3 / 73
理不尽な家族
しおりを挟む
「ベルアンジュ!どうして、キャリーヌに酷いことを言うんだ!」
「何の話でしょうか」
「キャリーヌに婚約者が出来たことを自慢したんだろう?お前はベルーナが嫁げなくなったからで、選ばれたわけでもないくせに」
「自慢ではないので、自慢などしておりません」
「うるさい!」
「金輪際、キャリーヌの前でするな!分かったな!」
父が帰って行ったと思ったら、今度は母が訪れる。
「あなたはどうして、キャリーヌにどうして優しく出来ないの?キャリーヌは病気なのよ?気持ちを考えることも出来ないの?」
「はあ…」
キャリーヌは発作が起きた際は、ベットで安静にしていることもあるが、ずっと伏せっているわけではない。
「キャリーヌも健康だったら、すぐに婚約者が出来たのに、王族にだってなれたかもしれないのに」
「そんなに縁談があったのですか」
「え?」
ベルアンジュは自分には幼い頃に何度かあったそうだが、キャリーヌに一度でも縁談の話が来たなどとは聞いたことがなかった。
病気だからと諦めたのなら、今の姿を許せるかは別だが、婚約者に過剰になっている理由なのかとは思うことは出来る。
「当たり前でしょう、泣く泣くお断りするしかなかったの。健康だったら今頃は…」
「王族の婚約者、だったのですか?」
「王家からも縁談があったかもしれないってことよ」
「はあ」
実際に合ったわけではない、もしかしたらなんて、夢見がちな親ならば考えることなのかもしれない。そして、そんなことを言われて育ったからこそ、今のキャリーヌが出来上がったのだろう。
「私が健康に産んであげられなかったからとでも言いたいの?」
「そんなこと言ってはないではありませんか」
母が帰って行けば、今度は兄だった。
「キャリーヌに婚約者のことを自慢しているようだな」
「していません」
「嘘付け!婚約者が、婚約者がと言って来るとキャリーヌは泣いていたのだぞ?」
「はあ…私に婚約者がいることが問題なら、お兄様が解消をして来てください」
「何だと!」
「いなくなれば、キャリーヌの気持ちも収まるでしょう?」
「そんな言い方をするから、キャリーヌは傷付くんだ!」
「では、キャリーヌに近付かないように言ってください」
キャリーヌの言うことは嘘でも肯定する両親と兄に、どうしてそんなことを言うのかと怒られるように、うんざりするようになった。
「ルイフォード様って、私が好みなんですって」
「良かったわね」
そう言いながらも、私もマリクワン侯爵家に行っても、時折、お茶をするくらいで会うことがないのに、一体どこで会ったのだろうか?
ルイフォードはトアリ伯爵家に来ることはない。ただキャリーヌは気分転換だと出掛けているので、その際に会ったのかもしれない。
「お姉様、悔しいでしょう?」
「…」
「でも、私が可愛いのは事実なんだから、仕方のないことなのよ?」
気管支喘息は肥満になってはならないので、キャリーヌは痩せ型で、幼い顔立ちはしているが、贔屓目に見れないことを除いても、私と同じ可もなく不可もない顔立ちだと思う。
両親の溺愛英才教育におかげで、自信に繋がったのだろうが、滑稽な気持ちしか抱けなかった。
だが、そんな日々が続けば、キャリーヌもだが、両親と兄に怒鳴られることにも辟易していたベルアンジュは、両親に代わって貰えないか聞くことにした。
その間にベルーナが回復したら、私でもキャリーヌでもバスチャン伯爵家に言われれば、代わることになるだろうから、私である必要もない。
キャリーヌが捨てられたら、面白いのにと思っている自分もいる。そのくらい思っても、神様がいたとしても、許してくれるだろう。
「何の話でしょうか」
「キャリーヌに婚約者が出来たことを自慢したんだろう?お前はベルーナが嫁げなくなったからで、選ばれたわけでもないくせに」
「自慢ではないので、自慢などしておりません」
「うるさい!」
「金輪際、キャリーヌの前でするな!分かったな!」
父が帰って行ったと思ったら、今度は母が訪れる。
「あなたはどうして、キャリーヌにどうして優しく出来ないの?キャリーヌは病気なのよ?気持ちを考えることも出来ないの?」
「はあ…」
キャリーヌは発作が起きた際は、ベットで安静にしていることもあるが、ずっと伏せっているわけではない。
「キャリーヌも健康だったら、すぐに婚約者が出来たのに、王族にだってなれたかもしれないのに」
「そんなに縁談があったのですか」
「え?」
ベルアンジュは自分には幼い頃に何度かあったそうだが、キャリーヌに一度でも縁談の話が来たなどとは聞いたことがなかった。
病気だからと諦めたのなら、今の姿を許せるかは別だが、婚約者に過剰になっている理由なのかとは思うことは出来る。
「当たり前でしょう、泣く泣くお断りするしかなかったの。健康だったら今頃は…」
「王族の婚約者、だったのですか?」
「王家からも縁談があったかもしれないってことよ」
「はあ」
実際に合ったわけではない、もしかしたらなんて、夢見がちな親ならば考えることなのかもしれない。そして、そんなことを言われて育ったからこそ、今のキャリーヌが出来上がったのだろう。
「私が健康に産んであげられなかったからとでも言いたいの?」
「そんなこと言ってはないではありませんか」
母が帰って行けば、今度は兄だった。
「キャリーヌに婚約者のことを自慢しているようだな」
「していません」
「嘘付け!婚約者が、婚約者がと言って来るとキャリーヌは泣いていたのだぞ?」
「はあ…私に婚約者がいることが問題なら、お兄様が解消をして来てください」
「何だと!」
「いなくなれば、キャリーヌの気持ちも収まるでしょう?」
「そんな言い方をするから、キャリーヌは傷付くんだ!」
「では、キャリーヌに近付かないように言ってください」
キャリーヌの言うことは嘘でも肯定する両親と兄に、どうしてそんなことを言うのかと怒られるように、うんざりするようになった。
「ルイフォード様って、私が好みなんですって」
「良かったわね」
そう言いながらも、私もマリクワン侯爵家に行っても、時折、お茶をするくらいで会うことがないのに、一体どこで会ったのだろうか?
