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血の繋がり
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体がもぞもぞして目を覚ました。菊子は薄く目をあけると、自分の胸に蓮の指がその乳首に触れていた。
「あっ……。」
乳首の先をゴリゴリと触られると、思わず声が出た。
「蓮……。」
「寝たままでもたつもんなんだな。ほら。ここがビンビン。」
菊子を寝かせると、蓮はその乳首に下を這わせた。柔らかくて温かな刺激が、その堅いところを責めあげていく。それは起きて何分もたっていないのに、思わず吐息が漏れる。
「蓮。こんな朝から……。」
「いつ出来るかわからないから、出来るときは思いっきり抱きたい。お前を感じたいんだ。」
蓮の指が菊子の性器を這う。そのたびに菊子は体を震わせて、蓮の体にしがみついた。
早朝。蓮は菊子を家に送り、食事をご馳走になったあと帰って行った。まだ少しふらふらしているのは、疲れが溜まっているからだろう。
「仕事まではまだ時間があるのだったら寝て起きなさい。体が資本ですよ。」
女将はそう言って布団を用意しようかと言ってくれたが、さすがにそれは蓮も遠慮したのだ。
「連絡する。」」
次の練習がいつになるかわからない。だけど次に会ったときも、またこうして抱かれるのだろうか。
昼過ぎ、菊子はシーツの数を数えていた。お盆休みで、リネンの業者が持ってきたものが足りるだろうかと思っていたのだ。倉庫でその数を数えていると、そのドアを開ける人がいた。
「皐月さん。」
振り返ると、そこには皐月がいた。
「菊子さん。お客さんが見えてますよ。」
「お客さん?誰ですか?」
「戸崎様ですよ。」
その名前に菊子は一瞬いやな顔をした。本気でいやなのだろう。だがここまでやってくるのだ。きっと何かしてくるのかもしれない。
「菊子さん。」
皐月は出ていこうとした菊子に声をかける。
「はい?」
「たぶん、手は出されませんよ。」
「どうしてそう思いますか?」
「ほら。ここ。」
皐月はそう言ってシャツの襟刳りから少しのぞくあとを指さした。
「え……。」
「そんなあとを見せつけられたら、普通の男は黙ってしまいますよ。」
「普通じゃないのかもしれませんが……。」
ぽつりと菊子はそう言うと、ため息をついた。
表玄関へ行くと、そこには仕立ての良いスーツに身を包んだ戸崎信次がいた。そしてその後ろには夕べ蓮の部屋を訪れた影村の姿もある。
「戸崎様自ら、いらっしゃってるのよ。菊子。ちゃんとご挨拶を。」
女将はそう言うから。菊子は愛想笑いを浮かべると、礼をした。
「開店前にようこそいらっしゃいました。」
嫌みなつもりはない。だが女将は信次の機嫌を損ねないように気を配ってきたつもりだった。それを菊子で潰されたくなかったのだ。
「菊子。開店前の準備で忙しいだろうが、しばらく付き合って欲しい。女将。いいだろう?」
「かまいませんよ。しかし……戸崎様ともあろうものが、どうしてこんな小娘に?」
「金のスプーンを握っているのかもしれない。」
「は?」
女将は首を傾げて、菊子を見る。
「靴を履いて、裏口から出ます。表で良いですか?」
「時間が惜しい。影村。連れてこい。」
そう言って信次は出ていくと、影村が外履き用の下駄を取り出して履かせる。そして菊子の手を引いて、表に停めている車に菊子を押し込んだ。
「……あの……。どこに?」
隣には信次がいる。信次は薄く笑うと、車を走らせるように言った。
「家だ。」
「え?」
「本家の方だ。お前がそこにいれば、蓮も戻ってくる。」
「蓮はいやがっていました。」
「だからこそお前が必要だと言っているだろう。お前がいればイヤでも来るだろうし。」
「……。」
「来なければそれまでだ。その程度の関係だったのだろう。」
「蓮は……。」
すると信次は、手を菊子に伸ばす。
「ほう……。夕べは激しかったと見える。」
襟刳りを引っ張られると、そこには赤い跡があった。蓮が付けたもので、菊子の顔が赤くなった。
「……やめてください。そんなことを言うのは。
「あいつ次第だ。来なければ俺が手込めにする。」
「手……や……。イヤです!」
