ワンコとわんわん

葉津緒

文字の大きさ
上 下
78 / 86
引っ越しわんわん

15

しおりを挟む
「わんわん、暴れちゃダメ。早くお風呂入りたいの? シャワーだけ先にする?」

「は? ち、ちょっと待って、なな何をっ」


床に足がついてほっとしたのも束の間、俺のパジャマを脱がそうとする書記さまの手がボタンにかかる。いや、既に幾つか外されてるだと!?


「……わんわん、ピンク。可愛い」

「ひゃうっ」


何が、とかどこが、なんて聞かないで。書記さまの指が触れた瞬間おかしな声が出ちゃったのも無かったことにしてっ。


「あっ、ちょっ何、うひっ……やめ、書記さまァ!?」

「わんわん、足あげて。下も、脱がせてあげるね」


くにっと摘ままれた(どこかは絶対に言わないよ)かと思うと、いつの間にか太股にも手が。


「ぎゃー! 待って、うそ、本当にちょっと、え」

「パンツも脱いで。わんわん、手、離して」

「うぎゃあああ、何でもう脱げてるの?! む、無理無理無理これだけは絶対ムリ。お願いだから止めて書記さま、って引っ張るなー!」


必死のお願いが通じたのか書記さまの動きが止まる。安心しかけた次の瞬間。


「わんわん真っ赤。一人だけ脱ぐの恥ずかしい? なら、俺も脱ぐ。一緒に裸、わんわん恥ずかしくない」

「は?」


にっこり笑うと勢いよく、肌触り同様お値段も宜しいであろうパジャマを脱ぎ始めた。
ななな、なにやってんの!?
あっという間に上半身裸になる書記さま。うわぁ、意外と筋肉質で格好いいですね。羨ましいなー。
とか言ってる場合かッ。


「下も脱ぐ――」

「脱がなくていいから!」


とっさにパジャマを掴む。
一瞬きょとんとした書記さまが、今度は少しだけ照れながら嬉しそうに笑う。


「脱がしっこ?」

「ち、違いますっ」

「じゃあ先に、わんわんのパンツ脱がしてあげる、ね」

「何でぇ!? だだ駄目ッやだっ、書記さまのエッチいぃぃー!」


「大丈夫ですか、わんわん君!」「わんわん助けに来たよー」「先輩」「あ」「……」


扉を破壊し雪崩れ込んだ皆様が見たもの。
それは、片腕と片足首に辛うじてパジャマを絡めた俺が最後の砦であるパンツを必死に押さえる姿であり、全裸に剥こうとする書記さま(半裸)との激闘の場だった。
半泣きでお尻の半分以上が見えてしまっている非常に際どい状態ですが何か。ううっ。

.
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

平凡な365日

葉津緒
BL
平凡脇役(中身非凡)の王道回顧録 1年間、王道連中を遠くから眺め続けた脇役(通行人A)の回想。 全寮制学園/脇役/平凡/中身非凡・毒舌 start→2010

俺の愉しい学園生活

yumemidori
BL
ある学園の出来事を腐男子くん目線で覗いてみませんか?? #人間メーカー仮 使用しています

ザ・兄貴っ!

BL
俺の兄貴は自分のことを平凡だと思ってやがる。…が、俺は言い切れる!兄貴は… 平凡という皮を被った非凡であることを!! 実際、ぎゃぎゃあ五月蝿く喚く転校生に付き纏われてる兄貴は端から見れば、脇役になるのだろう…… が、実は違う。 顔も性格も容姿も運動能力も平凡並だと思い込んでいる兄貴… けど、その正体は――‥。

過保護な不良に狙われた俺

ぽぽ
BL
強面不良×平凡 異能力者が集まる学園に通う平凡な俺が何故か校内一悪評高い獄堂啓吾に呼び出され「付き合え」と壁ドンされた。 頼む、俺に拒否権を下さい!! ━━━━━━━━━━━━━━━ 王道学園に近い世界観です。

ちょろぽよくんはお友達が欲しい

日月ゆの
BL
ふわふわ栗毛色の髪にどんぐりお目々に小さいお鼻と小さいお口。 おまけに性格は皆が心配になるほどぽよぽよしている。 詩音くん。 「えっ?僕とお友達になってくれるのぉ?」 「えへっ!うれしいっ!」 『黒もじゃアフロに瓶底メガネ』と明らかなアンチ系転入生と隣の席になったちょろぽよくんのお友達いっぱいつくりたい高校生活はどうなる?! 「いや……、俺はちょろくねぇよ?ケツの穴なんか掘らせる訳ないだろ。こんなくそガキ共によ!」 表紙はPicrewの「こあくまめーかー😈2nd」で作成しました。

王道くんと、俺。

葉津緒
BL
偽チャラ男な腐男子の、王道観察物語。 天然タラシな美形腐男子くん(偽チャラ男)が、攻めのふりをしながら『王道転入生総受け生BL』を楽しく観察。 ※あくまでも本人の願望です。 現実では無自覚に周囲を翻弄中♪ BLコメディ 王道/脇役/美形/腐男子/偽チャラ男 start→2010 修正→2018 更新再開→2023

天使様はいつも不機嫌です

白鳩 唯斗
BL
 兎に角口が悪い主人公。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

処理中です...