ルイフォードはトアリ伯爵家に来ることはない。ただキャリーヌは気分転換だと出掛けているので、その際に会ったのかもしれない。
「お姉様、悔しいでしょう?」
「…」
「でも、私が可愛いのは事実なんだから、仕方のないことなのよ?」
気管支喘息は肥満になってはならないので、キャリーヌは痩せ型で、幼い顔立ちはしているが、贔屓目に見れないことを除いても、私と同じ可もなく不可もない顔立ちだと思う。
両親の溺愛英才教育におかげで、自信に繋がったのだろうが、滑稽な気持ちしか抱けなかった。
だが、そんな日々が続けば、キャリーヌもだが、両親と兄に怒鳴られることにも辟易していたベルアンジュは、両親に代わって貰えないか聞くことにした。
その間にベルーナが回復したら、私でもキャリーヌでもバスチャン伯爵家に言われれば、代わることになるだろうから、私である必要もない。
キャリーヌが捨てられたら、面白いのにと思っている自分もいる。そのくらい思っても、神様がいたとしても、許してくれるだろう。
2,657
お気に入りに追加
3,919
あなたにおすすめの小説
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
夫の浮気相手と一緒に暮らすなんて無理です!
火野村志紀
恋愛
トゥーラ侯爵家の当主と結婚して幸せな夫婦生活を送っていたリリティーヌ。
しかしそんな日々も夫のエリオットの浮気によって終わりを告げる。
浮気相手は平民のレナ。
エリオットはレナとは半年前から関係を持っていたらしく、それを知ったリリティーヌは即座に離婚を決める。
エリオットはリリティーヌを本気で愛していると言って拒否する。その真剣な表情に、心が揺らぎそうになるリリティーヌ。
ところが次の瞬間、エリオットから衝撃の発言が。
「レナをこの屋敷に住まわせたいと思うんだ。いいよね……?」
ば、馬鹿野郎!!
愛してくれないのなら愛しません。
火野村志紀
恋愛
子爵令嬢オデットは、レーヌ伯爵家の当主カミーユと結婚した。
二人の初対面は最悪でオデットは容姿端麗のカミーユに酷く罵倒された。
案の定結婚生活は冷え切ったものだった。二人の会話は殆どなく、カミーユはオデットに冷たい態度を取るばかり。
そんなある日、ついに事件が起こる。
オデットと仲の良いメイドがカミーユの逆鱗に触れ、屋敷に追い出されそうになったのだ。
どうにか許してもらったオデットだが、ついに我慢の限界を迎え、カミーユとの離婚を決意。
一方、妻の計画など知らずにカミーユは……。
愛は全てを解決しない
火野村志紀
恋愛
デセルバート男爵セザールは当主として重圧から逃れるために、愛する女性の手を取った。妻子や多くの使用人を残して。
それから十年後、セザールは自国に戻ってきた。高い地位に就いた彼は罪滅ぼしのため、妻子たちを援助しようと思ったのだ。
しかしデセルバート家は既に没落していた。
※なろう様にも投稿中。
初恋の兄嫁を優先する私の旦那様へ。惨めな思いをあとどのくらい我慢したらいいですか。
梅雨の人
恋愛
ハーゲンシュタイン公爵の娘ローズは王命で第二王子サミュエルの婚約者となった。
王命でなければ誰もサミュエルの婚約者になろうとする高位貴族の令嬢が現れなかったからだ。
第一王子ウィリアムの婚約者となったブリアナに一目ぼれしてしまったサミュエルは、駄目だと分かっていても次第に互いの距離を近くしていったためだった。
常識のある周囲の冷ややかな視線にも気が付かない愚鈍なサミュエルと義姉ブリアナ。
ローズへの必要最低限の役目はかろうじて行っていたサミュエルだったが、常にその視線の先にはブリアナがいた。
みじめな婚約者時代を経てサミュエルと結婚し、さらに思いがけず王妃になってしまったローズはただひたすらその不遇の境遇を耐えた。
そんな中でもサミュエルが時折見せる優しさに、ローズは胸を高鳴らせてしまうのだった。
しかし、サミュエルとブリアナの愚かな言動がローズを深く傷つけ続け、遂にサミュエルは己の行動を深く後悔することになる―――。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
私がいなくなったせいで店が潰れそうだから再婚してください?お断りします。
火野村志紀
恋愛
平民のリザリアはフィリヌ侯爵が経営する魔導工芸品店に経理として就職後、侯爵子息のトールと結婚することとなる。
だが新婚生活は上手くいかなかった。トールは幼馴染のアデラと関係を持つようになる。侯爵夫妻には夫に浮気をさせるつまらない妻と蔑まれ、リザリアは離婚前提の別居を強要されるも、意外にもあっさり了承した。
養子先であるディンデール家に戻ったリザリアはきっと追い出されるに違いないと、トールたちは笑っていたが……。
別名義で『小説家になろう』様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる