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卵焼き
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一馬が芹とすずのことを見つけて、そして同じように治も芹とすずが一緒に居るのを見かけた。本来だったら声をかけるのが普通なのだろう。だが芹と一緒に居るのだ。そして芹との関係を聞かれたときに困るのは、沙夜なのだろう。
沙夜もそれがわかっていて三人に声をかけたのだ。
「もう三人とも帰るのかしら。」
「仕事は終わりだよ。治と俺は同じ路線だけど、一馬と沙夜さんは一緒だっけ?」
「降りる駅は違うんだけどね。」
純は何も知らないのだろう。治も納得しているように見えるが、あまり二人にさせたくないと思っていた。
「ラッシュになるかなぁ。時間ずらしたのに。」
「仕方ないだろう。帰るか。ここでぐだぐだしていても仕方ないし。」
「そうね。夏目さん。またこのラジオ局からは連絡が来ると思うけれど、こちらから今度は連絡をするわ。」
「わかった。楽しみだなぁ。」
のんきそうに純がそう言っているのを見て、沙夜は少し笑う。そして別の路線にいくのに先に純達はホームへと行く階段を上がっていく。
沙夜達は違う路線で向こうにある路線へ向かうのだ。その間、一馬との距離が近くて、沙夜の手が少し一馬に触れる。
「ご……ごめんなさい。」
すると一馬は首を横に振ると、少し距離を取った。後ろからきっと芹が来ている。なので今はこの距離では無いといけないだろう。本当はこのまま連れ去ってやりたいのに。
「今日は何を作るんだ。」
「え……食事のこと?」
「あぁ。うちの妻がお前から食事を作り方のことを聞いて、楽をして料理が出来ると言っていたからな。」
「手抜き料理を教えたのよ。働きながら家のことも子育てもしているのだから、食事くらい手を抜いたモノでも良いんじゃ無いかって思ってね。」
「手抜きじゃ無い。手間抜きだろう。本当だったら味噌汁なんかも出汁を取った方が美味しいに決まっている。だがそのだしを取る手間を省いて、顆粒のだしを使った所で味の違いなんか俺にはわからないし、息子だってわからない。」
「そうね……。今日はまだお店に行かないとわからないけれど、夏野菜も終わりかけなのよね。今年はトマトソースを沢山仕込んでいるの。パスタにしたり。」
「オムライスにかけたりか?」
「そうね。あのK街にあるバーで食べたオムライスは美味しかったわ。」
「あれはうちの妻も好きでな。季節によってソースも違うし。あそこにはコーヒーラムを仕込んで貰っているんだ。妻の焙煎した豆で。」
「それは美味しそうね。」
「今度飲みに行こうか。」
「そうね。」
普通の会話が出来て良かった。そう思いながらホームへ上がる階段を上っていく。後ろを振り向いたが、芹がやってくる気配は無い。まだすずと話をしているのだろうか。かなり気が合うように見える。沙夜と一緒に居るよりも芹も自然に見えて、少し複雑な気持ちになっていた。
ホームに着くと、沙夜は携帯電話を取りだしてメッセージをチェックする。すると芹からのメッセージが届いていた。
「用事が出来たから先に帰って欲しいか……。」
すずとどこかへ行ってしまったのだろうか。そう思うとため息が出る。その様子に一馬が声をかけた。
「あの女が誘ったとは限らないだろう。」
「わかってるけどね。」
本当に仕事なのかも知れない。そう思って携帯電話をしまおうとした。その時だった。沙夜の携帯電話にメッセージが届く。それを開くと、そこには一馬のメッセージが届いていた。隣にいるのにどうしてメッセージなど送ったのだろう。そう思いながら沙夜はそれを開く。するとそこには、二十時にK街へ来て欲しいと書いてあった。
「一馬。」
