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「お、お嫁さんは出来れば俺がなりたいけど……って違う! 酷いよ副総長さん、俺のファーストキス返してよぉぉ!?」
「んー、どうしよっかなぁ」
返せるもんなら返してみろ、という心のツッコミはさて置き。
泣きながらポカポカと目の前の胸板を叩く平凡少年。反省の色などかけらも見えず、あははと笑う元凶。
真剣に抗議しているのだろうが、下手するとイチャつきながら痴話喧嘩をしているバカップルにも見える。
その光景をハラハラして見守る不良たち。
……何故か皆、あえて総長からは視線を逸らしているのだが。
「副総長さんのバカー!」
「あーごめんねぇ? でも俺がしたのは口の端っこだし、今から総長に消毒のキスをしてもらえば良いっしょ」
適当に謝る男の言葉に、パアァァアと表情を明るくさせる平凡。
若干、鼻息が荒いのは気のせいだろうか。
「ハッ、そそそうか。総長、消毒してください!」
「うるせえ。チッ、仕方ねぇな」
え!?
と屋上にいるほぼ全員が息を呑んだ。
まさかの同意に不良達は驚き、少年は歓喜し、愉快犯は面白そうにさらに口角を上げる。
「おら、覚悟しろよ」
「そ、総長……!」
ゆっくりと近付いた総長。
だが皆が見ている前で、頭を掴まれ無理やり口に「消毒」のキスをされたのは――
何故か平凡少年ではなく、副総長の方だった。
真っ青になる平凡と、目を見開き硬直したまま顔色を失くす男。
決定的瞬間を!
と、うっかりスマホで写真を撮ってしまった周囲の不良に
「おい、今の写真こいつの彼女に送っとけ」
と総長が指示を出す。
その言葉でハッと我に返り
「ちょっ、バカ止めろ!」
慌ててスマホを取り上げようとする副総長。
チャラそうに見えて、実は溺愛中の可愛い可愛い彼女がいたりするのだ。
その彼女。控え目ながらも愛ゆえに嫉妬深く、ただでさえ美形の彼氏に
「貴方の周りにはいつも綺麗な人が一杯。だから私みたいな平凡、すぐに飽きちゃうよね。そんなのやだけど……もし貴方が浮気した時は、私すぐに別れます。だって、あんまり迷惑かけて……せめて嫌われたくはないの」
とやや卑屈な心配をしがちな上に、結構な天然さんでもある。
そのため、総長と彼氏のキス写真を見て
.
「んー、どうしよっかなぁ」
返せるもんなら返してみろ、という心のツッコミはさて置き。
泣きながらポカポカと目の前の胸板を叩く平凡少年。反省の色などかけらも見えず、あははと笑う元凶。
真剣に抗議しているのだろうが、下手するとイチャつきながら痴話喧嘩をしているバカップルにも見える。
その光景をハラハラして見守る不良たち。
……何故か皆、あえて総長からは視線を逸らしているのだが。
「副総長さんのバカー!」
「あーごめんねぇ? でも俺がしたのは口の端っこだし、今から総長に消毒のキスをしてもらえば良いっしょ」
適当に謝る男の言葉に、パアァァアと表情を明るくさせる平凡。
若干、鼻息が荒いのは気のせいだろうか。
「ハッ、そそそうか。総長、消毒してください!」
「うるせえ。チッ、仕方ねぇな」
え!?
と屋上にいるほぼ全員が息を呑んだ。
まさかの同意に不良達は驚き、少年は歓喜し、愉快犯は面白そうにさらに口角を上げる。
「おら、覚悟しろよ」
「そ、総長……!」
ゆっくりと近付いた総長。
だが皆が見ている前で、頭を掴まれ無理やり口に「消毒」のキスをされたのは――
何故か平凡少年ではなく、副総長の方だった。
真っ青になる平凡と、目を見開き硬直したまま顔色を失くす男。
決定的瞬間を!
と、うっかりスマホで写真を撮ってしまった周囲の不良に
「おい、今の写真こいつの彼女に送っとけ」
と総長が指示を出す。
その言葉でハッと我に返り
「ちょっ、バカ止めろ!」
慌ててスマホを取り上げようとする副総長。
チャラそうに見えて、実は溺愛中の可愛い可愛い彼女がいたりするのだ。
その彼女。控え目ながらも愛ゆえに嫉妬深く、ただでさえ美形の彼氏に
「貴方の周りにはいつも綺麗な人が一杯。だから私みたいな平凡、すぐに飽きちゃうよね。そんなのやだけど……もし貴方が浮気した時は、私すぐに別れます。だって、あんまり迷惑かけて……せめて嫌われたくはないの」
とやや卑屈な心配をしがちな上に、結構な天然さんでもある。
そのため、総長と彼氏のキス写真を見て
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