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ブレスレット
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出て行く真二郎を追うように、一馬も部屋を出た。夜は静かなアパートで、人気がない。そこに真二郎の革靴の音が響き、そのあとを一馬が追う。
「真二郎さん。」
階下について、真二郎は振り返る。その顔はいつも通りに見えた。
「あんた……それで本当に良いのか。」
すると真二郎は少し笑って一馬を見上げる。
「だったら、君が響子を諦めて俺に響子をくれる?一度寝ればたぶん、響子は俺から離れられないと思うけど。」
経験値では上なのはわかる。体を売りにするウリセンにいて、なおかつセフレもいるのだ。そのセフレも真二郎からは離れられないらしい。
「いや……それは……。」
「冗談。ここだけの話、響子には何度も迫ったことがあるけど、ずっと拒否されていたからね。俺は近くにいすぎて、やっぱり家族のようにしか思えないみたいだ。」
迫ったことがあるという言葉に、一馬は少し眉をひそめる。どこまでしたというのだろう。
「妬ける?」
「……どこまで?」
「キスをしたよ。それだけ。無理矢理にしかできなかったけどね。」
響子は無理矢理されるのが好きだ。マゾヒストな部分があるのだろう。それが自分もかき立てるところがある。
「望んでないよな。」
「無理矢理。でももうしない。」
街ゆく人たちが振り返る。主に女が真二郎を見ていて、こんな男に迫られたら誰でも転んでしまうだろう。それなのに響子は真二郎を拒否した。響子はずっと真二郎に支えられていた。だがそれ以上の感情はなかったのだろう。
「家を出ると言っていたが、その間に何事もないと言えるか?」
「大丈夫だよ。どれだけ我慢してたと思ってるんだ。」
そう言って真二郎は少し笑う。だがそれも嘘っぽく思えた。
「だったらあんたを信用してみる。だが何かがあれば、すぐに引き離すから。」
「これからだよ。」
圭太に別れを告げないといけない。そのダメージは圭太にも、そして響子にも負担がかかるだろう。
「オーナーも響子も別れて普段通りに接することが出来るかわからないな。しかし……店を辞める事態になればあの店は傾く。」
「その通りだよ。響子の代わりはいないから。功太郎だってまだまだ出来ていないと俺は思うし。」
「大人になれるかわからないな。」
「だから君が支えて欲しいと思う。そうだ。中で出して妊娠でもしたら、文句は言えないだろうけど。」
その言葉に一馬は首を振る。そんな理由で子供を作りたくなかった。
「俺はそんな無責任なことは出来ない。」
「真面目だよね。」
こんな男だから、響子が惹かれたのだろう。あの噂が嘘のようだ。
「少し聞きたいことがあるんだけど。」
「何だろうか。」
「「flower children」の事。」
一馬はその名前に苦々しい表情になった。
「バンドのメンバーの女に手を出したって言う噂があるよね。」
「事実だ。」
堅そうな男なのにそんなことをしたのだろうか。少し意外だと思う。
「会社とか、個人経営の店とかでもある話だけど、そう言うことをしたらどうなるかわかってて?」
「……今となればいいわけにしかならないが、騙された感じはある。」
サックスを担当していた女だと知らないまま、周りにせかされてセックスをした。ちょうど女日照りだったこともあったし、女もあと具されなく一晩だけだと言ってきたのでちょうど良いと思ったのだ。
だが女は一馬のどん欲な性欲に付いてこなかった。失神するほど入れ込んだ次の日には、一馬が絶倫だという噂が立ったのだ。
「人嫌いって言うことも言われているのはそのせいか。バンドを組みたがらないのもそのため?」
「いくら信用しても裏切られるかもしれないと思うこともあった。だが、響子は違う。」
「……。」
「正直な奴だと思った。」
「そうでもないよ。オーナーに隠れてこんなことをしている時点で、響子だって良い人じゃない。それに響子は虚言癖がある。響子の母親が言ってたことだ。」
「虚言癖?」