沙夜は訴えるように一馬を見上げて言うと、一馬は表情を変えずに続けてメッセージを送っている。そしてまた沙夜の携帯電話にメッセージが届いた。K街の駅の裏手に眼鏡を取って髪を下ろしてきて欲しいと。
そして一馬は携帯電話をしまうと、ホームに電車がやってくる音を聞いていた。駅員のアナウンスと共に、電車がやってくる。
最寄り駅で降りると、沙夜は商店街の方へ向かう。一馬はそのまま電車に乗っていた。そして八百屋の方へ向かうと、見事なスイカが安くてある。スイカは芹の好物だ。だがこんなに大きなスイカを買っても今は沙菜もいないし、第一冷蔵庫に入らない。割って入れてもいいがそうなると他の食材が入りそうに無い。
「スイカかい?」
女将さんがそう聞くと、沙夜は頷いた。
「芹が好きだからですね。」
「でもちょっと大きいよね。半分にしてあげても良いけど、それでもねぇ……。」
すると大将が奥の方から声をかける。
「今年はスイカの生り年なんだよ。」
「スイカが美味しい年って事ですか?」
女将さんにそう聞くと、女将さんは頷いた。
「味も良くて沢山取れる年なんだよ。晴れの日が多かったからねぇ。」
「そうですか……。」
しかしそうは言ってもこのスイカを一玉買っても持て余してしまうだろう。どうしたモノかと思っていたときだった。
「あら。今晩は。」
声をかけられて振り向くと、そこにはスパイス専門店の女性がそこに居た。店は閉めてしまったのだろうか。
「はい。今晩は。もうお店は閉めたんですか?」
「いいえ。まだスイカがあると思ってね。少し買いに来たのよ。でも半分で良いのよね。」
おそらくそれが狙いか。わざわざ店を開けてここまで来たのだ。その女性の狙いはスイカなのだろう。そしてちょうどいい人が来たと思っていたのだ。
「一玉を半分にしてあげようか。泉さんが半分を買えば、スパイス店のお姉さんも半分売るよ。」
「それで良いかしら。」
半分押し切られるような形だが、沙夜は頷いた。
「うちも助かります。スイカが好きな人がいるので。」
「あら。そうなの。」
女将さんはスイカを一つ手にすると、奥へ行ってしまった。半分に割ってくれるのだろう。だが沙夜はそれを見て少し戸惑ったように女性に聞く。
「まさかお一人で食べるわけじゃ無いんですよね?」
すると女性は少し笑って言った。
「一人で食べるのよ。」
「この大玉を?」
「えぇ。何も気にせずに、誰の気兼ねも無く、好きなモノを好きなだけ食べる贅沢ほどの贅沢ってあるのかしら。」
そう言われて沙夜はぐっと手を握る。沙夜の場合、食べることが贅沢なのでは無い。好きな音楽を好きなだけ自分の手で奏でること。あの時間が贅沢でかけがえが無かった。一日中ピアノを弾けた。誰も文句を言われずに。
そして結婚式の二次会の余興の前。一馬と初めてベースとピアノで合わせた。気持ちが良いと思えた。永遠に続けば良いのにと思った出来事で奏太と合わせたときも同じ事を思えたが、一馬の時の方が更に気持ちが良く思えた。きっと音楽の好みやセンスがよく似ているからだろう。それからジャズバーで弾いたこともある。その時も幸せだと思えた。
「好きなモノを……。」
「それにほら、スイカなんかは食べすぎても糖分は確かにあるだろうけれど、ほとんどが水分だしね。」
「それもそうですね。その分、保存は利きませんけど。」
「だから一気に食べるのよ。あなたは好きなモノは無いの?」
そう言われて食べ物のことを考えた。確かに作ることは好きなのだが、自分で食べるとなると少し違う気がする。
「……まんべんなく何でも好きなんですけど……そうですね。卵焼きは好きですね。」
「卵焼き?」
「初めて作った料理なんです。それを父に酒のつまみで出したら喜んでくれて。」
すると女性は少し笑って言う。
「あなたは自分が幸せになるよりも、幸せにする方が良いのかしら。まるでお釈迦様ね。」
「はぁ……。」
「でも、自分の幸せも考えないと、あとで馬鹿を見るのかも知れないわ。与えてくれる人はそれを当てにして、与えてくれないと不服が出るモノだから。」
