王道くんと、俺。

第三章

１３

「すみませんゴメンナサイ俺が間違ってました」


うう、笑顔が怖いよぅ。
俺が腐男子なのを千葉ちゃんは知ってるし、そゆ冗談も本気でやりそうだから嫌過ぎる。
と言うか何で毎回、腐な妄想をしてるってバレちゃうんだろ。
実は千葉ちゃんには特殊能力があったりして。


「×（かける）の右側って何ですか、郁人さん？」

「えっ、祥ちゃん聞きたい？　あのねぇ」

「自重してください郁人さま」

「す、すみません」

「……」


BLの受け攻めについて熱く語ろうとしたら、これまた笑顔の優ちゃんに釘を刺されました。
俺が腐男子だってことはなるべく皆に知られないようにしろ、って優ちゃんから言われてるんだよね。
俺は別にバレても構わないのに。
優ちゃん、BL嫌いなのかなぁ。

せっかくあんな素敵な腐女子のお姉様が身近にいるとゆーのに、勿体ない。
つまりさっき俺が言おうとしてた腐の師匠は……もう分かるよね？
ジャジャーン。なんと優ちゃんの実姉、
“竹元 綾香”（タケモトアヤカ）様でしたー。

もぉ最初はどんな虐めだコレ、とか思ったけど。BLの素晴らしさを知ってからは感謝と尊敬の念を抱くばかりです。ありがとう、師匠ッ。
今日はいつもよりたくさん報告メールしなくちゃね。もちろん生BLのだよ。
王道くんのこととか王道くんのこととか王道くんのことを！
師匠ならきっと俺以上に大喜びしてくれる筈だもんね。


「千葉先生、幾つかお聞きしても宜しいですか」

「どうせ俺が宜しくないつっても聞くんだろ、風紀委員長？」


ん？
急に雰囲気が変わったような。
どうしてこの二人は見つめ合ってんのかな。ハッ、もしかして！
……いや、うん。
千葉ちゃんが睨んでいるのでこれ以上は止めとこ。


「先ず、入口の扉が破壊されています。この部屋で何か問題が起きたのでは？」


　ギクッ


「あ？　別に何も無ぇぞ。古くて錆び付いてたか建て付けが悪くなってたのか、さっき俺が開けたら勝手に壊れたんだよ。ま、後で修理願い出しとくわ」


しれっと嘘をつく千葉ちゃん。
ドアを壊したのは優ちゃんなのに、普通に庇ってくれるとかやっぱ愛だよねー。
あ、優ちゃんの頬がひくついてる。
よっぽど嬉しかったのかな。

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