鯨:クジラ

2.列車

列車の中、周りを見ると少し離れた席に少女が2人座っていた。
なぜだろう私はその2人から目が離せない、だが少女達が窓の外や他の所をみている時は私もみれるようになる。
私はなぜかその少女達の名前や、年齢、性格だけではなく、その時思っている事までもがわかってしまう。
だが得られる情報はそこからのみだった。
ふと私は列車はどこへ向かっているのだろうか？と思い考えていたが彼女達は会話の中で教えてくれた。
少女達はクジラを見に行くのだという、遠い海へ行き大きいクジラを見に行くと話していた。
そう話す少女達は楽しそうに見えた。
そして高い音で列車の汽笛が鳴った。


車掌が声をかけて回っている彼女達も切符を切ってもらっているようだ。
私のところにもくるのかと思ったが車掌は私のところには来なかった。
そして降りる準備を始めている、私も身支度をしようと思ったが荷物が何もない、仕方ないので私はまた彼女を見ることにした。
相変わらず楽しそうだ、少女達はコートを羽織り向かっていった、灰色の冷たい海へと。
私は海と言うので夏なのだろうと思っていたので驚いていたら、クジラは冬に出るんだと嬉々としながら話ていた。
彼女達は2人で並んで海を眺めながら話している。
私はそれを遠くから眺めていた。