「イヤでもなるんだ。」
車は信号で停まることもある。権力者でも信号機の指示までは出来ないだろうから。
その隙に逃げる。菊子はそう思ってフロントガラスから信号を見た。影村の運転は、あくまで安全運転。黄色になればすぐに停まる。
押しボタン式の信号が黄色になり、赤になる。今だ。
菊子はいそいで車を降りようと、ドアノブを引っ張った。しかし全く動かない。
「え……。」
「ロックしてるからな。ちなみに窓も開かない。」
お見通しだった。悔しそうに唇をかむ。サイドの窓はスモークが張られていて、外からは見えないだろう。おそらく車が立派すぎて、ヤクザの車にも見えるかもしれないが、こちらから見る限り人が避けているように見えた。
「大人しくしていろ。それとも大人しくされたいのか?」
「……。」
「何だ。その目は。生意気な娘だ。」
「……蓮は……来ませんから。」
「だったら手込めにするまでだ。影村、まっすぐ前を見て運転しろ。」
「はい。」
影村はそう言うときは何をしているのかすぐにわかる。だから黙って前を見ていた。
「蓮は経験不足だ。お前を満足させられていないだろう?」
「そんなことはありません。」
「お前も経験不足なのかもしれないな。蓮しか知らないのか?」
「そんなこと……。」
いきなり手を捕まれて、窓に押しつけられた。そして横を向いている菊子の首に唇を這わせた。
「……ん……。」
気持ち悪い。なのに声が出る。顔が赤くなる。蓮に似たこの男が、首筋に舌を這わせるだけで嫌気が指すのに、体はきっちり反応する。
「こっちを向け。ではないと耳から責める。」
ベッドの上で少し意地悪な蓮の声に似ていた。囁かれ、ゆっくりと菊子は信次の方を見る。すると信次はゆっくりと菊子の唇に顔を近づけてきた。
「イヤです。」
「イヤなものか。一度すれば癖になる。」
「イヤ……。」
唇が触れようとしたときだった。車が止まる。
「あの……社長。」
「何だ。」
「着きました。」
影村の声に、信次は菊子の手を離す。
「……お前のことはよくわかった。流されやすい女だ。蓮もそんな女なら苦労するだろうな。」
そう言ってロックがはずれた車から、信次は降りていった。
そして菊子も車を降りていく。そして見上げるような大きな家……イヤ屋敷に、圧倒されてしまった。
「あっ……。」
乳首の先をゴリゴリと触られると、思わず声が出た。
「蓮……。」
「寝たままでもたつもんなんだな。ほら。ここがビンビン。」
菊子を寝かせると、蓮はその乳首に下を這わせた。柔らかくて温かな刺激が、その堅いところを責めあげていく。それは起きて何分もたっていないのに、思わず吐息が漏れる。
「蓮。こんな朝から……。」
「いつ出来るかわからないから、出来るときは思いっきり抱きたい。お前を感じたいんだ。」
蓮の指が菊子の性器を這う。そのたびに菊子は体を震わせて、蓮の体にしがみついた。
早朝。蓮は菊子を家に送り、食事をご馳走になったあと帰って行った。まだ少しふらふらしているのは、疲れが溜まっているからだろう。
「仕事まではまだ時間があるのだったら寝て起きなさい。体が資本ですよ。」
女将はそう言って布団を用意しようかと言ってくれたが、さすがにそれは蓮も遠慮したのだ。
「連絡する。」」
次の練習がいつになるかわからない。だけど次に会ったときも、またこうして抱かれるのだろうか。
昼過ぎ、菊子はシーツの数を数えていた。お盆休みで、リネンの業者が持ってきたものが足りるだろうかと思っていたのだ。倉庫でその数を数えていると、そのドアを開ける人がいた。
「皐月さん。」
振り返ると、そこには皐月がいた。
「菊子さん。お客さんが見えてますよ。」
「お客さん?誰ですか?」
「戸崎様ですよ。」
その名前に菊子は一瞬いやな顔をした。本気でいやなのだろう。だがここまでやってくるのだ。きっと何かしてくるのかもしれない。
「菊子さん。」
皐月は出ていこうとした菊子に声をかける。
「はい?」
「たぶん、手は出されませんよ。」
「どうしてそう思いますか?」
「ほら。ここ。」
皐月はそう言ってシャツの襟刳りから少しのぞくあとを指さした。
「え……。」
「そんなあとを見せつけられたら、普通の男は黙ってしまいますよ。」