スイカをわけて貰い、女性は店の方へ行ってしまった。それを見て、沙夜はため息を付く。
「自分の幸せ……。」
一馬と何か演奏することは幸せだと思う。幸せは食事だけでは無い。沙夜にとっては演奏することなのだ。
沙夜もそれがわかっていて三人に声をかけたのだ。
「もう三人とも帰るのかしら。」
「仕事は終わりだよ。治と俺は同じ路線だけど、一馬と沙夜さんは一緒だっけ?」
「降りる駅は違うんだけどね。」
純は何も知らないのだろう。治も納得しているように見えるが、あまり二人にさせたくないと思っていた。
「ラッシュになるかなぁ。時間ずらしたのに。」
「仕方ないだろう。帰るか。ここでぐだぐだしていても仕方ないし。」
「そうね。夏目さん。またこのラジオ局からは連絡が来ると思うけれど、こちらから今度は連絡をするわ。」
「わかった。楽しみだなぁ。」
のんきそうに純がそう言っているのを見て、沙夜は少し笑う。そして別の路線にいくのに先に純達はホームへと行く階段を上がっていく。
沙夜達は違う路線で向こうにある路線へ向かうのだ。その間、一馬との距離が近くて、沙夜の手が少し一馬に触れる。
「ご……ごめんなさい。」
すると一馬は首を横に振ると、少し距離を取った。後ろからきっと芹が来ている。なので今はこの距離では無いといけないだろう。本当はこのまま連れ去ってやりたいのに。
「今日は何を作るんだ。」
「え……食事のこと?」
「あぁ。うちの妻がお前から食事を作り方のことを聞いて、楽をして料理が出来ると言っていたからな。」
「手抜き料理を教えたのよ。働きながら家のことも子育てもしているのだから、食事くらい手を抜いたモノでも良いんじゃ無いかって思ってね。」
「手抜きじゃ無い。手間抜きだろう。本当だったら味噌汁なんかも出汁を取った方が美味しいに決まっている。だがそのだしを取る手間を省いて、顆粒のだしを使った所で味の違いなんか俺にはわからないし、息子だってわからない。」
「そうね……。今日はまだお店に行かないとわからないけれど、夏野菜も終わりかけなのよね。今年はトマトソースを沢山仕込んでいるの。パスタにしたり。」
「オムライスにかけたりか?」
「そうね。あのK街にあるバーで食べたオムライスは美味しかったわ。」
「あれはうちの妻も好きでな。季節によってソースも違うし。あそこにはコーヒーラムを仕込んで貰っているんだ。妻の焙煎した豆で。」
「それは美味しそうね。」
「今度飲みに行こうか。」
「そうね。」
普通の会話が出来て良かった。そう思いながらホームへ上がる階段を上っていく。後ろを振り向いたが、芹がやってくる気配は無い。まだすずと話をしているのだろうか。かなり気が合うように見える。沙夜と一緒に居るよりも芹も自然に見えて、少し複雑な気持ちになっていた。
ホームに着くと、沙夜は携帯電話を取りだしてメッセージをチェックする。すると芹からのメッセージが届いていた。
「用事が出来たから先に帰って欲しいか……。」
すずとどこかへ行ってしまったのだろうか。そう思うとため息が出る。その様子に一馬が声をかけた。
「あの女が誘ったとは限らないだろう。」
「わかってるけどね。」
本当に仕事なのかも知れない。そう思って携帯電話をしまおうとした。その時だった。沙夜の携帯電話にメッセージが届く。それを開くと、そこには一馬のメッセージが届いていた。隣にいるのにどうしてメッセージなど送ったのだろう。そう思いながら沙夜はそれを開く。するとそこには、二十時にK街へ来て欲しいと書いてあった。
「一馬。」
沙夜は訴えるように一馬を見上げて言うと、一馬は表情を変えずに続けてメッセージを送っている。そしてまた沙夜の携帯電話にメッセージが届いた。K街の駅の裏手に眼鏡を取って髪を下ろしてきて欲しいと。
そして一馬は携帯電話をしまうと、ホームに電車がやってくる音を聞いていた。駅員のアナウンスと共に、電車がやってくる。