「俺はまともに取っていないけどね。あの母親が自分を守るために、響子を悪者にしたと思ってる。」
「……あまり上等な母親ではないな。」
「その通りだよ。合わせるのも大変だったから。もし結婚してもつかず離れずくらいが良いかもね。ただ、その母親が言うことが正しいなら、響子の方が嘘を付いていることも考えられるんだ。」
「……いいや。俺は響子の言うことを信じたい。」
「今はね。惚れているからそう思えるだけ。もっと話した方が良い。それから響子って言う人を見極めたらいいよ。セックスばかりじゃなくてね。そうだ。響子はその君の性癖には付いてこれるの?」
「最後まで意識がある女は初めてだ。」
その言葉に真二郎は苦笑いをする。どれだけ求めたのだろう。そして改めて体をみる。この国の人ではないような浅黒い肌と、黒い髪は癖毛で、顔は割と小さいのに体は大きい。と言うことは、あっちも大きいのだろう。それで絶倫となれば、ウリセンにいれば指名が溢れるほどあるかもしれない。ゲイでなくて残念だ。
「あっちも大きいの?」
「さぁな。人と比べたことはない。」
「例えばさ。ラブホテルに添え付けてあるコンドームなんかは使える?」
「使えないことはないが、あまり好きじゃない。キツくて圧迫する。」
すると真二郎は、一階にあるアダルトショップを見上げた。
「ここ、結構品ぞろえが良くてさ。俺もここでゴムは買ってるんだ。」
「そうだったのか。通販とかでしか買ったことがなかったな。」
「俺もゴム切れそうだし、入ってみる?今日、持ってる?」
「いいや。響子に会う予定もなかったし。」
「常に持ってた方が良いよ。ハンカチ、ティッシュ、コンドームは男の身だしなみだし。」
「そんなものなのか。だが、今日するとは……。」
「しないの?」
「……いいや。せっかく席を外してくれたのだし。いつ出来るかわからないし……。」
「俺のおすすめもあるから行こうか。」
こんな形で身内と呼べる人が見方になってくれると思ってなかった。そして性的な知識があまりない一馬には、ありがたいと思う。
正直、力業だけでするセックスが響子を本当に満足させているのかわからない。出来るなら、セックスに恐怖があるという響子を優しく、そして思いっきり感じさせたいと思っていた。
「真二郎さん。」
階下について、真二郎は振り返る。その顔はいつも通りに見えた。
「あんた……それで本当に良いのか。」
すると真二郎は少し笑って一馬を見上げる。
「だったら、君が響子を諦めて俺に響子をくれる?一度寝ればたぶん、響子は俺から離れられないと思うけど。」
経験値では上なのはわかる。体を売りにするウリセンにいて、なおかつセフレもいるのだ。そのセフレも真二郎からは離れられないらしい。
「いや……それは……。」
「冗談。ここだけの話、響子には何度も迫ったことがあるけど、ずっと拒否されていたからね。俺は近くにいすぎて、やっぱり家族のようにしか思えないみたいだ。」
迫ったことがあるという言葉に、一馬は少し眉をひそめる。どこまでしたというのだろう。
「妬ける?」
「……どこまで?」
「キスをしたよ。それだけ。無理矢理にしかできなかったけどね。」
響子は無理矢理されるのが好きだ。マゾヒストな部分があるのだろう。それが自分もかき立てるところがある。
「望んでないよな。」
「無理矢理。でももうしない。」
街ゆく人たちが振り返る。主に女が真二郎を見ていて、こんな男に迫られたら誰でも転んでしまうだろう。それなのに響子は真二郎を拒否した。響子はずっと真二郎に支えられていた。だがそれ以上の感情はなかったのだろう。
「家を出ると言っていたが、その間に何事もないと言えるか?」
「大丈夫だよ。どれだけ我慢してたと思ってるんだ。」
そう言って真二郎は少し笑う。だがそれも嘘っぽく思えた。
「だったらあんたを信用してみる。だが何かがあれば、すぐに引き離すから。」
「これからだよ。」
圭太に別れを告げないといけない。そのダメージは圭太にも、そして響子にも負担がかかるだろう。
「オーナーも響子も別れて普段通りに接することが出来るかわからないな。しかし……店を辞める事態になればあの店は傾く。」
「その通りだよ。響子の代わりはいないから。功太郎だってまだまだ出来ていないと俺は思うし。」
「大人になれるかわからないな。」
「だから君が支えて欲しいと思う。そうだ。中で出して妊娠でもしたら、文句は言えないだろうけど。」
その言葉に一馬は首を振る。そんな理由で子供を作りたくなかった。
「俺はそんな無責任なことは出来ない。」
「真面目だよね。」
こんな男だから、響子が惹かれたのだろう。あの噂が嘘のようだ。
「少し聞きたいことがあるんだけど。」
「何だろうか。」
「「flower children」の事。」
一馬はその名前に苦々しい表情になった。
「バンドのメンバーの女に手を出したって言う噂があるよね。」
「事実だ。」
堅そうな男なのにそんなことをしたのだろうか。少し意外だと思う。
「会社とか、個人経営の店とかでもある話だけど、そう言うことをしたらどうなるかわかってて?」
「……今となればいいわけにしかならないが、騙された感じはある。」
サックスを担当していた女だと知らないまま、周りにせかされてセックスをした。ちょうど女日照りだったこともあったし、女もあと具されなく一晩だけだと言ってきたのでちょうど良いと思ったのだ。
だが女は一馬のどん欲な性欲に付いてこなかった。失神するほど入れ込んだ次の日には、一馬が絶倫だという噂が立ったのだ。
「人嫌いって言うことも言われているのはそのせいか。バンドを組みたがらないのもそのため?」
「いくら信用しても裏切られるかもしれないと思うこともあった。だが、響子は違う。」
「……。」
「正直な奴だと思った。」
「そうでもないよ。オーナーに隠れてこんなことをしている時点で、響子だって良い人じゃない。それに響子は虚言癖がある。響子の母親が言ってたことだ。」
「虚言癖?」
「俺はまともに取っていないけどね。あの母親が自分を守るために、響子を悪者にしたと思ってる。」
「……あまり上等な母親ではないな。」
「その通りだよ。合わせるのも大変だったから。もし結婚してもつかず離れずくらいが良いかもね。ただ、その母親が言うことが正しいなら、響子の方が嘘を付いていることも考えられるんだ。」
「……いいや。俺は響子の言うことを信じたい。」
「今はね。惚れているからそう思えるだけ。もっと話した方が良い。それから響子って言う人を見極めたらいいよ。セックスばかりじゃなくてね。そうだ。響子はその君の性癖には付いてこれるの?」
「最後まで意識がある女は初めてだ。」
その言葉に真二郎は苦笑いをする。どれだけ求めたのだろう。そして改めて体をみる。この国の人ではないような浅黒い肌と、黒い髪は癖毛で、顔は割と小さいのに体は大きい。と言うことは、あっちも大きいのだろう。それで絶倫となれば、ウリセンにいれば指名が溢れるほどあるかもしれない。ゲイでなくて残念だ。
「あっちも大きいの?」
「さぁな。人と比べたことはない。」
「例えばさ。ラブホテルに添え付けてあるコンドームなんかは使える?」
「使えないことはないが、あまり好きじゃない。キツくて圧迫する。」
すると真二郎は、一階にあるアダルトショップを見上げた。
「ここ、結構品ぞろえが良くてさ。俺もここでゴムは買ってるんだ。」
「そうだったのか。通販とかでしか買ったことがなかったな。」
「俺もゴム切れそうだし、入ってみる?今日、持ってる?」
「いいや。響子に会う予定もなかったし。」
「常に持ってた方が良いよ。ハンカチ、ティッシュ、コンドームは男の身だしなみだし。」
「そんなものなのか。だが、今日するとは……。」
「しないの?」
「……いいや。せっかく席を外してくれたのだし。いつ出来るかわからないし……。」
「俺のおすすめもあるから行こうか。」
こんな形で身内と呼べる人が見方になってくれると思ってなかった。そして性的な知識があまりない一馬には、ありがたいと思う。
正直、力業だけでするセックスが響子を本当に満足させているのかわからない。出来るなら、セックスに恐怖があるという響子を優しく、そして思いっきり感じさせたいと思っていた。
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