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お花畑だった家族の真実3
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「封筒は?」
「封筒は見付からなくて…」
自分で書いたのだから、封筒までは用意していない。ランバートは内容に目を通すと、顔をしかめそうになったが、表情を変えずに読み終えた。
後ろに控えていた女性二人にも渡して、内容を確認させた。優秀な二人も、表情を変えずに読み切った。
「これがベルアンジュ・マリクワンの手紙なんだな?」
「はい、お姉様の字です」
「いつ頃、書かれたものだ?」
「それは…覚えていなくて」
「名前が、ソアリになっているということは結婚前ということか?」
「多分、そうだと思います」
その時にようやくマリクワンにすれば良かったかと思ったが、今更である。ノートの名前がソアリしかなかったので、仕方ないと思うしかなかった。
「君宛てだったのか?」
「いえ、それも覚えていなくて…」
「君のことが書いてあるのに、覚えていないのか?」
「はい…もしかしたら、両親宛てだったのかもしれません」
行き当たりばったりで持って来たので、覚えていないと、乗り切るしかなかった。
「邸で保管されていたということか?」
「はい、ファミリールームの引き出しに入っていました」
誰宛か分からないと言ったので、自分の部屋にあるのはおかしいと思い、皆が使うファミリールームにあったことにした。
「ではこちらで預からせて貰い、陛下にお渡ししましょう。いいだろうか」
その言葉にキャリーヌは、パアっと明るい気持ちになった。
「はい!よろしくお願いします」
「内容と、この手紙がベルアンジュ・マリクワンが書いたものであること、キャリーヌ・ソアリが王家に預けたという、預かり証にサインして貰えるか」
「っはい、勿論です」
キャリーヌは、ご機嫌でサインをして、ランバートに渡した。続いて、一緒にいた女性二人が、預かり証に証人として、最後にランバートもサインをした。
「もう帰って結構だ」
「内容について、お話を…」
「陛下に持って来られたものだろう?」
「っあ、はい、そうですが…確認はされないのでしょうか」
「確認はしたが?預かり証にも、内容が書いてあるだろう?」
女性の一人が、キャリーヌとランバートが話している間に、内容をそのまま書き写して、預かり証を作り、記載している。
後から渡していない、知らない、そんな内容ではないと言い逃れをされないために、ランバート以外にも証人を立ち会わせている。
女性たちは従者などではなく、全員男性だと後から何を言われるか分からないからと、王妃陛下が貸してくださった侍女である。
若く見えるが、公爵夫人と侯爵夫人であり、キャリーヌなんて足元にも及ばない存在である。高位貴族に見えないように、ドレスも変えている。
「私に話を聞きたいのではありませんか?」
手紙を渡して、早く帰りかったはずが、キャリーヌの行くようなパーティーで見かけることはない、ランバートともお近づきになって置きたい。自分がどれだけ困っているかということを、聞いてくれるだろうと思っていた。
キャリーヌは従者を男性ではなく、女性を連れていることから、きっと女性が好きなのだと勝手に思い込んでいた。そして、夫人たちよりも若い私の方が魅力的だろうと、馬鹿にしていた。
「陛下にということでしたよね?」
「そ、そうです」
「ええ、またご連絡があるかと思いますので、ご協力ください」
「あ、はい、分かりました」
キャリーヌは国王陛下にと言った手前、居座るわけにはいかず、帰って行った。
「これで、何を期待しているのでしょうか…」
「ええ、まるで脅して書かせたような手紙だとしか、感じ取れませんけど?これで、虐待などしていないと?」
「あり得ないわ、むしろ虐待の黙らせた証拠じゃない」
キャリーヌが去った応接室は、怒りと呆れしかなかった。
「封筒は見付からなくて…」
自分で書いたのだから、封筒までは用意していない。ランバートは内容に目を通すと、顔をしかめそうになったが、表情を変えずに読み終えた。
後ろに控えていた女性二人にも渡して、内容を確認させた。優秀な二人も、表情を変えずに読み切った。
「これがベルアンジュ・マリクワンの手紙なんだな?」
「はい、お姉様の字です」
「いつ頃、書かれたものだ?」
「それは…覚えていなくて」
「名前が、ソアリになっているということは結婚前ということか?」
「多分、そうだと思います」
その時にようやくマリクワンにすれば良かったかと思ったが、今更である。ノートの名前がソアリしかなかったので、仕方ないと思うしかなかった。
「君宛てだったのか?」
「いえ、それも覚えていなくて…」
「君のことが書いてあるのに、覚えていないのか?」
「はい…もしかしたら、両親宛てだったのかもしれません」
行き当たりばったりで持って来たので、覚えていないと、乗り切るしかなかった。
「邸で保管されていたということか?」
「はい、ファミリールームの引き出しに入っていました」
誰宛か分からないと言ったので、自分の部屋にあるのはおかしいと思い、皆が使うファミリールームにあったことにした。
「ではこちらで預からせて貰い、陛下にお渡ししましょう。いいだろうか」
その言葉にキャリーヌは、パアっと明るい気持ちになった。
「はい!よろしくお願いします」
「内容と、この手紙がベルアンジュ・マリクワンが書いたものであること、キャリーヌ・ソアリが王家に預けたという、預かり証にサインして貰えるか」
「っはい、勿論です」
キャリーヌは、ご機嫌でサインをして、ランバートに渡した。続いて、一緒にいた女性二人が、預かり証に証人として、最後にランバートもサインをした。
「もう帰って結構だ」
「内容について、お話を…」
「陛下に持って来られたものだろう?」
「っあ、はい、そうですが…確認はされないのでしょうか」
「確認はしたが?預かり証にも、内容が書いてあるだろう?」
女性の一人が、キャリーヌとランバートが話している間に、内容をそのまま書き写して、預かり証を作り、記載している。
後から渡していない、知らない、そんな内容ではないと言い逃れをされないために、ランバート以外にも証人を立ち会わせている。
女性たちは従者などではなく、全員男性だと後から何を言われるか分からないからと、王妃陛下が貸してくださった侍女である。
若く見えるが、公爵夫人と侯爵夫人であり、キャリーヌなんて足元にも及ばない存在である。高位貴族に見えないように、ドレスも変えている。
「私に話を聞きたいのではありませんか?」
手紙を渡して、早く帰りかったはずが、キャリーヌの行くようなパーティーで見かけることはない、ランバートともお近づきになって置きたい。自分がどれだけ困っているかということを、聞いてくれるだろうと思っていた。
キャリーヌは従者を男性ではなく、女性を連れていることから、きっと女性が好きなのだと勝手に思い込んでいた。そして、夫人たちよりも若い私の方が魅力的だろうと、馬鹿にしていた。
「陛下にということでしたよね?」
「そ、そうです」
「ええ、またご連絡があるかと思いますので、ご協力ください」
「あ、はい、分かりました」
キャリーヌは国王陛下にと言った手前、居座るわけにはいかず、帰って行った。
「これで、何を期待しているのでしょうか…」
「ええ、まるで脅して書かせたような手紙だとしか、感じ取れませんけど?これで、虐待などしていないと?」
「あり得ないわ、むしろ虐待の黙らせた証拠じゃない」
キャリーヌが去った応接室は、怒りと呆れしかなかった。
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