最寄り駅で降りると、沙夜は商店街の方へ向かう。一馬はそのまま電車に乗っていた。そして八百屋の方へ向かうと、見事なスイカが安くてある。スイカは芹の好物だ。だがこんなに大きなスイカを買っても今は沙菜もいないし、第一冷蔵庫に入らない。割って入れてもいいがそうなると他の食材が入りそうに無い。
「スイカかい?」
女将さんがそう聞くと、沙夜は頷いた。
「芹が好きだからですね。」
「でもちょっと大きいよね。半分にしてあげても良いけど、それでもねぇ……。」
すると大将が奥の方から声をかける。
「今年はスイカの生り年なんだよ。」
「スイカが美味しい年って事ですか?」
女将さんにそう聞くと、女将さんは頷いた。
「味も良くて沢山取れる年なんだよ。晴れの日が多かったからねぇ。」
「そうですか……。」
しかしそうは言ってもこのスイカを一玉買っても持て余してしまうだろう。どうしたモノかと思っていたときだった。
「あら。今晩は。」
声をかけられて振り向くと、そこにはスパイス専門店の女性がそこに居た。店は閉めてしまったのだろうか。
「はい。今晩は。もうお店は閉めたんですか?」
「いいえ。まだスイカがあると思ってね。少し買いに来たのよ。でも半分で良いのよね。」
おそらくそれが狙いか。わざわざ店を開けてここまで来たのだ。その女性の狙いはスイカなのだろう。そしてちょうどいい人が来たと思っていたのだ。
「一玉を半分にしてあげようか。泉さんが半分を買えば、スパイス店のお姉さんも半分売るよ。」
「それで良いかしら。」
半分押し切られるような形だが、沙夜は頷いた。
「うちも助かります。スイカが好きな人がいるので。」
「あら。そうなの。」
女将さんはスイカを一つ手にすると、奥へ行ってしまった。半分に割ってくれるのだろう。だが沙夜はそれを見て少し戸惑ったように女性に聞く。
「まさかお一人で食べるわけじゃ無いんですよね?」
すると女性は少し笑って言った。
「一人で食べるのよ。」
「この大玉を?」
「えぇ。何も気にせずに、誰の気兼ねも無く、好きなモノを好きなだけ食べる贅沢ほどの贅沢ってあるのかしら。」
そう言われて沙夜はぐっと手を握る。沙夜の場合、食べることが贅沢なのでは無い。好きな音楽を好きなだけ自分の手で奏でること。あの時間が贅沢でかけがえが無かった。一日中ピアノを弾けた。誰も文句を言われずに。
そして結婚式の二次会の余興の前。一馬と初めてベースとピアノで合わせた。気持ちが良いと思えた。永遠に続けば良いのにと思った出来事で奏太と合わせたときも同じ事を思えたが、一馬の時の方が更に気持ちが良く思えた。きっと音楽の好みやセンスがよく似ているからだろう。それからジャズバーで弾いたこともある。その時も幸せだと思えた。
「好きなモノを……。」
「それにほら、スイカなんかは食べすぎても糖分は確かにあるだろうけれど、ほとんどが水分だしね。」
「それもそうですね。その分、保存は利きませんけど。」
「だから一気に食べるのよ。あなたは好きなモノは無いの?」
そう言われて食べ物のことを考えた。確かに作ることは好きなのだが、自分で食べるとなると少し違う気がする。
「……まんべんなく何でも好きなんですけど……そうですね。卵焼きは好きですね。」
「卵焼き?」
「初めて作った料理なんです。それを父に酒のつまみで出したら喜んでくれて。」
すると女性は少し笑って言う。
「あなたは自分が幸せになるよりも、幸せにする方が良いのかしら。まるでお釈迦様ね。」
「はぁ……。」
「でも、自分の幸せも考えないと、あとで馬鹿を見るのかも知れないわ。与えてくれる人はそれを当てにして、与えてくれないと不服が出るモノだから。」
スイカをわけて貰い、女性は店の方へ行ってしまった。それを見て、沙夜はため息を付く。
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