幼なじみ祭

１４

アオ本人は大事になることを望まなかったが、加害者側が数多く名乗り出たことで全て学園側の知るところとなった。両親からは転校や留学を勧められたが「もう一度だけ頑張ってみたい」とアオはそれを断る。

被害者本人が厳罰を望まなかったため、加害生徒らには退学や停学処分の代わりに学園内外での奉仕活動（ごみ拾いや施設への慰問、お手伝いなど）が言い渡された。その活動により自身の未熟さと新しい何かを知ったようで「以前に比べて顔つきが良くなった」というのが教師陣の評価だ。

ただ、騒動の原因である礼音だけは周囲の反感も強く、同系列のより校則の厳しい全寮制学園への転校を処罰代わりとされた。
土下座＆号泣謝罪の後「もっともっと強くなって健人に勝つ。そんで今度こそアオに相応しい男に生まれ変わる。待っててアオ、俺が絶対幸せにするから！」
そう言い残して礼音は学園を去った。
卒業するまでアオへの接触を禁止され、在学中に再び問題を起こした場合は二度と会えない。その制約は必ず彼の成長を促すものとなる筈だ。

また他にも、学園内における親衛隊のあり方や関わり方、生徒全体の意識改革など様々なことが見直された。
まだまだ課題は多いが今後少しずつ時間をかけながらも改善されていくと思われる。





「おはよう、アオ」

「わっ、おはようけんと君。また怖い夢を見たの？」

「うん。だから癒やしてアオ～」

「ま、待ってちょっ、けんと君てば。くすぐったいよ」


朝、寮部屋を出たアオを健人が待ち受ける。
「怖い夢を見たから」との理由で背後から抱きついては頬ずりをし、さり気なく体中を撫でまわす。そうすることで「癒やされる」のだと健人は言う。
最初は驚いたり恥ずかしがっていたアオだが、ほぼ日課となったそれにも慣れ、最近はむしろ悪夢ばかり見る彼を心配している。とてもチョロ……優しい少年だ。


「アオ、おはよう。き、今日も良い日だな」

「アオ君、おはようございます」

「アオちゃん」「おはよぉ」

「アオ……おは、よ……可愛、い」

「アオ！　そ、その、お、おはよう」

「おはようアオくん。朝食はちゃんと食べたかい？」

「今日はいつもより五分ほど早いからな。食べてないなら俺の手作り弁当をやろうか、アオ？」


次に現れるのは生徒会連中・一匹狼・爽やか・風紀委員長たち。これもほぼ毎日のことだ。


「皆様おはようございます。えっと、朝食は食べましたから大丈夫ですよ」

「そ、そうか。残念だ」

「委員長の手作りなんかより僕らがもっと美味しいお弁当作ってあげるよ、アオちゃん」
「今度一緒に食べようよ！」

「それでしたら私も」

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