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第五章
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しおりを挟む温室を出て俯きながらとぼとぼ歩く。
しばらくそうしてたら、ああやっぱり。
「先ずはその姿について、今すぐ説明しろ郁人」
「優ちゃんっ……お、怒ってる?」
濡れ髪ジャージ姿の俺の前方には恐ろしい形相の仁王様が。いや、間違えた。
少し汗をかいて息を切らす優ちゃんが待ち構えてました。仁王立ちで。ひいいッ。
「って、何泣き出してんだよお前は!?」
「だって優ちゃん顔怖いよぉ怒っちゃやだぁ、ごめんなさいぃ」
「や、やめろ離せ抱きつくなっ。人の制服で涙を拭くんじゃねぇ、鼻水つけんなおい!」
「うわーんッ優ちゃん怒んないでぇ怒っちゃやだあぁ」
「よし分かった、分かったからとにかく離れろ。お前が離れた後で怒ってやるから」
「うわああぁん、絶対に離すもんかーッ」
「くっそこのアホ郁人がー!?」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ俺たち。
これ、誰も見てなくて良かったよね。優ちゃん完全に本性出ちゃってるし、見た人は驚いちゃうもんねー。
まあこの辺は校舎からもほとんど死角になってるので多分大丈夫。校舎からここに来る途中の道は生徒会室の窓から見えてると思うけど。
(※この学園は敷地面積が広大な上に、建物も中庭も結構入り組んでます。新入生は迷子注意ね)
とかやってたら突然背中に強い衝撃が。
優ちゃんにしがみつく俺の背後から、思いきり何者かにタックルされました。うごおっ!?
「郁人ッごめん郁人、俺ちゃんと飛鳥を追い出しとけば良かった。泣かないで郁人」
「うぐぅ痛たた、って。うん? あれぇノア? え。何で、あ」
「…………郁人さまぁ。本っ当に全っ部説明してくださいねぇ。どうしてさっきまで制服姿だった筈の郁人さまが濡れ髪ジャージ姿なのか。どうして生徒会の会計である倉橋埜吾さまに、さも親しげに名前を呼ばれ抱きつかれてるのか。お二人がどこでどうやって知り合ったのか、どういった関係なのか。僕たち親衛隊が皆必死で郁人さまを探し回ってる間に、郁人さまは一体『誰』と『何』があったのか。包み隠さずちゃんと全てを正直に!」
「ひいいいっ、ごめんなさいいぃッ」
「ご、ごめんなさいっ!?」
魔・王・降・臨。
何故か顔面蒼白になったノアまでもが俺と一緒に謝り始める恐ろしさ。さすが俺の優ちゃんだね(泣)
恐怖のあまり思わずノアにしがみついた途端、さらに優ちゃんの怒りが増したような。き、気のせい……?
その後場所を変え、俺は包み隠さず詳細をゲロさせられるわけですが。
ちなみに白状する間ノアと二人並んで床に正座させられました。半泣きで。
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