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煩わしい家族
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「キャリーヌがマリクワン侯爵令息を、気に入ったことは聞いているのですよね?」
「ああ、そのようだが」
「お名前を呼ぶ許可も得ているようですから、代わることは出来ないのですか?」
キャリーヌはルイフォードと呼んでいた。
「何を言っている!キャリーヌは、妊娠したら病気が悪化するのだぞ?」
「そうよ、どうしてそんなことが言えるの!」
「治療しながら産む方もいるではありませんか」
「そんな辛い思いをキャリーヌが、なぜしなければならない!」
両親とはキャリーヌが絡むと、話にならないことは百も承知である。
「でもキャリーヌの願いを叶えてあげたいと、思っているのではありませんか?」
「それはそうだが、無理なものは無理だ」
「幸せになって貰いたいと思わないのですか?」
「キャリーヌには幸せになって貰いたいに決まっているでしょう」
だったらルイフォードのことは分からないが、キャリーヌのためなら何でもする両親ならば、願いを叶えてやればいい。
「お互い気に入っているのでしょう?ならば、婚約者にすればいいではありませんか。私は自慢してもいないのに、嘘を吹き込まれて、迷惑なのです」
「嘘だと?キャリーヌが嘘を言って、何の得になる!」
得だろうと誰もが思うが、父は本気で言っているのだ。
「子どもは話し合えばいいではありませんか、私がマリクワン侯爵家に直接話してもいいのですよ?」
「待て、勝手に」
「ですが、キャリーヌがマリクワン侯爵令息に、自分が好みだと言われたと言っておりましたよ?」
「そうなのか?」
「ええ、嘘をキャリーヌが付くはずないのでしょう?」
両親を煽りに煽って、これで代われるかもしれないと期待した。
「キャリーヌを気に入ってしまうのは仕方ないが…」
「あなた、話をしてみてはどうかしら、あちらもその気かもしれないわよ?」
「いや…だが病気のこともあるからな」
実はバスチャン伯爵に提案された際に、マリクワン侯爵家なら、キャリーヌの方がいいのではないかと話をしていたが、けんもほろろにキャリーヌではなく、ベルアンジュだと叱られていたのだ。
後継のことだと思い、指摘されたら何も言えないので、引き下がるしかなかった。マリクワン侯爵家もだが、キャリーヌのためにもバスチャン伯爵家にも、目を付けられたくはない。
ベルアンジュはその後、両親が動いて、変更されることを期待していたが、吉報は届かないまま、キャリーヌも飽きもせず、訪ねて来ていた。
しかし、しばらくすると妙なことを言い始めた。
「お姉様が子どもを産んでから、私を妻にしてくれるって!ありがとう、お姉様。頑張って、私のために可愛い子を産んでね」
「え?」
「私かルイフォード様に似た可愛い子ではないと嫌よ?」
「何を言っているの?」
「だから、ルイフォード様がお姉様を抱くなんて嫌だけど、子どものためなら仕方ないから、貸してあげるって言っているの。私、とっても優しいでしょう?子どもを産んだら、私だけが抱かれるようになるのだから、我慢するわ」
15歳の子が言う台詞ではないと思ったが、面倒なので聞き流すことにした。
ルイフォードが言ったのか、家族が言ったのか知らないが、妙な方向に話は進んでいたようだ。
おそらく、病気のことで、子どもを産ませたくはないが、好きな相手と可愛いキャリーヌを結婚させたい両親と、マリクワン侯爵家側も後継が生まれるならば、いいとしたのかもしれないと考えた。
それでも婚約者の勉強を受け続けていた。結婚しても、使い捨てにされるのではないかと考えるところだが、正直、ベルアンジュにはどうでも良かった。
その日も、ベルアンジュはマリクワン侯爵家にいた。
「ああ、そのようだが」
「お名前を呼ぶ許可も得ているようですから、代わることは出来ないのですか?」
キャリーヌはルイフォードと呼んでいた。
「何を言っている!キャリーヌは、妊娠したら病気が悪化するのだぞ?」
「そうよ、どうしてそんなことが言えるの!」
「治療しながら産む方もいるではありませんか」
「そんな辛い思いをキャリーヌが、なぜしなければならない!」
両親とはキャリーヌが絡むと、話にならないことは百も承知である。
「でもキャリーヌの願いを叶えてあげたいと、思っているのではありませんか?」
「それはそうだが、無理なものは無理だ」
「幸せになって貰いたいと思わないのですか?」
「キャリーヌには幸せになって貰いたいに決まっているでしょう」
だったらルイフォードのことは分からないが、キャリーヌのためなら何でもする両親ならば、願いを叶えてやればいい。
「お互い気に入っているのでしょう?ならば、婚約者にすればいいではありませんか。私は自慢してもいないのに、嘘を吹き込まれて、迷惑なのです」
「嘘だと?キャリーヌが嘘を言って、何の得になる!」
得だろうと誰もが思うが、父は本気で言っているのだ。
「子どもは話し合えばいいではありませんか、私がマリクワン侯爵家に直接話してもいいのですよ?」
「待て、勝手に」
「ですが、キャリーヌがマリクワン侯爵令息に、自分が好みだと言われたと言っておりましたよ?」
「そうなのか?」
「ええ、嘘をキャリーヌが付くはずないのでしょう?」
両親を煽りに煽って、これで代われるかもしれないと期待した。
「キャリーヌを気に入ってしまうのは仕方ないが…」
「あなた、話をしてみてはどうかしら、あちらもその気かもしれないわよ?」
「いや…だが病気のこともあるからな」
実はバスチャン伯爵に提案された際に、マリクワン侯爵家なら、キャリーヌの方がいいのではないかと話をしていたが、けんもほろろにキャリーヌではなく、ベルアンジュだと叱られていたのだ。
後継のことだと思い、指摘されたら何も言えないので、引き下がるしかなかった。マリクワン侯爵家もだが、キャリーヌのためにもバスチャン伯爵家にも、目を付けられたくはない。
ベルアンジュはその後、両親が動いて、変更されることを期待していたが、吉報は届かないまま、キャリーヌも飽きもせず、訪ねて来ていた。
しかし、しばらくすると妙なことを言い始めた。
「お姉様が子どもを産んでから、私を妻にしてくれるって!ありがとう、お姉様。頑張って、私のために可愛い子を産んでね」
「え?」
「私かルイフォード様に似た可愛い子ではないと嫌よ?」
「何を言っているの?」
「だから、ルイフォード様がお姉様を抱くなんて嫌だけど、子どものためなら仕方ないから、貸してあげるって言っているの。私、とっても優しいでしょう?子どもを産んだら、私だけが抱かれるようになるのだから、我慢するわ」
15歳の子が言う台詞ではないと思ったが、面倒なので聞き流すことにした。
ルイフォードが言ったのか、家族が言ったのか知らないが、妙な方向に話は進んでいたようだ。
おそらく、病気のことで、子どもを産ませたくはないが、好きな相手と可愛いキャリーヌを結婚させたい両親と、マリクワン侯爵家側も後継が生まれるならば、いいとしたのかもしれないと考えた。
それでも婚約者の勉強を受け続けていた。結婚しても、使い捨てにされるのではないかと考えるところだが、正直、ベルアンジュにはどうでも良かった。
その日も、ベルアンジュはマリクワン侯爵家にいた。
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