「普通じゃないのかもしれませんが……。」
ぽつりと菊子はそう言うと、ため息をついた。
表玄関へ行くと、そこには仕立ての良いスーツに身を包んだ戸崎信次がいた。そしてその後ろには夕べ蓮の部屋を訪れた影村の姿もある。
「戸崎様自ら、いらっしゃってるのよ。菊子。ちゃんとご挨拶を。」
女将はそう言うから。菊子は愛想笑いを浮かべると、礼をした。
「開店前にようこそいらっしゃいました。」
嫌みなつもりはない。だが女将は信次の機嫌を損ねないように気を配ってきたつもりだった。それを菊子で潰されたくなかったのだ。
「菊子。開店前の準備で忙しいだろうが、しばらく付き合って欲しい。女将。いいだろう?」
「かまいませんよ。しかし……戸崎様ともあろうものが、どうしてこんな小娘に?」
「金のスプーンを握っているのかもしれない。」
「は?」
女将は首を傾げて、菊子を見る。
「靴を履いて、裏口から出ます。表で良いですか?」
「時間が惜しい。影村。連れてこい。」
そう言って信次は出ていくと、影村が外履き用の下駄を取り出して履かせる。そして菊子の手を引いて、表に停めている車に菊子を押し込んだ。
「……あの……。どこに?」
隣には信次がいる。信次は薄く笑うと、車を走らせるように言った。
「家だ。」
「え?」
「本家の方だ。お前がそこにいれば、蓮も戻ってくる。」
「蓮はいやがっていました。」
「だからこそお前が必要だと言っているだろう。お前がいればイヤでも来るだろうし。」
「……。」
「来なければそれまでだ。その程度の関係だったのだろう。」
「蓮は……。」
すると信次は、手を菊子に伸ばす。
「ほう……。夕べは激しかったと見える。」
襟刳りを引っ張られると、そこには赤い跡があった。蓮が付けたもので、菊子の顔が赤くなった。
「……やめてください。そんなことを言うのは。
「あいつ次第だ。来なければ俺が手込めにする。」
「手……や……。イヤです!」
「イヤでもなるんだ。」
車は信号で停まることもある。権力者でも信号機の指示までは出来ないだろうから。
その隙に逃げる。菊子はそう思ってフロントガラスから信号を見た。影村の運転は、あくまで安全運転。黄色になればすぐに停まる。
押しボタン式の信号が黄色になり、赤になる。今だ。
菊子はいそいで車を降りようと、ドアノブを引っ張った。しかし全く動かない。
「え……。」
「ロックしてるからな。ちなみに窓も開かない。」
お見通しだった。悔しそうに唇をかむ。サイドの窓はスモークが張られていて、外からは見えないだろう。おそらく車が立派すぎて、ヤクザの車にも見えるかもしれないが、こちらから見る限り人が避けているように見えた。
「大人しくしていろ。それとも大人しくされたいのか?」
「……。」
「何だ。その目は。生意気な娘だ。」
「……蓮は……来ませんから。」
「だったら手込めにするまでだ。影村、まっすぐ前を見て運転しろ。」
「はい。」
影村はそう言うときは何をしているのかすぐにわかる。だから黙って前を見ていた。
「蓮は経験不足だ。お前を満足させられていないだろう?」
「そんなことはありません。」
「お前も経験不足なのかもしれないな。蓮しか知らないのか?」
「そんなこと……。」
いきなり手を捕まれて、窓に押しつけられた。そして横を向いている菊子の首に唇を這わせた。
「……ん……。」
気持ち悪い。なのに声が出る。顔が赤くなる。蓮に似たこの男が、首筋に舌を這わせるだけで嫌気が指すのに、体はきっちり反応する。
「こっちを向け。ではないと耳から責める。」
ベッドの上で少し意地悪な蓮の声に似ていた。囁かれ、ゆっくりと菊子は信次の方を見る。すると信次はゆっくりと菊子の唇に顔を近づけてきた。
「イヤです。」
「イヤなものか。一度すれば癖になる。」
「イヤ……。」
唇が触れようとしたときだった。車が止まる。
「あの……社長。」
「何だ。」
「着きました。」
影村の声に、信次は菊子の手を離す。
「……お前のことはよくわかった。流されやすい女だ。蓮もそんな女なら苦労するだろうな。」
そう言ってロックがはずれた車から、信次は降りていった。
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