を落としながらとぼとぼと王宮に向かうしかなかった。執務室に入ると、リスルート殿下が書類を確認しているようだった。
「遅れましたか?」
「いや、ギリギリだが、珍しいな。何かあったのか」
「いえ、大丈夫です」
「奥方か?昨日慌ただしく帰って行ったが、リリアンネをマージナルから奪ったわけでは無いと言っておいたぞ」
「そこではないのです」
「どういうことだ?」
マージナルは昨日あったこと、セナリアンから離縁を迫られていることを話した。リスルートも責任を感じ始め、みるみる眉間に皺が増え、厳しい顔つきになった。
「すまない、余計なことを言ったのは私だな」
「いずれ分かったことだと思います。まとめようとしてくれたお義父上の気持ちも分かります」
「今更、政略結婚だったが、想い合うようになったと言っても信じてはもらえないだろうしな」
誰も悪くはない状況ではあるが、セナリアンだけが不服だということは確かだろう。想う相手がいたのにというわけではないことが救いではあるが、だからと言って、騙された気持ちは拭えないであろう。
「ルージエ邸にいるのか」
「領地に行きました、私とお義父上の辛気臭い顔も見たくないと。決まったら連絡して欲しいと」
「離縁のという意味か」
「そうだと思います、面倒だと言われました」
「この前の文官の件か」
リリーは辞めさせられることはなかったが、マージナルとは会う機会のない部署へ異動という形で配置換えされた。
「他の者もいたようです、虫が煩わしいと」
「ああ、リリアンネも何度も嫌味を言われたと言っていたな」
「それは申し訳ないです」
「いや、心の中であれは私の妹が好きなのよと笑っていたと言っていたよ。なかなか図太いからな」
「面倒だと言われても仕方ないのかもしれません」
「弱気だな」
「なりますよ、縁談も相当来ていたようですし」
「そうだったのか」
「私なんて埋もれた一人です」
「とりあえず例の件を片付けて、領地に行けるように時間を作ろう。誠心誠意、話して口説くしかない」
「そうですね、別れたくありません。取られるなんて耐えられない」
現在、婚約を発表したリスルート殿下の周りは、非常にピリピリした状況下にあったため、側を離れることは出来なかったが、心配事は急に解決することになった。
カスピナ伯爵家、ナターシャが魔術師を雇って禁術を行ったことが判明した。
事の始まりは、三年前。リスルート殿下の前の婚約者だったメーラ公爵家、イマーニュ。公爵令嬢らしく、高貴で威勢のある性格だったが、婚約が決まって、しばらくすると些細な言い方を嫌がらせと取られ、手が当たっただけで暴力を振るわれたという者も現れ、友人や家族も信じ始めてしまったのだ。イマーニュも虚偽だと訴えたが、リスルート殿下も信じていなかったが、塞ぎ込むようになった。
何かに操られているのではないかと内々に王宮魔術師も探っており、残渣からおそらく精神魔術だろうと分かったが、犯人は捕まえられず、イマーニュは無実ではあったが、精神面から婚約者を辞退することとなった。
それから当面は婚約者を置かないとしたが、この度、婚約者が発表されたことで、また動きがあるのではないかと睨んでいた。
リリアンネを王太子妃教育のためと離宮に寝泊まりさせ、侍女として騎士と魔術師を据え、魔術返しを施したネックレスを常時付けさせていた。
婚約発表から一週間後にはネックレスは発光し、黒く濁り、術は施行した者、願った者に跳ね返った。
それがナターシャと、施行した魔術師だった。見付け出した二人は発光し、全身緑色になっており、見るも無残ではあったが、自業自得であった。リリアンネに加え、イマーニュ嬢のことも自白した。
禁術は特定の人物に敵意を向けるものであった、ゆえにイマーニュは不特定多数の攻撃を受けてしまったのだ。
魔術師は自堕落な生活を好んでおり、お金が無くなると高額で請け負っていたようで、被害人数は少なかったが、同じような目に遭った者がいることを魔法省に調べてもらうこととなった。
ナターシャは国の頂点の女性には私こそが相応しいと思い、何度もリスルート殿下に近づいたが、相手にされず、相手の令嬢を貶めればいいと、自分が選ばれるまで続けるつもりだったそうだ。
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◆この作品は小説家になろうでも公開します。
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