彷徨いたどり着いた先

神崎

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性癖

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 真二郎は仕事へいっているがいつ帰ってくるかわからない。そのスリルが響子と一馬をかき立たせるのだろうか。この部屋でセックスをするのは初めてではないが、前は帰ってこないと明確にわかっていたから安心できた。だが今日は違う。
 何度も絶頂に達している響子だったが、一馬は一度射精しても収まらないようだ。
「今日はすぐにイくな。可愛い。」
「言わないで。そんなこと。」
「お前はいつも言っていることと体の反応が逆だ。ほら。急に締まってきた。」
 響子の膣が、一馬のモノを離さないように締めてきた。
「何度も言ってやろうか。可愛い。その顔。」
「やめて……。何かくすぐったいわ。」
 膝で立っている状態で、響子を壁に押しつけている。そのまま響子を一馬の体に捕まらせて、挿入しているのだ。ベッドの枕の上にある普段は読みかけの本なんかを置いているスペースに、水たまりができている。響子の愛液なのか、一馬のモノなのかわからない体液が濡らしているのだ。
 女はイってるふりをする事だってあるんだ。
 その言葉が一馬の頭の中を占める。響子がそんな反応をしているとは思えない。だが女というのはわからないモノなのだ。
 名残惜しそうに響子から出て行くと、響子は崩れ落ちるようにベッドに座り込んだ。そして肩で息をしている。一馬は自分の性器からコンドームをとると、響子を見下ろした。
「舐めてくれないか。」
「え……。」
 一馬から言い出すのは初めてかもしれない。あまり一馬はこれが好きではないと思っていたからだ。おずおずと響子はその性器に口を付ける。舌で舐めあげて、そのまま口の中に入れた。
 一馬のモノは誰よりも大きい。だから口の奥までは入らない。それでも丁寧に響子はそれを舐めあげていく。
「気持ちいいな。とろけそうだ。」
 丁寧にするその行為に、一馬は思わず響子の頭を撫でて髪を避ける。その表情が見たかったからだ。
「響子。」
 口を離して、響子は一馬を見上げる。
「気持ちよかったか?」
「うん……いつも気持ちいいわ。」
「……本当に?」
「意識だけどっか行っちゃいそうなの。」
 響子はそういうと頬を赤らめた。頭の中で拉致されたときのことを思い出す。
「昔……拉致されたの。」
「あぁ……。」
「あのとき、男たちが言ったの。「無理矢理されてんのによがってんじゃねぇ」って。」
「……。」
「自分が怖かった。もちろん、無理矢理されたし、望んでなんか無い。でも……心のどこかでセックスが気持ちいいことって思う心もあって。可笑しいわよね。無理矢理されているのに。」
「……無理矢理されて感じるのはAVの世界だけかと思っていたが。」
「だから……夏子の作品を見て少しショックだったわ。」
 そういって響子は目を伏せた。すると一馬は響子を抱き寄せる。
「それは性癖なのかもしれないな。」
「特殊な性癖だと?」
「最初が肝心だろう。子供だって、生まれて育った環境で「それが普通」と思うから、特殊な環境でもそれが普通なら子供にとって普通になる。最初のセックスが無理矢理だったらお前自身が恐怖になるかもしれない。だがその中にもお前は希望を見たんだろう。」
「希望?」
「その中にある快感。それがないとお前はそのまま心を病んで立ち直れなかったかもしれない。」
 その言葉に響子はこらえていた涙を流す。自分が怖いと思っていたからだ。
「ただ。俺は打ったり蹴ったりはしたくない。もちろん傷を残すようなことも。あくまで大事だから。」
「私もあなたが大事よ。だから……あなたが満足できればいい。それに答えれればいいと思う。」
「言ったな?」
 そういって一馬はそのまままた首筋に唇を当てる。そしてそこを吸い上げた。
「跡は残さないで。」
「もう遅い。」
 すると一馬はその唇を離すと、そこにくっきりとついていた跡を見て満足げに微笑んだ。
「早く一緒になれればいい。」
 そういって響子を股ベッドに押し倒す。そして足を広げて、肩の上にその足を乗せた。
「ちょっと……この体勢……。」
「キツいか?」
「そこまでは……。」
「お前はランニングだけじゃなくて、ストレッチもした方が良いな。体が固い。」
 そんな問題ではない。響子は一馬の前にさらされた自分の性器を隠したかったのだが、一馬はそのままその性器を指で広げる。くぱぁと物欲しげにひくひくと汁を垂らしている。それに一気に近づくと、性器の上、堅いところの皮を剥くとそこを舌で舐めあげる。
「ああっ!あ……。」
「痛いか?」
「ううん……一気に……あっ!」
 容赦なく舐めあげ、その中も舌で愛撫する。絶頂でどうにかなりそうな中、うっすらと見える一馬の顔がまた嫌らしく写った。
「見て見ろ。ほら。」
 指を入れられ、そこから出たり入ったりしている。そしてそれを見せつけるようにしていると、そこから汁が溢れ出て尻や腹に伝ってきた。
「あっ!ああああ!一馬!か……。」
 びくびくと体を震わせて、また絶頂に達してしまった。そして一馬はそのまま性器の下、その下の穴から舌を這わせる。
「いや!駄目!そこ……。」
 さすがにそこは調べていないし、駄目だと思う。一馬は足を下ろすと、その濡れているところに自分の性器をすり付ける。
「あぁ……これも気持ちいいな。」
「んっ!当たる!」
「どこに?言って。」
「どうしてそんなに今日は意地悪なの?」
「……言って。」
「……クリが……当たるから……。」
「ここか?」
 その堅くなっているところをなで上げると、さらに濡れてくる。
「そんなに濡らしたら入るだろ?」
「だって……。」
「欲しいのか?欲しいって言って。」
 すると響子は顔をさらに赤くさせて言う。
「欲しい……の。一馬が欲しい……。入れて……。」
 そんな表情をみせられて「ちょっとコンドームを付けないと」何ていう聖人がいるだろうか。一馬はそのまま響子の腰を支え、そして自分のそそり立っているモノを一気に入れ込んだ。
「ああああ!」
 直接感じることの無かった響子の中は、温かくまたぎゅっと締めてくる。奥を感じて、一馬は響子の唇にキスをした。
「直接感じるな。早々に出そうだ。響子の中……相当良い……。」
「あなたも……。」
「ん?」
「私の中だけがいいの?」
 すると一馬は奥に入り込んでいくのがわかっていながらも、響子をそのまま抱きしめた。
「お前だからいいんだ。」
 同じ不安を持っていた。そう思うと、ますます離したくなくなる。
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