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第四章
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……やわらかな春の陽射しの中、大好きな飼い主に優しく撫でられて嬉しそうにゴロゴロのどを鳴らす子猫みたいだ、と話す隊員もいたっけ。可愛いな、おい。
ともかく綺麗すぎる笑顔に見蕩れるうちに、頭がぽーっとして心臓ばくばくで身体中が熱くなって。
気付くと何故か頭の中はあらぬ妄想でいっぱいに。つまり甘々で激エロな、あーんなことやそーんなことを郁人さまにされたりさせたりと……ハアハアハア……やああんっそんな、そんなとこまでぇ嬉し恥ずかしすぎましゅ郁人さまぁ。
ハッ!
で、でも、僕は名誉ある郁人さま親衛隊の一員。こんなことで何度も負けちゃダメだ。これ以上妄想しちゃったら持たないッ頑張れ僕!
元々色素の薄い白い肌をうっすらと染め、蕩けるような夢見る眼差しの郁人さま。時折漏れる熱い吐息が、再びあらぬ妄想を抱かせる。
そんな、あまりにも綺麗で魅惑的な光景から無理やり視線を逸らせようとしたその時です。
「んっ」
聞こえたのは、ほんの小さな甘い声。
思わず凝視すると、土屋くんの息がくすぐったかったのか首をすくめて体をわずかによじる郁人さま。
恥ずかしそうに耳まで真っ赤になり、モジモジしながら潤んだ瞳で相手を睨むその姿は。
……………………えっろ。
「え。あれ、皆は?」
直後、教室内の人数は激減しドアも空きっぱ。
残った者は下を向いてぷるぷる震えたり気を失っていたりで。
「ふ、郁人、さ……ま…………」ガクッ
僕も恍惚の表情を浮かべ鼻血を流しながら机の上で気絶しました。
「うえええっ、しっかりしてぇぇえ!」
遠くから郁人さまの悲鳴が聞こえた気もするけど幻聴だよね、きっと。
ああ、そうか。毎日拝んでる神様仏さまご先祖さまから僕へのご褒美かも? うふふ、ありがとうございます。
とりあえず。
郁人さまの今の攻撃は絶対反則でしょ!?
***
「また貴様か、千賀!」
耳障りな怒鳴り声に、ふっと意識が浮上する。
でもまだ半覚醒の状態で目は開かないし体も動きません。
その間も、ねちねち訳の分からないことで郁人さまを詰(なじ)る嫌味な教師の声が聞こえます。……くっそ腹立つわ。
やっと動けるようになり目を開いた途端。
怒りで顔を真っ赤にした教師が、郁人さまを殴ろうと腕を振り上げるのが見え――。
.
ともかく綺麗すぎる笑顔に見蕩れるうちに、頭がぽーっとして心臓ばくばくで身体中が熱くなって。
気付くと何故か頭の中はあらぬ妄想でいっぱいに。つまり甘々で激エロな、あーんなことやそーんなことを郁人さまにされたりさせたりと……ハアハアハア……やああんっそんな、そんなとこまでぇ嬉し恥ずかしすぎましゅ郁人さまぁ。
ハッ!
で、でも、僕は名誉ある郁人さま親衛隊の一員。こんなことで何度も負けちゃダメだ。これ以上妄想しちゃったら持たないッ頑張れ僕!
元々色素の薄い白い肌をうっすらと染め、蕩けるような夢見る眼差しの郁人さま。時折漏れる熱い吐息が、再びあらぬ妄想を抱かせる。
そんな、あまりにも綺麗で魅惑的な光景から無理やり視線を逸らせようとしたその時です。
「んっ」
聞こえたのは、ほんの小さな甘い声。
思わず凝視すると、土屋くんの息がくすぐったかったのか首をすくめて体をわずかによじる郁人さま。
恥ずかしそうに耳まで真っ赤になり、モジモジしながら潤んだ瞳で相手を睨むその姿は。
……………………えっろ。
「え。あれ、皆は?」
直後、教室内の人数は激減しドアも空きっぱ。
残った者は下を向いてぷるぷる震えたり気を失っていたりで。
「ふ、郁人、さ……ま…………」ガクッ
僕も恍惚の表情を浮かべ鼻血を流しながら机の上で気絶しました。
「うえええっ、しっかりしてぇぇえ!」
遠くから郁人さまの悲鳴が聞こえた気もするけど幻聴だよね、きっと。
ああ、そうか。毎日拝んでる神様仏さまご先祖さまから僕へのご褒美かも? うふふ、ありがとうございます。
とりあえず。
郁人さまの今の攻撃は絶対反則でしょ!?
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「また貴様か、千賀!」
耳障りな怒鳴り声に、ふっと意識が浮上する。
でもまだ半覚醒の状態で目は開かないし体も動きません。
その間も、ねちねち訳の分からないことで郁人さまを詰(なじ)る嫌味な教師の声が聞こえます。……くっそ腹立つわ。
やっと動けるようになり目を開いた途端。
怒りで顔を真っ赤にした教師が、郁人さまを殴ろうと腕を振り上げるのが見え――。
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